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【地域円卓会議】加賀市の子どもの自然体験を考える地域円卓会議(8月9日開催)

2023年8月9日(水)「加賀市の子どもの自然体験を考える」をテーマとした地域円卓会議をあくるめ財団の主催で開催いたしました。

今回は、6名の方がセンターテーブルメンバーとして着席し、論点提供者の「困りごと」に対してそれぞれの視点から知っている現状や課題などの事実を持ち寄り、テーマに対する理解を深めていきました。

また来場者の皆様とのサブセッションも行い、そこで話し合われた内容を踏まえて生まれた新たな問いや議論の深堀を行いました。

集っていただいたみなさまと新たな気づき、そして思考が深まる有意義な時間を共有することができました。ご参加いただいた皆様、また準備にご協力いただいた皆様、心より御礼申しあげます。

以下、開催報告となります。


第一回 地域円卓会議

テーマ:加賀市の子どもの自然体験を考える地域円卓会議
〜加賀市内の小学生以下の子どもたちにおいて自然体験がどのように行われ、どのような課題があるか確認する〜

日時:2023年8月9日(水)13:00〜16:00
場所:かが交流プラザさくら内 加賀市イノベーションセンター カンファレンスホール
着席者数:9名(論点提供者、司会、記録者含む)
参加者数:合計25名(現地 11名 zoom 14名)
参加者の属性:教育機関、行政、市議会議員、児童センター、一般社団法人、企業、NPO、自営業、その他
主催:公益財団法人あくるめ
機材配信協力:北陸大学 田尻慎太郎ゼミ d-lab

論点提供:岡島 万智(公益財団法人あくるめ 事務局長/自然体験事業主担当)

2017年の発足当初より公益財団法人あくるめでは、加賀市内の小学生以下の子どもたちに公平な自然体験*の機会が与えられるように自然体験事業を実施してきました。今回の円卓会議では加賀市内の小学生以下の子どもたちにおける自然体験の現状と課題を確認し、自然体験の重要性、自然体験の機会が失われた時のリスク、持続的な活動を行うための費用への考え方等についてあらゆる立場の方々と話し合います。*家庭以外で行われる自然体験のうち有料であるもの(第三者が資金負担しているものを含む)

着席者:

金沢大学人間社会研究学域学校教育系 教授 滝口 圭子氏
加賀市教育委員会学校指導 課指導主事 宮下 健一氏


加賀市立動橋保育園 園長 中川 めぐみ氏
いしかわ自然学校 事務局 井上 尚子氏
一般社団法人加賀みどりの楽校 理事 熊岡 洋子氏
北陸朝日放送 米田 宏行氏


司会:飯貝 誠(公益財団法人あくるめ 理事)
記録:亀田 萌理(公益財団法人あくるめ 事務局)

セッション1 

セッション1では、論点提供及び、着席者を中⼼に視点や事例の共有をおこないました。

事実の共有

・あくるめ財団では自然体験活動に年間120-140万円を拠出している。
・園内での遊びと園外での遊びでは子どもたちの関わり方がに違いがある。後者においては①双方向的な関係が構築されやすい②多面的に他者を評価できるようになる③友達と協力してやり遂げることができる。
・加賀市では小学校5・6年生を対象に生活体験学習を実施しているが、加賀市をフィールドにした体験学習が減少しており、他市での開催になることが多い(理由:キャパシティ不足、施設の老朽化)。
・保育園では、自然体験を行う時間がなかな取れない。インストラクターとしても保育園の先生と一緒に振り返りを行いたいが、現場ではその時間が取れていない。
・石川県から委託を受けているいしかわ自然学校で紹介される自然体験活動には毎年3-4万人がプログラムに参加している。
・インストラクターの派遣費が無料になる補助がある。
・石川県内のインストラクターそれぞれの人材は素晴らしいが予算が課題である。
・自然体験を実施しても、加賀市の子どもたちの参加が少ない。
・加賀市のインストラクターはスタッフが不足している、リーダーを担う若者がいない。

