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景気の基調判断は「足踏み」を前月差下降でも維持か?どうなる5月10日発表の3月景気動向指数―日本経済の主要経済指標予測(2023年5月1日)―

3月家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は、鈍化するも2カ月連続増加か(5月9日発表)

3月の家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は+0.8%程度と2月の+1.6%に比べ鈍化するものの、2カ月連続の増加になると予測します。昨年、まん延防止等重点措置が1月9日~3月21日まで、どこかの地域に出ていた反動が、今年の1月~3月の前年同月比では出てきます。反動増の影響は2月よりも3月の方が小さいと思われます。
また、家計調査で実質化に使うデフレーターである全国消費者物価指数は、日本銀行が2%の目標に使用している「生鮮食品を除く総合」ではなく、「持家の帰属家賃を除く総合」です。「持家の帰属家賃を除く総合」の前年同月比は1月+5.1%、2月+3.9%、3月+3.8%と推移しています。2月からは、政府の電気代・ガス代の負担軽減策の影響で鈍化しています。デフレーターは、3月の家計調査・実質消費支出・前年同月比に対しては2月から0.1ポイントの増加要因になります。
関連の消費統計をみると、日本チェーンストア協会のスーパー売上高の3月の前年同月比は+1.2%と2月▲2.0%の減少から増加に転じています。一方、インバウンドの影響が加わっている3月の全国百貨店売上高・前年同月比は+9.8%で2月の+20.4%から10.6ポイント増加率が鈍化しています。また、新車新規登録届出台数(乗用車、軽を含む)・前年同月比は、3月+12.1%で、2月+22.9%から10.8ポイント増加率が鈍化しています。商業販売額指数・小売業の前年同月比は、3月速報値+7.2%で、2月+7.3%から0.1ポイント鈍化しています。
景気ウォッチャー調査の家計動向関連の現状水準判断DI・季節調整値は、1月44.2、2月50.2、3月50.1と推移しています。
こうした様々なデータを総合的に判断して予測しました。

※23年3月は筆者予測

3月景気動向指数・速報値で一致CIは7カ月後方移動平均小幅下降で、基調判断は「足踏み」継続か(5月10日発表)

景気動向指数では、一致CIを使っての基調判断が機械的に行われています。当月の一致CIの前月差が一時的な要因に左右され安定しないため、3カ月後方移動平均と7カ月後方移動平均の前月差を中心に用い、当月の変化方向(前月差の符号)も踏まえ、行われます。基調判断は「改善」「足踏み」「局面変化(上方へのor下方への)」「悪化」「下げ止まり」の5つがあります。
3月の景気・基調判断は、4カ月連続で、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」になると予測されます。最近の一致CIを使った景気の基調判断をみると、21年9月~22年2月速報値では「足踏みを示している」の判断が継続しました。しかし、生産・出荷関連データの年間補正などがあった22年2月改定値で「改善」に戻り、3月~11月でも「改善」の判断が継続となりました。22年12月で当時の3カ月後方移動平均・前月差・2カ月の累計が▲1.30と1標準偏差の▲1.00以上のマイナス幅になり、前月差が▲0.4の下降だったため、「3カ月後方移動平均の富豪がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1票準偏差以上、かつ当月の前月差の符号がマイナス」という条件を満たし、「足踏みを示している」に下方修正されました。その後23年2月まで「足踏み」が続いています。
3月の一致CIは前月差▲0.1程度の僅かな下降と予測しています。7カ月後方移動平均・前月差は3カ月連続マイナスですが、そのマイナス幅の3カ月累積でも▲0.71程度で、1標準偏差の▲0.77以上のマイナス幅に届かないとみられます。そのため、事後的に判断される景気の山が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正されるための「7カ月後方移動平均の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差以上、かつ当月の前月差の符号がマイナス」という条件は満たさないと思われます。
3月の一致CIは前月差▲0.1程度の下降になると予測します。一致CIの第1系列である鉱工業生産指数・3月速報値・前月比は+0.8%と、部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて自動車工業などを中心に15業種中、8業種が上昇しました。
速報値からデータが利用可能な8系列では、生産指数、耐久消費財出荷指数の2系列が前月差寄与度プラスに、鉱工業生産財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率、輸出数量指数の6系列が前月差寄与度マイナスになるとみました。
3月の先行CIは前月差▲0.6程度の下降になると予測します。速報値からデータが利用可能な9系列では、消費者態度指数、マネーストック、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列が前月差寄与度プラスに、最終需要財在庫率指数(逆サイクル) 、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新規求人数、新設住宅着工床面積の4系列が前月差寄与度マイナスになると予測します。

※23年3月は筆者予測

次回4月の景気基調判断も「足踏み」継続か

3月の一致DIは31.3%程度と景気判断の分岐点の50%を下回ると予測します。速報値からデータが利用可能な8系列中、耐久消費財出荷指数、商業販売額指数・小売業の2系列がプラス符号に、鉱工業生産財出荷指数1系列が保合いに、生産指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、輸出数量指数、有効求人倍率の5系列がマイナス符号になると予測します。
3月の先行DIは55.6%程度と景気判断の分岐点の50%を上回ると予測します。速報値からデータが利用可能な9系列中、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列がプラス符号に、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新規求人数、マネーストックの4系列がマイナス符号になるとみました。
次回4月で景気の基調判断が「下方への局面変化」に下方修正される可能性は小さそうです。一致CIの前月差が▲1.7程度以上の幅での下降にならないと、7カ月後方移動平均の下落幅の3カ月累計が1標準偏差に届かずに「足踏み」継続になります。一致CI採用第1系列の生産指数(鉱工業)の先行きを製造工業予測指数でみると4月分は前月比+4.1%上昇の見込みです。過去のパターン等で製造工業予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、3月分の前月比は先行き試算値最頻値で+1.8%の上昇になる見込みです。90%の確率に収まる範囲は▲0.5%~+4.1%になっています。一致CIが大幅な下降になる可能性は小さいと思われます。
一方、「改善」に戻るとしてもその時期は23年後半になります。3月もマイナスが予測される「3カ月後方移動平均の前月差」は4月にはプラスになる可能性が大きそうですが、3カ月連続でプラスになることが必要なため、早くても「改善」に戻る時期は6月の景気動向指数が発表される8月7日になってしまいます。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。