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The Turnglass by Gareth Rubin


あらすじ

Tête-bêche (Head to Foot) とは、2冊の本を上下さかさまにして組み合わせた本の形式で18世紀に流行った。 本作品も1881年のイギリスを舞台にした話と1939年のアメリカを舞台にした話で構成されている。

1881年
医師 Lee Simeon は叔父で牧師の Oliver Hawes が住む Turnglass House を訪れる。Hawes は誰かに毒を盛られたと主張し、衰弱して死の間際にあった。ある日、Simeon は屋敷内でガラスの部屋に幽閉されている女性 Florence と出会う。Florence は Hawes の兄弟 James の妻だったが、夫を殺害をした後に精神を病み、何も話さない。だが、Florence がある本を指さし、Simeon に読むように指示する。まもなく Hawes は絶命する。

1939年
ロサンゼルスに住む 俳優志望の Ken Kourian は、バーで出会った女性と Oliver Tooke の家で行われたパーティーに参加する。崖の上に立ったガラス張りの建物は、Turnglass House と呼ばれていた。
Oliver Tooke は作家だが、同名の父親は知事で、Oliver の弟 Alexander は幼少のころに拉致殺害されていた。また、母親 Florence は Alexander が行方不明になった後に沼地で亡くなったと考えられているが、その遺体は発見されていない。

読みどころと感想

Tête-bêcheという2つの物語が上下さかさまでくっついているという珍しい形式で、どちらから読めばいいのか、本を手に取ってしばらく矯めつ眇めつしてしまった。ISBMがあるほうが裏だろうと判断し読み始めたが、二つの話は独立しているので、裏から読んでも問題ないと思われるが、おそらく表から読んだときと印象が変わると思う。試してみたいが、しばらくは読んだ記憶が消せないから無理だ。
どちらのパートも「犯人捜し」のミステリーがあって、それぞれ最後には完結するが、全体として大きな仕掛けがある。「たぶん、こうじゃないかな」という勘は当たっていたけど、それを差し引いても巧みな構造だと思う。

この本について

タイトル:The Turnglass
著者:Gareth Rubin
出版年:2023
出版社:Simon&Schuster UK
ページ数:512


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