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45歳になる私から、27歳の私へ。

他の同僚と同じように給料も上げたい、昇格もしたい、責任のある仕事も任されるようになりたい、けれど子どもも欲しい、家族も大事にしたい、あれもこれも、欲しい。と思ってしまうのは、わがままなのだろうか。

27歳、OLの憂鬱

いつもTwitterで拝見している、考えるOLさんのnoteを読んで、ドキッとした。
今年45歳になる私も、20代のころ全く同じように思ってた。
四半世紀経とうとしてるのに、20代女性が悩むことに前進が無いのはどうしたことなんだろう。

あの時の私たちには、本当に事例・前例がなかった。
27歳で私が妊娠した2005年4月は、雇用機会均等法施行から19年、育児休業法が施行されてから13年。
育児休業法施行の初年度に育児休業を取得した人は14万人で、2020年の10分の1。育休取得したとしても復職できない職場も多かった。
つまり、その時点ではいわゆる”総合職”をしながら育児期を乗り切った人がほとんどいなかった。

27歳のとき、私はその先の未来が見えなくて憂鬱だった。
選択肢は多く、そのどれも、やってるひとは周りにいなかった。
(正確には身近に2人いたけど、自分とはかけ離れた超人に見えた。)
だけど、今はもう時代が違う。ちゃんと前進してる。
私も含めて、事例はものすごく増えてる。
なのになぜ・・・?
”いまの若い人のほうがずっとラクなのになぜ憂鬱なんて言うんだ?!”ということじゃなく、なんでラクになっていないんだ?という疑問。
だけどとにかく、27歳のあの時の私に、知りたかったことの答えの1つを、45歳になる自分から送りたいと思ったので書いてみる。
考えるOLさんへのメッセージではなく、27歳の自分に、あなたはこうだったよ、とタイムマシーンに乗って伝えに行きたい気持ちで書く。

産み時に「コレ!」といった正解はなさそう

私は、散々産みどきに悩んだ割には、無計画に、第一子を授かった。
やってみたいと思っていた新人育成の仕事を任せてもらい、受入れ準備を重ね、当の新人が入社した4月というタイミングで妊娠が発覚。
いつか産みたいと思っていたのと、流産を経験して”できないかもしれない”と思ったので「もういつでも来い」という気持ちで自然に任せていた結果だったが、喜びではなく、戸惑いと恐怖で目の前がぐるぐるまわったのを覚えてる。
つわりもひどく、切迫早産にもなったので早めに産休に入ることになり、本当に中途半端に、プロジェクトから離脱。
以後、新人育成に携わるチャンスには恵まれなかった。
だけど、あの時妊娠しなければ、と思ったことが、一度も無い。
ただラッキーなだけかもしれないけど、このnoteを書くために振り返って初めて気づいたぐらい、考えたことも無かった。

ここ10年ぐらいの身近な事例を見ていると、
・はたらきやすい制度が整った会社で
・ある程度出世してから(つまり、会社との信頼関係を確定的なものにしてから)
出産すると、その後なにかとやりやすそうだなぁとは思うものの、
それより前に出産したからといってものすごく後悔するようなことでもないし、取り返しがつかないようなことでも無い、というのが実感。

27歳の私にこんな話をしたら、「何の答えにもなってない」と怒りそうだけど、「産み時にこれといった正解はない」というのが私の答え。
強いて言うなら、出産は仕事と違ってかなり動物的なイベントなので、考えすぎないのがいいのかもしれない。並列に並べて考えること自体に少し無理を感じる。自分がいつ生まれるのかを選べないのに近い。産まないようにすることはできるけど、「いつ」を選ぶのは難しい。