事例の共有

・子どもたちは、自然体験活動を通じて危険への対処法をゲーム感覚で身につけられている。
・インストラクターから習った自然体験の手法を活かし、園近くのフィールドでも日常的な自然体験を行なっている。
・過去には自然体験は無料のもの、という認識が強かったが最近では有料で実施する団体が生まれている。
・他市においては、インストラクターと保育園が1年間契約して年間で自然体験に対するアドバイスを行なっているケースもある。
・限界集落のリソースを活かし、交流人口を生み出すことで、過去から伝わる知恵を未来に繋いでいる。

視点の共有

・自然体験プログラムが単発イベントのようになっていないか。
・デジタル社会において本物(自然)に触れる価値があるのではないか。
・非日常的な自然体験も大切だが、日常的な自然体験をどう保育に生かしていくかが重要ではないか。
・子どもの自然体験をとりあげている番組は少ない気がする。

評価の共有

・自然体験を単発ではなく継続で行うことは難しい。
・自然体験活動は大人と子どもどちらにも平等と寛容をもたらす。
・自然体験活動は世界と繋がる感覚を得ることができる(地に足がつき、障壁にぶつかっても倒れない)。
・自然体験活動は、豊かな人間性や生きる基盤をもたらす。

サブセッション

サブセッションでは、会場の来場者およびzoomメンバーで少人数のグループをつくり、テーマに関する意見交換を行いました。グループには、センターテーブルのゲストも各自同席しました。ここではサブセッション終了後に3つのグループから挙がった内容を「事実」「事例」「視点」「評価」に分けて記します。

事実の共有

・加賀市の施設整備ができていない。予算が不足している。

事例の共有

・過去に行った自然体験で「子どもが怖い思いをした」ということで保護者から怪我の心配をされたことがある。

視点の共有

・より近くの自然を連続的に体験することは、地元への愛着につながるのではないか。
・幼い頃に自分の興味を承認してもらった経験は、自然体験活動だけではなくテクノロジーなどの他分野にも生きてくるのではないか。
・メディアの力が必要なのではないか。

評価の共有

・川遊びなどの非日常の体験も大事である。
・広報を担うスタッフや資金が重要であり、そういった活動に使える助成が必要。

セッション2

サブセッションであがった内容を参考に、再度センターテーブルメンバーを中心に対話を進めました。今回の円卓会議では、これまでのセッションか生まれた新しい問いについて話し合いを行いました。また、時間の都合上話し合えなかった問いもあり、次回以降への積み残しも見えてきました。

問い1「子どもたちに、どれくらいの量・頻度の自然体験が提供できれば十分だといえるだろうか」

<センターテーブルから挙がった意見>
・ケースバイケースである。
・天気、太陽、雨などいつでもどこでも感じられる日常の自然を生かす
・大人たち、先生たちの意識や工夫次第である。
・月1回の自然体験を行う園もあれば、3泊4日の自然体験を年に1回行っている園もある。忙しい保育園の先生たちのことも考えなくてはならない。
・量よりも体験で得たものを持ち帰って実践できる機会があることが重要である。
・行事が多く忙しい保育園のなかでは、単発で終わらせないために一年通してインストラクターの方がアドバイス、サポートしてくれる事例はすごくありがたい。子どもたちの活動や様子をみて、その都度次の活動を考えているので、通年で相談できるのは嬉しい。園の日常に反映できる。

問い2「どうやったらその仕組みが出来るのだろうか」

<センターテーブルから挙がった意見>
・小学校には学習指導要領に従って5・6年生に1回、1・2年生には生活科で身近な自然を知る機会があるが、これをインストラクターと連携できたらいい。
・加賀市の小学校にはコミュニティスクールという授業があり、地域の人と学校の授業をつくっている。生き物・環境に詳しい地域の人もいるので、その人から学ぶ、一緒に授業をつくっていくのもよい。
・自然体験クラブでは、年10回地域のプロを呼んでいる。センターテーブルのゲストや地域のプロが上手く繋がり、点→線→面にできないか。

問い3「地域のリソースをどう繋げていけるだろうか」

<センターテーブルから挙がった意見>
・私たちはまだまだ点の状態である。センターテーブルの人たちの活動も知らないことが多かった。
・自然体験をインバウンド向けに実施する広報戦略はどうか。自然体験を商いにする人が増えていくのでは。
・地域の魅力に気づく人が増えると、担い手不足の解消につながっていく。

参加者アンケート集計

参加者数:合計25名(現地 11名 zoom 14名)
アンケート回収:15件(回収率60%) 内訳:googleform 142件・紙アンケート 11件

質問1 どちらから参加していますか?

