01|この世に生を受けた日から26年後の今日、あたらしい元号が発表された

Twitterでトレンドのトップワードをタップして、LIVE中継を見る。朝はエイプリルフールで盛り上がっていたタイムラインも、今はそれどころではないらしい。引きで撮られた映像にたくさんのスーツのおじさんたちの頭が見える。予定されていた時間をもう5分は過ぎたが、まだ発表はされていないようだ。意外とぴったりじゃないんだな。

いつも事務所には、FMラジオが流れている。9時のスタート時にはDJが「どこよりも早くお伝えしますよ!」と意気込んでいたが、あと10分ほどでこの番組も終わりだ。いち視聴者ながらハラハラする。

突然鳴り響いた固定電話で、自分が仕事中だったことを思い出す。外出中の上司あてだったのでその旨を伝えると、携帯番号を教えてくれと言われた。社用携帯の番号は、客先に伝えていいことになっている。復唱されることもなく、電話は切れた。

「新元号はれいわと発表されました。命令の令に平和の和で令和です。繰り返します…」

電話が切れると同時にラジオDJがたからかと新元号を伝えるのが聞こえた。時間が経ってロックがかかってしまった画面をもう一度開く。タイムラインをリロードするとフォローしているYouTuberたちが一斉に新元号を復唱していた。

お昼だよ、と営業さんに声をかけられて再び現実にかえる。「あっ、はい」と顔をあげたときにはもう事務所を出ていく背中だけが見えた。持ってきたお弁当を電子レンジに突っ込み、25個入り100円で買った紙コップをひとつ出しウォーターサーバーからお茶を注ぐ。会議室のテレビをつけると、いつも流しているお昼の番組はやっておらず、その前のニュース番組が今日限りで延長されているようだった。ちょうど始まった首相の会見を見ながら、国の長ともなると原稿なんか見ずともこんなに喋れるんだな…なんてことをぼんやり考えていたら、電子レンジが後ろの方でピーピーとなった。

平成31年4月1日、次の元号が発表された日、私は26歳になった。


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文章を書くのが好きで、でもうまい題材がないかなと悶々としていて、たまたま誕生日に新元号が発表されたのでちょうどいいかなと見切り発車した次第です。どこまで続くかわかりませんが、ひとまず書けるところまで書いてみようと思います。この文章は、日記と小説の間のような感じにしようと思っているので、基本的にフィクションです。

小説と日記の間のようなものをダラダラと書いています。スキを押していただけると励みになります。気軽に感想も頂けると嬉しいです。