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子どものころの常識に鑑みれば、「ゴジラ対メガロ」は面白かったのです!

こんにちは。噺のキャリアコンサルタントこたにです。
世間的には評価されないものでも、愛してやまないものってありませんか?
そんなものの私の中の筆頭は、日本で作られたゴジラ30作品の中で最も評価が低い「ゴジラ対メガロ」なのです。

大人の目で観れば、評価されない理由はわかり過ぎるほどわかるのです(ネタバレです)

世間的な評価をネットの人気投票や映画評サイトで見てみました。
「ねとらぼ」が「ゴジラ-1.0」公開時に発表した歴代ゴジラ29作品の中の人気投票では、総投票数1620票中 3票しか得票できずに最下位です。
映画.comのレビューでの評価は2.0、YAHOO!映画の評価でも2.2とかなり悲惨な評価です。

それもそのはずで、ストーリーをざっと見てみても

  • 水爆実験で被爆した「核の被害者」であるゴジラが、地上人が行った水爆実験で生存を脅かされた海底人(が差し向けたメガロ)を撃退する。

  • 高性能人型ロボットジェットジャガーが、自我に目覚め、独自に判断してゴジラに助けを求め、巨大化して怪獣達と戦い、敵を撃退した後は元の姿に戻り平和に暮らす。

  • 海底人は助っ人として前作に登場していた宇宙怪獣ガイガンを招聘する。

  • ゴジラは居住地である南の島(怪獣島)から、海を泳ぎ、陸を歩いて決戦の場である富士の裾野にやってくる。

  • ジェットジャガーは、メガロとガイガンの挟撃を受けながら孤軍奮闘。いよいよ危ない!っとなったその時に、電信柱を爪楊枝代わりに、巨木を仕込み刀代わりに携えたゴジラ(当時の人気番組「木枯し紋次郎」を模したもの)が颯爽と登場し、「怪獣タッグマッチ」が開始される。

  • ゴジラは得意の放射熱線をほとんど使わず、ドロップキックなどを駆使して戦う(撮影的な苦労はパンフレットに書かれていたけれど、大人の眼で観てしまうとちょっと情けないシーン)。

ストーリー以外にも、キャストがとても少ない(ヒロインがいない)とか、それまでのフィルムの使いまわしが多いとか、街を破壊するシーンがなく決戦上は富士の裾野(という平原)であるとか…。
お金がかかっていない感が強く出ているのもマイナスな要因になっています。

当時の幼稚園児(私)の常識としての世界観からすると、違和感が全くない(笑)

子どもだったから、「子供だまし」みたいな映画に熱狂したのだと言われればそれもそうだと思うのですが、当時の幼稚園児の世界観からすると、実に理にかなった映画になっていたのです。
今のようなネット環境もなく、テレビも一家に一台でそのチャンネル権は父親が握っていた昭和48年。そんなに裕福でも貧乏でもない家庭の幼稚園児が、好きなゴジラの情報を得るのは、映画のパンフレット、朝日ソノラマなどのソノシート付のムックや、友達との情報交換が主でした。
私の家には、それまでに連れて行ってもらった「東宝チャンピオンまつり」の映画パンフレットが数冊と、「ゴジラ対へドラ」の子供向けのムックがあって、私のゴジラ観はそれらの本から作られていました。
これらの本の内容は子供向けに分かり易くアレンジされていたこともあり、「ゴジラは普段、南の海の怪獣島に住んでいる」「ゴジラは悪い怪獣をやっつけてくれる」「公害やおしっこなどで海が汚されているのをゴジラが見たら怒るのではないか?(ゴジラ対へドラのソノシートの冒頭にそのセリフがある)」などがゴジラについての「常識」でした。

一方でロボット観はというと、「人造人間キカイダー」がすでに放送され、「自我を持ったロボットはいるのだから自我に目覚めるロボットもいそうだな」と思ってしまいましたし、ウルトラマンは巨大化したり縮小したりと自由自在だったので、ロボットとはいえどもそんなこともありそうだと、思っていました。
ミュージカルではキャストが急に歌い出してもそこには突っ込まない「ミュージカル的お約束」があるように、特撮には特撮の「特撮的お約束」という奴があって、テレビで流れる特撮番組を見て鍛えられた子供の目線からすると、すべてがお約束として納得できてしまったのです。

がんばれ!ジェットジャガー 早く来て!ゴジラ!!

さて、そのような特撮好きの子供から見ると、正義のゴジラが地上を脅かす悪い怪獣を撃退するのは当然です。
遠い南の島に住んでいるゴジラが、海を渡ってやってこなければいけないのも、そのせいで時間がかかってしまうのも当然です。
そしてこのことが、初めは2対1でも優勢だったジェットジャガーが、孤軍奮闘となって劣勢になってしまい、「ジェットジャガーがやられるかもしれない!急いでゴジラ!!」「まってましたゴジラ!!」「さあいけ!!ゴジラ!!!」という手に汗握る展開の説得力になっていたのです。
映画館で手に汗を握り、ハラハラしながら観ていた記憶がしっかりあるので、大人になって観返してみて、「これは…」という冷静なジャッジもしつつ、決して嫌いになれない、むしろ愛してやまない映画となっているのです。

あとがき

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「ゴジラが木枯し紋次郎スタイルで登場する」というシーンは、撮影されていたけれどカットされているというのが有力です(Wikipediaもそちら)。
恐らくそうだったのかもしれないのですが、当時のパンフレットにはゴジラが電信柱を加えて登場した写真が載っていて、映画を観た時間よりパンフレットを読み返した時間の方がずっと長くなってしまった脳内には、そんなシーンが本編でも観られたように変換されて残っています。

こんな感想を書いている私ですが、歴代ゴジラの人気投票をすることがあったとして、複数回答が許されるのであれば「ゴジラ対メガロ」を選びますが、一票だけと言われたら選ばないだろうなぁ…。

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