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2月家計調査・実質消費支出・前年同月比は12カ月連続で減少か。2月景気動向指数・速報値・一致CIは、2カ月連続前月差低下に。景気の基調判断は「下方への局面変化」に下方修正。―日本の主要経済指標予測(2024年3月29日)―

2月家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は1月から減少率が縮小するものの、12カ月連続減少になると予測(4月5日発表)

 1月の家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は前年同月比で▲6.3%と11か月連続の減少になりました。   

 私立中学校、私立高校などの「授業料等」(受験料を含む)は実質・前年同月比+40.2%と増加しました。医科診療代が新型コロナ医療費の全額公費支援から一部自己負担への変更による影響などもあり、医科診療代・歯科診療代などの「保健医療サービス」が実質・前年同月比+22.3%増加しました。外出した人が増加したことや物価上昇などによる内食需要の縮小傾向の中、飲酒代・焼肉などの「外食」が実質・前年同月比+4.1%増加しました。 

 一方、自動車購入、自動車以外の輸送機器購入などの「自動車等関係費」が実質・前年同月比▲15.7%減少しました。一部自動車メーカーの不正で生産停止・出荷停止となった影響が需要の数字に出たようです。設備器具、外壁・塀等工事費などの「設備修繕・維持」は実質▲32.0%減少しました。国内パック旅行費、外国パック旅行費など「教養娯楽サービス」が、外国パック旅行費の物価データ・前年同月比がデータの採り方で一気に大幅上昇になったことや前年に実施していた全国旅行支援後の需要の落ち着きなどの影響で、実質・前年同月比▲10.5%の減少となりました。 

 実質・季節調整済み前月比は▲2.1%と4か月連続の減少になりました。ちなみに名目消費支出の前年同月比は▲4.0%で6か月ぶりの減少でした。デフレーターの全国消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)は+2.5%でした。 

 財・サービス別の前年同月比をみると、財は実質・前年同月比▲7.5%と11か月連続の減少。サービスは、実質・前年同月比▲3.8%と3カ月連続の減少になりました。 

 2月の家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は▲4.4%程度と減少率は1月の▲6.3%から縮小するものの、12カ月連続の減少になると予測します。前月比は▲2.7%程度の減少になるとみました。

 家計調査で実質化に使うデフレーターである全国消費者物価指数は、日本銀行が2%の目標に使用している「生鮮食品を除く総合」ではなく、「持家の帰属家賃を除く総合」です。「持家の帰属家賃を除く総合」の前年同月比は12月+3.0%、1月+2.5%、2月+3.3%と推移しています。デフレーターは、2月の家計調査・実質消費支出・前年同月比に関しては1月から0.8ポイントの減少要因になります。 

 関連の消費統計をみると、新車新規登録届出台数(乗用車)の前年同月比は1月▲10.8%から2月は▲16.2%へと5.4ポイント減少率が拡大しました。一方、日本チェーンストア協会のスーパー売上高の1月の前年同月比は+1.9%から2月+5.5%へと3.6ポイント増加率が拡大しました。また、全国百貨店売上高・前年同月比は1月+7.1%から2月+14.0%から6.9ポイント拡大しています。なお、商業販売額指数・小売業の前年同月比は、2月速報値+4.6%で、1月+2.1%から増加率が2.5ポイント高まっています。 

 景気ウォッチャー調査の家計動向関連の現状水準判断DI・季節調整値は、23年1月44.8、2月49.3、3月49.3、4月49.9、5月51.8、6月52.3、7月51.8、8月52.3、9月50.3、10月50.4、11月49.8、12月50.0、24年1月47.9と推移しましたが、2月は49.3まで戻しました。

※24年2月は筆者予測

2月景気動向指数・速報値・一致CIは2カ月連続前月差マイナスを予測。7カ月後方移動平均前月差も2カ月連続マイナスに(4月5日発表)

  2月速報値の一致CIは前月差▲1.1程度の下降と予測します。前月差下降は2カ月連続です。
 
  一致系列で、速報値からデータが利用可能な8系列では、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の2系列が前月差寄与度プラスに、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、有効求人倍率、輸出数量指数の6系列が前月差寄与度マイナスになると予測します。
 
  一致CIの第1系列である鉱工業生産指数・1月速報値・前月比は▲0.1%と、2カ月連続低下となりました。全体15業種のうち、工場稼働停止などの影響による自動車工業の低下に加えて、生産用機械工業など7業種が低下、化学工業(除、無機・有機化学工業・医薬品)など8業種が上昇という結果でした。
 
 2月の先行CIは前月差+3.4程度の上昇と予測します。2カ月ぶりの上昇になるでしょう。速報値からデータが利用可能な9系列では、最終需要財在庫率指数(逆サイクル) 、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル) 、新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数の7系列が前月差寄与度プラスに、新設住宅着工床面積、中小企業売上げ見通しDI の2系列が前月差寄与度マイナスになると予測します。

※24年2月は筆者予測

2月の先行DIは77.8%程度か。一方、一致DIは12.5%程度と明暗分かれるかたちに。

 2月の一致DIは12.5%程度になり、2カ月連続で大幅に景気判断の分岐点の50%を下回ると予測します。2月の一致DIでは、データが利用可能な8列中、商業販売額指数・卸売業1系列がプラス符号になり、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、有効求人倍率、輸出数量指数の7系列がマイナス符号になると予測します。
 
  2月の先行DIは77.8%程度と景気判断の分岐点の50%超になると予測します。速報値からデータが利用可能な9系列中、最終需要財在庫率指数(逆サイクル) 、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル) 、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数の7系列がプラス符号に、新設住宅着工床面積、中小企業売上げ見通しDIの2系列がマイナス符号になるとみました。

2月の景気の基調判断は「足踏み」から「下方への局面変化」に2カ月連続下方修正

  1月の景気の基調判断は10カ月ぶりに「足踏み」に下方修正されました。一部自動車メーカーで不正により1月の生産、出荷が停止となったことで、生産関連データを中心に一致CIが一時的に大きく下降したためです。
 
  景気動向指数の景気の基調判断が、「足踏み」から「下方への局面変化」に下方修正されるためには、「7カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化1カ月、2カ月または3、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差(0.90)以上、かつ当月の前月差の符号がマイナス」であることが条件です。2月の前月差と、7カ月後方移動平均の前月差はマイナスが予測されます。2カ月の累積で▲1.09程度で条件を満たしてしまいます。鉱工業生産は3月以降持ち直すことなどからさらなる景気判断の悪化は回避されるでしょうが、2カ月連続の判断下方修正で、経営者などの心理面の悪化が懸念されます。
 
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。
 


 



 

こうした様々なデータを総合的に判断して予測しました。