人と比べることから解放されるのが気持ちよかった

27歳の私は、考えるOLさんと同じように、給料や会社からの評価を上げたいと思っていたし、それを1年以上休んで停滞させること、戻ってきたとしても労働時間が劇的に減り、戦線復帰の目処が無いということに、焦りと憂鬱さを感じてた。
けど、実際に産育休を過ごしてみて感じたのは、”停滞”ではなく自分の能力が拡張される感覚。
それまで見えてなかった消費者・生活者としての世界。
赤ん坊というままならない存在に対応するための「待つ」スキル、柔軟にスケジュールを組み直しながら確実に前進させるマネジメントスキル。
全く異なるバックボーンを持つママ友たちと協業するコミュニケーションスキル。
復職したときには、すごく成長した自分を感じて嬉しかった。
仕事の側面だけで考えると、これって留学みたいだなと思った。
時短勤務でお給料は激減で憂鬱だったし、当時はそこまでは思えなかったけど、今となっては、劇的な成長のほうが自分には価値があったと感じる。
自分が感じる成長が、会社の評価につながらないことに落胆してはいたけど、出産する前のような焦りからは解放されていたような気がする。
だって、良くも悪くも、もうひとと競いようが無い。
私は私が満足するように成長していけばいい。もう急がなくていいからちょっとほっとする、そんな感覚。
ちょっとずつだけど、そんな風にどんどん、自由になれた。
会社員を辞める決断ができたのも、そんな経緯があってのことだと思う。

18年後の私

子どもを育てつつ、時短勤務・フルタイムの両方を経験しながらのワーママ会社員生活は、8年ぐらい続けたと思う。
その間に子どもは二人産んだ。
二人目を「いつ」というのは、仕事のことじゃなくて一人目の子のことを中心に考えたような気がする。一人目よりは悩まなかった。悩んでも思った通りに行かないことをもう知ってたから。
会社員として出世はできなかった。(ワーママだったこととは正直それほど関係ない)
「仕事と家庭の両立」には確かに悩み・苦しんだ。
結果的に当時は、「会社員」という枠を取っ払ったらもっとやりやすいんじゃ無いかという仮説を持ち、非専門職ながらフリーランスにチャレンジするという無謀な決断をして、もうすぐ10年。
それによって、年収は激減。
でも、人事評価で収入が決まる世界から商売の世界にお引っ越しして、他者からの評価や年収を自分自身の価値と強く結びつける価値観からより解放された。
人生楽しくなったし、正直、仕事での成長も早くなったと思う。ビクビクしないで目的だけにフォーカスできるようになったからだと思う。
やってみてよかった。
今は、フリーランスの仲間と案件ごとにチームを組んで業務改善の支援やアウトソーシング、チームビルディングの支援などをする、ナラティブベースという会社の役員をしてる。
一緒に働いてみたいなと思う人とたくさん出会ったし、一緒に仕事したいと声をかけてもらうことも多い。
自分がいいなと思った働き方を広める活動ができていて、とても幸せに働いてる。
ただの結果論だけど、子どもを産んだことが分岐点になって、こんな風に転がってきた。

27歳の私へ

妊娠が発覚して、キャリアの遠回りや、そもそも元の働き方に戻れるのか不安で憂鬱でしょう。
結論から言って、あなたは元の働き方に戻ることは無いよ。
だって子どもが育つまでかなりの時間がかかるし、あなたは歳をとる。
でもそれはネガティブな変化じゃ無い。
いまそれを聞いても、信じないと思うし、それを否定して元のルートに戻るという選択肢もある。
けど、あなたは戻らなかったし、それで満足してる。
諦めたのでは無くて、もっと面白い冒険を見つけたという感じ。
多分、元のルートに無理に戻ってたら、私はこんなに成長できていない。こんなにたくさんの経験をしていない。(元のルートに戻るのが不正解ということではなくて、”私の場合は”という意味ね。)
キャリアは、あなたがいま思ってるような一本道や階段ではなく、もっと自由に広がってる世界で、好きなように自由に進んでいい。
その轍が「キャリア」になるんだなって、もうすぐ45歳になる私は、心から感じてるよ。

ただ1つだけ伝えておきたいのは、働きたいと思ってるなら、何らかの方法で、働き続けた方が良さそうだよ、ということ。
産育休は仕事面では留学のような効果があったと書いたけど、だからといって何年もの長いブランクはおすすめしない。
技術の進歩や変化のスピードが加速度的に上がってる今の世界では、長すぎるブランクはビジネスの世界に戻るハードルを上げるのは事実。
それでも長期間離れて育児も含めてやってみたいことがあるのであれば、それはもちろんアリで、そこからも面白い轍は生まれるけど、ただ、そこは覚悟の上で。

いろいろ書いたけど、何をどう進んでも、あなたは成長するし前進するんだから、今できること、したいなと思うことをしっかりやってれば大丈夫。
大変だけど、楽しんで!


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