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無意識の意識

知らず知らずのうちに人の行動は「ルーティン」のループを辿ってしまうと。

それは意図したものか意図しなかったものかも無視するように、辿ってしまう負のループなのかもしれない。


台風一過、少し肌寒さを感じ始めた矢先の追加雨。

そんな鬱々とした雨を縫うように、帰宅を急ぐ対向車を見やる。今日も1日の仕事が終わり、僕の車も帰宅の途につく車の1台に過ぎないのだが。

車を停車させた信号の赤がワイパーでコマ送りのように見える。





「雨は嫌いなの?」





不意に聞かれれば「嫌い」と答えるであろう問い。誰しも不都合な雨には予定を崩されるものだ。

家路に着き、車から降りての玄関までの距離。にわかに濡れる肩や頭。額から流れる雨の滴を、何か追い払うように拭い落とす。不快なこの一瞬は、この一日の最後の業務としての役割を果たしていた。

玄関を開け、無造作に靴を脱ぎ捨てる。荷物をソファーに放り投げ、浴室に向かい勢い良く赤い方の蛇口を開けた。

何気ない日常に、ふっと彼女達の声が脳裏に響き反芻する。


僕は聞こえてくる声に対し、聞こえないフリをした。




「何で?何でお姉ちゃんが??私の方がずっと彼を守ってあげられるのに!」

「無理よ…だってこの人のこれまでを精算するには私しかいないのよ!!妹のあなたに、この人のケガレた部分を受け止めることなんか出来ない!!」


「ケガレた部分」か…


確かに私に「優しさ」や「いたわり」の気持ちは少ないのかもしれない。

ことなかれ主義。こういえば聞こえは良いのかもしれない。人との交わりは極力避けてきた結果、職場でも浮いた存在であることは自分でもわかっている。

今更、生き方を変えることは、何年前に戻ればそれが可能になるのだろうか。




バスタブを眺めながら、グッと目を閉じる…



溜まった湯船を確認し、僕は冷えたカラダを温めることにした。


彼女達の容姿はほぼ変わらない…

なのに名前と中身は違う2人。


双子と呼ぶには似すぎている…。


そりゃ間違えるコトだってあった。

でも、その時は私自身がスゴく嫌な気分に陥ったものだ。


決意しろ…何が先なのかを…

まずは…

まずは自分の「汚れ」から…


それならば答えはもう出てる。


私の私自身の汚れを洗い流せるのは彼女しかいないのだから…


今しかないのだ

彼女に駆け寄り、その頭をそっと撫でながら、押し沈めよう…

そして彼女の涙を受け止めよう。





シュコ



シュコ




ん…



なんだこの手のひらの感覚は…





あ…




昨日、詰め替えたあとシャンプー、リンスの位置を入れ替えてたの忘れてたー!!!



通常、1番右に置いてるのに泣

リンス→シャンプー→リンス


こんな新しい「ルーティン」は望んでいないのよ。


更なる悲劇は風呂上がり。



普段使用しているAg+だが、間違えVO5を脇へと放出。



「あ゛ぁっ!」って声を出した時はもう手遅れ。




もうね脇がカピカピ…泣




人生で初…色々と疲れが溜まっていたのか…それともただの老いなのか…



もう一度、風呂に入って脇を洗おう泣。



雨は嫌いです…

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