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ラジルギとHouseでDJ MIXを録った制作後記というか感想

 DDJ-FLX4を遊ばせてはや数ヶ月… 復活のときは来た!

 自分は数年前からSNSのフォロワーがやっていたプレイに憧れてDJ機材を買ったりキュー打ち地獄に苦しんだり、ということをやっていたのですが、ここのところ具体的に成果物を出すということができていませんでした。陸サーファーならぬ無音DJですね。

 そんな折に昔遊んでたラジルギの最新作が発売決定ということで、「オッ!サントラも復刻されとるやん!」と去年の暮からセットリストを作って構想を練ってたMIXをやっとプレイして録りました。
 いい感じに仕上がってますのでよろしければ聴いていただきたく…。

 そんなわけで録ったMIXの振り返りとか選んだ曲の話とかダラダラしようかなあと思っています。
 まあ本来であれば自分でクリエイトした作品に対して説明をつけるっていうのはしないほうがいいというか、作品内で伝わるように工夫しろよ!と言われそうな気もするんですけど、取り上げさせていただいた曲へのリスペクトも込めて「いい曲なんだよね」って話がしたいので……。あと今回使わせていただいた原曲を各種配信サイトで買ったり聴いてみてね!って販促でもありますね。

 今回の記事はいつにもましてとりとめもないというか、考えていることを好き勝手に書いているだけなので、おれの頭の中を覗き込みたい物好きな人向けになります。おれとしちゃあMIXだけ聴いてもらえたらほぼほぼ目的は達成されているので、以下はまあ時間がありそうなときに気が向いたら読んでください。





Mixcloudについて

 まずMIXとかMixcloudについて知らん人も多そうなので簡単に説明します。

 MIXというのはDJがやっているプレイそのものや、それを録音した楽曲ファイルのこと。おれは家でやってるアマチュアなので関係ないですが、本職の方はクラブやイベントでやったときの様子を録音しておいたり、あとで再現して残しておくことがあります。これがポートレートというか「自分はこういうことやってますよ~」って名刺にもなるわけですね。

 さて、そこでひとつ問題が出てくるのですが、基本的に著作権の放棄されていない音楽を勝手にネットにアップロードするのはよくないし怒られが発生します。アーティストはそれで飯食ってるので…訴訟が起きる!当たり前体操ですね。おれもそういうことをするのは気分として嫌です。
 Mixcloudはそこをうまく解消したサービスです。運営会社がJASRACなど各種著作権管理団体に「われわれ運営側が曲の利用料を払いますので」と話を通してくれているので、アップロードして怒られが発生することがありません。DJが法的にこれはええんやろか…と悩む必要がなく聴く方も気にせず気持ちよく聴けるように仕組みが作られています。ものを作った人に利益がちゃんと還元される仕組みがあるのはいいですね。


Setlist

Mixのはなし

 ちょっと脇道にそれた話をしましたが本筋に戻りましょう。ざっくり序盤、中盤、終盤に分けてお話していこうかなと思います。

序盤

 まず「ラジルギをリスペクトする」というイメージが根本にあったので、アドバタイズ・デモから始めるのは真っ先に決まりました。

 アーケードゲームというものはそもそも「筐体の前で立ち止まってお金を入れてもらう」ということを考えて作られています。当然それはビジュアルだけじゃなくて楽曲にも反映されているので、アケゲーは本当に人を惹きつけるいい曲いい画面が多い。ダライアスとかニンジャウォーリアーズの一面BGMに超気合が入っているのもそういう設計思想があるからですね。
 その中でもおそらく"いの一番"にゲーセンの人々に聞かせるアドバタイズは絶対入れたいなと思いました。二曲目チャッターボックスも小次郎の性能を決める画面のBGMでめちゃめちゃ良いので絶対入れようと思っていました。ただオリジナルは長さが短くて次の曲に移っていくときの切り上げどころというのが難しかったので、謎の人物Jamm the Sixx HoldさんのDub mix版を取り入れることに決定。いったい誰なんだ…。