・加賀市 11名
・金沢市 2名
・小松市 1名
・石川県外 1名

質問2 所属する組織や団体を教えてください。

・教育機関 4名
・一般社団法人 1名
・行政 1名
・児童センター 2名
・市議会議員 1名
・NPO / 市民活動団体等 1名
・民間企業 1名
・自営業 1名
・地域振興会 1名
・回答なし 2名

質問3 本日の地域円卓会議をどちらでお知りになりましたか?

・Facebook、Instagram等のSNS 2名
・主催者からの案内 6名
・友人・知人の紹介 5名
・その他 2名

質問4 本日の地域円卓会議に参加しての満足度をお聞かせください。

・とても満足 3名
・満足 11名
・ふつう 1名

質問5 その理由をお聞かせください。

とても満足を選んだ方
・様々な業種の方々と触れあうことができたから。
・加賀市の現在の成果と課題を知ることができました。また,初めてお会いする方と議論する貴重な機会もいただきました。ありがとうございました。
・多方面からのアドバイス

満足を選んだ方
・加賀地域の自然体験の現状がよくわかりました。
・他の機関の方との繋がりがもてたから。
・いろいろな立場からの情報を共有できた。
・沢山の方の意見を聞くことができ、色々な角度で自然体験の在り方について考えられました。
・いろんな方のお話が聞けてよかった。
・充実した内容で、色んなところで活躍された方々のお話を聞くことができた。
・地域の課題が分かった。
・そもそも自然体験が加賀市内でどう行われているか知らなかったのでまとめて聞けて良かった。
・異なる側面での意見がきけてよかった。
・最後まで出られずすみません!本当は意見交換まで出られたらよかったです。
・仕事をしながらの参加で、途中退席してしまったから。

ふつうを選んだ方
・今回のテーマについての話し合いは少ないと思った。

質問6 本日の議論の中で、印象に残ったこと、良いアイディアだと思ったことがあればお書きください。

・自然体験でのケガについてはみんな神経をとがらせること知る。
・「自然体験を何回実施すればよいのか」という攻めた質問について,今後も考え続けていきたいと思います。現状としては(あるいは実際に即すと),「何回実施すれば十分であるとか,満足するということは特定できず(更には,特定しようとすることにあまり意味はなく),限られた実施回数かもしれないが,その中で何ができるのか,限られた回数をどのように保育,教育,生活に生かしていくことができるのか,どのようにつなげていくことができるのか,について追究すること(の方)が肝要である」ようにも思います。グループディスカッションで語り残したこと:「単発の自然体験の意義づけ」「高校において,農業やこども食堂の運営に興味がある1割を9割に広げていくにはどうしたらよいか」
・自然学校が役に立てるところがある気がしました!連携していきましょう~!!
・自然体験に関するインストラクターの活用について
・地域の方々が自然体験活動にも関わっているのがいい
・地域の方も巻き込んで行うことはとてもいいと感じました。
・日常の自然体験と非日常の自然体験
・セッション①②と区切ってあったこと
・つながりが大切
・教育的な自然体験に仕事としてついても生活できない、というのが暗黙知に近い形でみなさま無意識に話されているのがとても気になりました。
word:ボランティア、兼業、無報酬…
・自然体験活動が続くことを期待しています
・今まで参加したタイプとは異なるもので新鮮だった。
・動橋保育園の中川さんがおっしゃっていた日常と非日常をつなぐというのがいいなと思いました。自然体験というと”特別なこと”となってしまいがちですが、それが日常になると子どもにとっても良い経験だったではなく、自分の術にできそうだなと思いました。

質問7 会議運営に関して、ご意見、感想等ありましたらお書きください。

・いろいろご苦労されたと思います。お疲れさまでした。
・準備や運営等,本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

当日の会場の様子

当日の記録

当日、センターテーブルメンバーの発言をその場で書き起こしております。一部の表現漏れや誤字、脱字などが起きている可能性もございますが、ご了承ください。記録を通じて、当日の雰囲気を感じていただければと思います。

アーカイブ(youtube)

期間限定とはなりますが当日の様子をyoutubeにアップいたしました。ぜひご覧いただければ幸いです。

視聴期限は9月15日(金)までとなります。


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