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次男坊についてのetc

親世代(65歳以上高齢者)と子世代(既婚)の同居比率は、この40年で52.5%から10.0%に減少しています。自分も子供時代は三世代で住んでいましたし、田舎ということもあり、周囲もたいていはそうでした。

1993年のドラマに『ダブル・キッチン』という作品があります。主演は山口智子さんと高嶋政伸さん。二世帯住宅における嫁姑問題をコミカルに描いた作品で、姑役に野際陽子さん。1993年というと、先の同居比率が4割を切った頃。ちなみに、二世帯住宅という提案は1975年からありましたが、本格的に浸透していくのは、バブルによる土地価格高騰の1980年後半以降。

バブル期によく言われた、女性が結婚する条件として「三高」がありました。高学歴・高収入・高身長というものでしたが、それプラス「次男」という条件もよく耳にしました。長男は親戚づきあいや親の介護があるので、結婚するなら絶対「次男」というわけです。学歴と収入なら、本人の努力でどうにかなりますが、身長と長男はどうしようもないなと(笑)。

日本の2021年の出生率は1.30ですから、兄弟姉妹がいる家庭の方が少ない中、子供が二人いる場合と仮定しても、次男が生まれる確率は、女→女・女→男・男→女以外の男→男パターンしかありませんから、今や次男坊は稀少といえましょう。

次男坊が主人公・北条義時(小栗旬さん)の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が昨年末、好評のうちに終わりました。義時には北条家の嫡男で兄の宗時(片岡愛之助さん)がいたのですが、亡くなってしまい。

義時がいわば「繰り上がり長男」となり、北条家を支え、鎌倉を仕切っていくことになりました。宗時が存命中は、のほほんと気楽に生きていたものの、兄亡きあとは徐々に責任感が芽生え、修羅の道を突き進みました。「繰り上がり長男」として、北条家の「跡取り」を全うした人生。

実は自分の父も「繰り上がり長男」の次男。父の兄は若くして亡くなり。父も別の夢があったようですが、粛々と家を継ぎ。小さいながら組織のトップに立ち、弟妹の面倒も生涯よくみて、祖父母を家で看取り、田畑を減らすことなく子供たちに高等教育を与え、静かに亡くなりました。「繰り上がり長男」として、「跡取り」の責任を全うした人生。

伯父が亡くなっていなければ、父はもっと自由に生きて、その人生も違っていたでしょうし、恐らくは母と出会うこともなく、自分が生まれてくることもなかったはず。人の誕生とは、偶然が偶然を呼ぶ、誰にとっても奇跡。


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