 音ゲーへの楽曲提供も多いginkihaさんのa rainy viewから超名曲ukiha shopping mallへ。ukihaはもうマァ~~~ジでイントロが最高の入りなので聞かせないのは嘘だろ!?!?と思い、繋ぎ方を考えました。
 DJにおいて曲と曲をつなぐときに低音(LOW)を小さくしながら次の曲をじわじわとフェードインさせるロングミックスという手法が基本とされていて、これはすごく自然に聴かせられるしBPMを合わせる猶予もあるしで楽なやり方なんです。今回のMIXでもほとんどこれでやっています。おれは技術的に未熟でこのロングミックスくらいしかできない素人なのですが、徐々に音を混ぜ合わせるという都合上これだと曲の頭を聞かせることができない。そこでエコーを使ってブレイクの印象を残したままカットインするテクニックを取り入れて先に練習してから投入…。新しいことをやってるので録ってるときに事故らないかすげえ緊張した。
 こういうことをさぁ……本職のDJさんはお客さんの様子を見て、その場で考えながら「ここはジワッと入れていこう」「ここは一気にぶち込もう」ってエフェクトかけて工夫するわけですよ。手元がめちゃめちゃ忙しいんすよ。よくあの手技ができるよなと尊敬するんㇲよね…。

 そこから2 melloのwho that! ~ a day in the park。
 2 melloは以前べつの記事で取り上げたりしたんですが、ジェットセットラジオの長沼英樹さんの楽曲に影響を受けたトラックメイカーです。長沼さん側からも認知されていたりする。中でもwho that!が収録されているPHDは長沼サウンドに影響されつつも彼のオリジナリティを模索して作られたアルバムで、本家に負けず劣らずいい曲作ってます。
 っていうかジェットセットラジオがゲーム業界に与えている影響ってマジでデカくないすか???って思ってて。2 melloのようなアーティストへの影響はもちろん、ラジルギが当時トゥーンレンダリングを取り入れたのもジェットセットラジオが一因だったりするそうですし。現代だってリーサルリーグにHoverにウムランギジェネレーションにBomb Rush Cyberfunkといったいどれだけのシーンに絡んでいるのかと……SEGA!!!おいSEGA!!!ジェットセットラジオの新作作り始めるのだいぶ遅いぞ!!!!!わかっているのか!?!?!?!?お前が始めた物語だろ!!!!!!!!!!!!!!!
 長沼さんって結構知る人ぞ知るというか、ゲーム音楽好きな人でないとパッと出てこない通な役どころになってますけど、本来もっと誰でも知ってるくらいに評価されててもいいんじゃないかと思ってるんすよおれは。ZUNTATAやコナミ矩形波倶楽部、古代祐三といったビッグネームに長沼英樹が並んでてもおかしくない。レジェンドオブレジェンド。ここにもうすこししたらラジルギ2で再評価されてk.h.d.n.も入ると思う。いやおれの中ではもう入ってるんすけどね。あるいはおれの感性が世の中の三周くらい先に行ってる可能性もあるのでエラーゲームリセットされる前に世界はさっさとおれに追いついてください。

中盤

 続いてa day in the parkからDancing For Heavenに。

 a day in the parkは跳ねるようなストリングスが本当に良いウワモノになってますよね。シューティングといえば一面のインパクトが強くて二面が評価されづらいんですが、この曲は本当に聴いてて楽しい。
 そこから「ラジルギのトラックメイクがクリックハウスの要素も含んでいる」という話をTGSの公演でされていたのを思い出したのでここらでDancing For Heavenを混ぜ込んでみました。Todd EdwardsはクリックハウスやUKガラージの先駆者だったりDaft Punkと共同制作もしたりした超超ビッグネームなので浅学のおれがヘタに語るよりウィキペディアを引いてもらったほうが良いのではと思います。この曲は特に「サンプリングした声を徹底的にカットアップして楽器にしてしまう」というこの人の作風がよく現れていて好きです。シンセサイザーになっちゃうよ~。
 ただまあToddの曲ってビルドアップ要素が少なくて、だんだん盛り上がっていくというよりはクリックハウスらしく同じフレーズをしつこいくらいに繰り返すので、おれの無駄話くらい長くてちょっと飽きられやすいかなと思ったりもします。フィルターをひねって少し変化をつけてみましたが、改めて聴いてみるともっと過激にいじってみても良かったかな…。みなさんもこの辺でおれの文章読むの飽きてきたと思うので適宜ツマミいじってウニョウニョHPFとLPFかけまくってください。

 codition green~Chasing of Love~the ordinary peopleはちょっと一旦チルいというかクールダウンを狙っています。
 特にChasing of Loveとthe ordinary peopleはグルーヴが秀逸ながら、聞く人を踊らせるというより普段の生活のなかでスムーズに聴ける曲ですよね。ハウスの良さって「ノンストップで踊れ!とばかりにディスコミュージックにガンガンに寄ることもできるし少し大人しく振る舞えば日常への可溶性もある」ことだと思っていて、同じ4つ打ちでも全然表情が違うのが聴いてて面白い。

