見出し画像

3月景気動向指数・速報値・一致CIは、3カ月ぶりに前月差上昇に。景気の基調判断は「下方への局面変化」継続か。3月家計調査・実質消費支出・前年同月比は13カ月連続減少か。―日本の主要経済指標予測(2024年4月30日)―

3月景気動向指数・速報値・一致CIは3カ月ぶり前月差プラスに転じると予測。3カ月後方移動平均前月差は3カ月連続マイナス継続に。(5月9日発表)

 3月速報値の一致CIは前月差+1.8程度の上昇と予測します。前月差上昇は3カ月ぶりです。
 
 一致系列で、速報値からデータが利用可能な8系列では、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、有効求人倍率、輸出数量指数の6系列が前月差寄与度プラスになり、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の2系列が前月差寄与度マイナスになると予測します。
 
 一致CIの第1系列である鉱工業生産指数・3月速報値・前月比は+3.8%と、3カ月ぶりの上昇となりました。全体15業種のうち、工場稼働再開などの影響を受けた自動車工業、海外からの受注増加などの影響を受けて、上昇した生産用機械工業など9業種が上昇、鉄鋼・非鉄金属工業など8業種が低下という結果でした。
 
 3月の先行CIは前月差▲1.1程度の下降と予測します。2カ月ぶりの下降になるでしょう。速報値からデータが利用可能な9系列では、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列が前月差寄与度プラスに、最終需要財在庫率指数(逆サイクル) 、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル) 、新規求人数、新設住宅着工床面積の4系列が前月差寄与度マイナスになると予測します。

※24年3月は筆者予測

3月の先行DIは55.6%程度と50超。一方、一致DIは12.5%程度と50割れで明暗分かれるかたちに。

 3月の一致DIは12.5%程度になり、3カ月連続で景気判断の分岐点の50%を下回ると予測します。3月の一致DIでは、データが利用可能な8列中、有効求人倍率1系列がプラス符号になり、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、輸出数量指数の7系列がマイナス符号になると予測します。
 
 3月の先行DIは55.6%程度と2カ月連続で景気判断の分岐点の50%超になると予測します。速報値からデータが利用可能な9系列中、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列がプラス符号に、最終需要財在庫率指数(逆サイクル) 、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル) 、新規求人数 、新設住宅着工床面積の4系列がマイナス符号になるとみました。

景気の基調判断が「下方への局面変化」から「改善」に戻るのは、8月7日公表の6月速報値で?

 景気動向指数の景気の基調判断が、2014年11月から12月にかけてのように「下方への局面変化」から「改善」に上方修正されるためには、「原則として3カ月以上連続して、3カ月後方移動平均が上昇 、かつ当月の前月差の符号がプラス」になることが条件です。3月の3カ月後方移動平均の前月差はマイナスが予測されます。

 4月で+0.03と最小幅のプラスになるには、3月の予測が当たりかつ過去の数字が変わらないとした場合、4月の一致CI前月差が▲1.0の下降で大丈夫です。製造工業生産予測指数の4月前月比が+4.1%、先行き試算値最頻値で▲1.0%の下降の見込みであることなどからみて、3カ月後方移動平均の前月差がプラスに戻る可能性はありそうです。

 景気の基調判断が「改善」に上方修正されるのは、4月から3カ月後方移動平均の前月差が3カ月連続してプラスになれば、6月速報分が公表される8月7日の可能性があります。
 

3月家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は2月から減少率が拡大し、13カ月連続減少になると予測(5月10日発表)

 2月の家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は前年同月比で▲0.5%とうるう年で前年同月より1日多かった影響もあり1月の▲6.3%からと減少率は縮小しましたが、12か月連続の減少になりました。
 
 私立大学、私立中学校などの「授業料等」は実質・前年同月比+56.4%と増加しました。私立中学校の受験率上昇に伴い入学金への影響が出たようです。新型コロナ医療費の全額公費支援から一部自己負担への変更による影響などで他の入院料が増加したことや、歯科診療代の増加などで「保健医療サービス」が実質・前年同月比+23.1%増加しました。外出した人が増加したことや物価上昇などによる内食需要の縮小傾向の中、飲酒代・焼肉などの「外食」が実質・前年同月比+10.3%増加しました。
 
 一方、前年より気温が高く、暖房需要が伸びなかった影響や、電気・ガス価格激変緩和対策事業が一巡したことにより、実質の減少幅が拡大したため、電気代が実質▲25.4%、ガス代が実質▲14.0%の減少になりました。物価上昇の影響などにより減少基調となった贈与金などの交際費が実質▲12.8%の減少になりました。また、新車販売が落ち込んだ影響でカーナビなどが伸びなかったため自動車等関連用品などが減少し、自動車等関係費が実質・前年同月比▲2.2%減少しました。
 
 実質・季節調整済み前月比は+1.4%と5か月ぶりの増加になりました。ちなみに名目消費支出の前年同月比は+2.8%で2か月ぶりの増加でした。デフレーターの全国消費者物価指数(持家の帰属家賃を羽化除く総合)は+3.3%でした。
 
 財・サービス別の前年同月比をみると、財は実質・前年同月比▲3.1%と12か月連続の減少。サービスは、実質・前年同月比+5.7%と4カ月ぶりの増加になりました。
 
 3月の家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は▲2.8%程度と減少率は2月の▲0.5%から拡大し、13カ月連続の減少になると予測します。前月比は▲3.4%程度の減少になるとみました。
 
 家計調査で実質化に使うデフレーターである全国消費者物価指数は、日本銀行が2%の目標に使用している「生鮮食品を除く総合」ではなく、「持家の帰属家賃を除く総合」です。「持家の帰属家賃を除く総合」の前年同月比は1月+2.5%、2月+3.3%、3月+3.1%と推移しています。デフレーターは、3月の家計調査・実質消費支出・前年同月比に関しては2月から0.2ポイントの増加要因になります。
 
 関連の消費統計をみると、新車新規登録届出台数(乗用車)の前年同月比は2月▲16.2%から3月は▲19.6%へと3.4ポイント減少率が拡大しました。また、全国百貨店売上高・前年同月比は2月+14.0%から3月+9.9%へと4.1ポイント鈍化しています。一方、日本チェーンストア協会のスーパー売上高の前年同月比は2月+5.5%から3月+9.3%へと3.8ポイント増加率が拡大しました。なお、商業販売額指数・小売業の前年同月比は、3月速報値+1.2%で、2月+4.7%から増加率が3.5ポイント鈍化しています。
 
 景気ウォッチャー調査の家計動向関連の現状水準判断DI・季節調整値は、23年10月50.4、11月49.8、12月50.0、24年1月47.9、2月49.3と推移してきましたが、3月は48.3に低下しました。
 
 こうした様々なデータを総合的に判断して予測しました。

※24年3月は筆者予測

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。