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【発達支援】母親のストレスと軽減の方法

 この記事は、発達障害の特性を持っている保護者が、どんなに苦労されているのか、そしてどんな対応が必要なのか、下の論文をもとにして解説しています。

 特性を持つ子どもの母親は,、子育てにおいて色々な苦しさを経験しており、健常児の母親に比べて、将来への不安や育て方に対する高いストレスを抱えていることが報告されています。特に子どもが就学前の母親のストレスはとても高いことが指摘されています。

困難感の解消テクニック

1.母親役割の獲得

 母親は子育てに、『これでいいんだ』『上手くやれてる』といった肯定的な感情と同時に、『何で上手くいかないんだろ』『こんなはずではなかった』という、否定的側面な感情を持っています。 発達障害児における独特の育てにくさにより、子どもと過ごしている間に育まれる親としての達成感を感じにくかったと考えられる。
 肯定的な側面をより増やしていくことが、育児困難やストレスの軽減につながるため、お子さんの『得意なところ』や『できているところ』、『好きなところ』を探してみましょう。また専門家に、どのようにしたら、『できること』が増えるか聞いてみましょう。

2.家族・ソーシャルサポート

 ソーシャルサポートとは、『母親を取り巻く、重要な他者 (家族、友人、同僚、専門家など) から得られる、さまざまな形の援助である』と定義されています。
 育児について相談できる専門家のサポートや、身近なサポートの存在はストレス緩和に非常に有効であること、またお子さんに対する障害受容を高める効果があることも指摘されています。
 ソーシャルサポート先の中では、療育施設や夫、母親の両親、保育園や医療機関が『とても助けになる』と回答している方が多いようです。どんな些細なことでも良いので、思い切って相談してみてはいかがでしょうか。

鹿児島大学医学部保健学科紀要 発達障害児をもつ母親の育児ストレス

3.レスパイト

 発達障害児を育てる母親が、子育てや環境に強いストレスを抱いていることは、多くの論文から理解できます。
 日々の生活において、母親自身のリラックスできる時間や活動を持つことは、母親自身が子どもの問題行動への理解や、適切な対応ができる余裕が生まれます。

鹿児島大学医学部保健学科紀要 発達障害児をもつ母親の育児ストレス

4.育児ストレス・コーピング(ストレス対処法)

 コーピングとは、アメリカの心理学者ラザルスが提唱した、ストレスが生じた時の、行動や考え方を言います。この論文では『逃避的コーピング』と『調整的コーピング』を紹介されています。
 逃避的コーピングは、ストレスをかけるものに対して、回避するような考え方や行動を指します。対して、調整的コーピングは、ストレスに向かい合い、改善をしていこうとする考え方や行動を言います。
 育児ストレス・コーピングと、母親の精神的健康において、逃避的なコーピングが強くなるほど、ストレスも強くなり、調整的なコーピングはストレス反応を軽減させると言われています。
 母親にとって、子どもの問題行動は、親の言うことを聞かない行動であり、さらにその行動が一向に改善しないと気付いた場合に、やり場のない苛立ちを感じ、母親の抑うつを生じさせます。このような、特性を持った子どもの理解できない行動においては、発達の専門家と一緒に、症状の理解や解決手段に立ち向かうと良いでしょう。

おわりに

 いかがだったでしょうか。発達障害の特性をもつお子さんを育てている、お母さん方は常にストレスにさらされています。
 支援の対象者はお子さんだけではありません。お母さんに対して支援をすることで、お子さんへの間接的なアプローチにもつながります。
まずは、お母さん方がこんなに大変な思いをしている現実を理解することが、私たち支援者は大切でしょう。

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