 equality,To The Topはミックス作る前から聞いた瞬間に「これだーーーーッ!!!!!」と思っていた組み合わせですね。
 equalityがかなりハッキリしたブレイクビーツなので、特徴的なドラムから入り背骨としてそのまま一曲通してブチ抜いているTo The Topに繋げたらメチャメチャ気持ちいいだろうな…と考えていました。ただ改めて完成品を聴いてみるとちょっとそのイメージを実現しきれていないのが惜しいところで、もっとマッシュアップ気味に混ぜてしまえばよかったなという反省がありますかね。

終盤

 we need it~24/7~Ukiha Shopping Mall-Drumstumental Dub-の三曲で少しずつ流れを畳みに入っています。
 名曲24/7を入れてある程度盛り上げつつも、音数の若干少ない曲を選んでちとブレーキをかけながら進行。最後にシメとしてgroovin more groovinをフルがけして楽しんだ後にkillegal functionで終わり!

 冒頭にアドバタイズ・デモを置いたのと同じ理由でkillegal functionで終わりたかったので、このへんはむしろ終わりから逆算してずっと「どう終わるか」を考えていました。作品の頭と終わりが決まっているとクリエイトしやすいっていうのは本当にどんな創作にも言えることで、最初の一曲と最後の一曲が決まっているとそれぞれ一個となりの曲はすごく決めやすいですね。となりの曲が決まればそのとなりの曲もある程度絞れます。


MIX制作後記

 そもそもラジルギから入れたい曲を選んで入れるというコンセプトである以上かなり骨組みが決まっており、そのあいだにスポスポと親和性の高い曲をはめ込むように決めれば良いので、今回はまったくのイチから自分でセットリストを組むという悩みから解放されていたのでやってて楽しい作業でした。
 人によると思うんですけど、おれは結構苦しいんすよ……セットリスト考えるの……。いや好きでやってるから楽しいは楽しいんだけどさ……。だってせっかくいい曲が無限にあるのにBPMやキーやイントロの相性でどれを採用するか取捨選択するのって難しくないか?「いやもうエエわ!全部名曲だから全部聴け!!!!!」ってなってきます。ディスクジョッキーが乗りこなすべき曲に振り回されてどうするって話なんすけどね。
 そのへんの苦しみがすごく少なく、曲順を考えていて本当に楽しい・面白いの成分が多くて良かったですね。こういう何曲か採用曲を先に決めてMIX作るメソッド、いいかもしれないな…。

 反省点としては「もっといろんなミックス技法を取り入れる」ですかね。手元がワタワタして事故ることを恐れてシンプルなロングミックスばかりに頼っていたので、カットインをもっと使ったりループを使ったりエフェクトを使ったりでテクニカルに盛り上げるといった付加価値を生み出せるようになりたいです。こればっかりはどんどん使って慣れて習熟するしかない……。
 特にk.h.d.n.は成子坂下下海賊放送とかを見ればわかるんですけどご自分でDJされてますからね。DJもこなしているトラックメイカーの曲をプレイするときの緊張感ってわかります?いやマジめっちゃ畏れ多いんすよ!!!わかってほしいこの緊張感を!!!ねえ!!!スクリレックスの曲はスクリレックスが一番使い方わかってるしチェンスモが最もチェンスモを理解してるんすよ。
 DJは曲の構成への理解度が高ければ高いほど「ここでフランジャーかければ面白いな」「サンプラー鳴らしたら気持ちいいな」ということがわかるので、当然その曲の制作者がいちばんプレイの仕方を知ってるんです。もしこのミックスを林さんや永田さんに聞かれていたら一瞬の迷いもなく土下座するね。これからも精進しますのでお許しください…。


 しかし振り返ってみると自分が録って公開したMIXのなかでは一番しっかりできている、というか初めてちゃんとしたMIXが録れたという実感があります。これまで公開したものはそもそも曲のつなぎ方を理解していなかったり音量調整で失敗してクリップしちゃったりといった根本的なミスがあったので、今回そういったところに注意して作り上げることができたのもあり「これはおれのMIXだ!!」と胸を張って言える納得感があります。

 今年はラジルギ2も楽しみですし、もっとステップアップするために曲と曲のマッシュアップをやってみるといったことにチャレンジしたいですね。……お、新年の抱負が1個決まったな。

 そんなところでごじゃる。




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