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ドラマ日記『ファーストペンギン!』(最終回)

漁業の世界に飛び込んだシングルマザー・和佳(奈緒さん)と、彼女と共に改革の荒波に漕ぎだした漁師たちの“奇跡の実話(坪内知佳さん)”をモデルにした、リアル・サクセスストーリー『ファーストペンギン!』の最終回。

和佳が、浜全体を外国資本に売り渡してしまった、と片岡(堤真一さん)に報告。この話をなかったことにするには、浜の全船団が波佐間成志(小西遼生さん)の仲介で締結した「神饌(しんせん)オーガニクス」との契約を破棄することが必要という。

「さんし船団丸」を潰すため「針」と称する工作員を船団に送り込んでいた元議員・辰海(泉谷しげるさん)の力によって、神饌オーガニクスとの契約は解除されますが、辰海は「お魚ボックス」も止めるよう和佳に要求。

「お魚ボックス」を残したい、引いては日本の漁業の未来を明るくしたい和佳は、「お魚ボックス」を残す代わりに、自分が漁業の世界から身を引くという「落とし所」を提案。ついに辰海も了承。

たくみ(上村侑さん)に営業を本格的に指導するなど、事前の準備をした後、漁業の世界から身を引くことを片岡らに告げると、「ならばお魚ボックスを止める」と言い出す片岡。

これに烈火の如く怒った和佳は、初回と同じく片岡らを罵倒した後、「この先には、いつか絶対にすごい未来が待ってるから。すごい景色があるはずだから、それを見せてよ」と語りかける。片岡も涙を流しながら 「もちのろんスケじゃ!」と答え。奈緒さんの堂々たる主役ぶりでした。

和佳が去った後の後日談も描かれ、「お魚ボックス」が全国に広がり、農林水産省の溝口(松本若菜さん)が、漁業の規制緩和に動き、若手漁師たちが次々と結婚、子供が生まれるなど明るい未来の予感。辰海の死もまた。

最後は例の感染症のある世界。和佳の息子・進(城桧吏さん)が片岡を訪ねてきて、和佳が今度は林業の世界に飛び込んだことが明かされエンド。実話と最後は違う展開でした。

「森は海の恋人」という言葉があるように、和佳(林業)と片岡(漁業)たちはつながっているという、朝ドラ『おかえりモネ』にも通ずる見事な最終回。

正確には交渉ではなくお願いだった「落とし所」。旧態然たる男社会の権力者・辰海に土下座する和佳の姿は、ほろ苦くも現実社会を反映。脚本家・野木亜紀子さんのツイートを引用するなら「現実は未だここ」。絶妙なバランスで描いた森下佳子さん。やはりその作品にハズレなし、ですね。

余談:本日の朝ドラ『舞いあがれ!』では、帯広に帰還した舞(福原愛さん)を、心配していた柏木(目黒蓮さん)が、人目も憚らずハグする彼氏面展開。

もしも、大河内教官(吉川晃司さん)が、マンガ『エースをねらえ!』の宗像コーチだったら、柏木を呼び出して「女の成長を妨げるような愛し方はするな」と言うでしょうけどね。



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