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10~12月期実質GDP第2次速報値はプラス成長に転じるか。10~12月期法人企業統計の設備投資が大幅に前期比プラス寄与と予測。ソフトウエアも上方修正要因に。―日本経済の主要経済指標予測(2024年3月4日)―

10~12月期法人企業統計・設備投資(除くソフトウェア)前年同期比+11.7%、季節調整済み前期比+8.0%増加

 10~12月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+11.7%と、7~9月期の前年同期比+1.7%から10.0ポイントと大幅に伸び率を高め、11四半期連続の増加になりました。7~9月期で前年同期比+5.6%の増加だった製造業は、7~9月期では同+20.1%へと14.5ポイント増加率が高まりました。非製造業は7~9月期で前年同期比▲0.4%の減少でしたが、10~12月期では同+7.1%の増加に転じました。7.5ポイント増加率が改善しました。
 
 10~12月期・全産業(金融業・保険業を除くベース)設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は+8.0%と2四半期連続の増加になりました。製造業は+12.0%と4四半期連続の増加、非製造業は+5.7%と2四半期連続の増加です。
 
 供給サイドのデータに基づいて算出した10~12月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前期比は+0.7%で、前年同期比は+2.2%と11四半期連続の増加になりました。しかし、7~9月期の前年同期比+2.2%の増加と同じ伸び率でした。
 
 一方、法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は7~9月期から10~12月期にかけ10.0ポイント伸び率が高まりました。GDP第1次速報値の方が10.0ポイント大きく伸び率が改善しています。

10~12月期実質GDP第2次速報値で、実質設備投資は前期比+2.5%程度に第1次速報値の前期比▲0.1%から上方修正か。法人企業統計の影響大きく、ソフトウエアも上方修正要因か

 3月11日に発表される23 年10~12月期四半期別GDP速報(第2 次速報値)では、法人企業統計などの基礎データを加えた改定値が発表されます。
 
 10~12月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、10~12月期の設備投資供給側推計値・名目原系列前期比は+2.0%、また供給側推計値の情報を用いて仮置きした需要側推計値の名目原系列前期比は+2.0%であると公表されていますが、7~9月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比は+13.6%となり、仮置き値より11.6ポイント大きい増加率になりました。
 
 特定サービス産業動態統計でソフトウエア開発・プログラム作成の前年同月比は10月+1.9%、11月+3.8%でしたが、12月は+5.3%と増加率が高まりました。ソフトウエア投資は上方修正要因になりそうです。
 
 総合的に判断して、10~12月期GDP第2次速報値の実質設備投資は前期比+2.5%程度と、第1次速報値の同▲0.1%から上方修正されると予測しました。
 
 23年10~12月期のGDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は8,968億円で22年10~12月期の▲9,807億円からは+1兆8,775億円と増加でした。23年10~12月期GDP第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.3%でした。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえませんが、4項目中マイナス寄与は3項目、マイナス寄与が大きな方から、仮置き値の原材料在庫、製品在庫、仮置き値仕掛品在庫の順になっていて、プラス寄与は1項目、流通在庫だということです。
 
 23年10~12月期の法人企業統計では、原材料・貯蔵品在庫は前年同期差1,676億円のプラスで、マイナス寄与の仮置き値とは逆の動きになっています。仕掛品在庫の前年同期差は▲5,291億円のマイナスで仮置き値とは同方向の数字になっています。このため、GDP第2次速報値の民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は第1次速報値の▲0.3%から▲0.2%程度になるとみました。
 

実質GDP第2次速報値では、実質GDPは前期比年率+1.3%程度に第1次速報値の同▲0.4%のマイナスからプラスに上方修正か

 10~12月期第2次速報値では、実質設備投資は前期比+2.5%程度と、第1次速報値の同▲0.1%から上方修正になると予測します。また、実質民間在庫変動・季節調整値・前期比寄与度は第1次速報値の▲0.0%から+0.0%へと上方修正されるとみました。
 
 なお、公共工事出来高の前年同月比は10月+3.4%、11月+2.4%でしたが、12月は+2.6%と10月と11月の平均に近い伸び率になりました。このことから、12月が加味された第2次速報値の実質公共投資の前期比は第1次速報値の▲0.7%とほぼ同じになると予測します。
 
 10~12月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比+0.3%、前期比年率+1.3%程度と予測します。第1次速報値の前期比▲0.1%、前期比年率▲0.4%から上方修正されそうです。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。