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こいつら麺食うの上手いな

麺、ヌードル。それは小麦粉で練った生地を伸ばし、糸状にカットした食べ物。というのが一般的な認識でしょう。

「甘い、お前も特級厨師を志す者であれば、麺非麺を」というのは論外として、今回は普通の麺と麺の食べ方について掘り下げていきます。

麺、東アジアでは普遍に食べられている料理。場所によって小麦ではなく、米、豆、蕎麦で作られる物もあり、各地で独自の進化を成し遂げた麺だが、外見がさほど変わらず、一目で「あっ、これは麺料理だな」とわかるミーム持っている。

麺は中国から発祥したと言われるが、麺を芸術品に仕上げたのは日本人だと思う。BBCとナショナルジオグラフィックの番組で色んな国の麺料理を見てきたが。日本のラーメンはダントツに出来栄えがよく、食欲をそそる。

「外人が日本のラーメンを褒めたぞ!やはり日本はスゴイ!」ああ、ラーメンをここまで育てあげた日本人すごいよ。だがラーメンが芸術である以上、食べる者も当然芸術的センスを求められる。初めて日本のラーメン屋に行ったときの事だ。肌寒い夜、日曜の秋葉原、人が混みすぎて買い物がままならず、歩き疲れた僕はカロリーと温かい食事を求め、カウンター席しかない小さなラーメン屋のノレンをくぐった。

券売機に千円札を差し込み、900円の特製ラーメンを注文した。旅の際は金をどんどん使う主義だ。しばらくして、特製ラーメンが僕の前に置かれた。僕はX字に箸を持ち、纏わり付いている麺をほぐし、一口分の麺をスープの表面に引き上げて、一気吸い込んだ、うまい。ラーメンはそんなに食べたことないが、率直にうまいと感じた。次の麺を引き上げようとしたその時。

ズルッ!ズルズルッ!ズルズルーッ! 隣席、ナード風貌の兄さんが、鶴の嘴のような美しいフォームで箸を持ち、器用に麺をつまみあげながら、少しずつ口に吸い込んでいくのではないか!声がうるさいことさえ無視すれば、荘厳とも言えるほどの光景であった。僕は魅入られ、箸を止めた。これがジャパニーズスタイル……

「ガイジンか」突然耳に入ったこと単語が僕の注意を引いた。背中を突き刺さるような視線を感じて、ふり返ったが、誰もこっちを見ていない。バレた?なんで?X箸からか?それとも麺を噛み切ったからか?僕の脳裏に旅行の下調べの際に目にしたYなんとか知恵袋の恐ろしい内容を思い出した。

X箸でラーメンを食べる者、麺を途中に噛み切る者は多分○○人だ。見かけた次第殺せ。

そんなやばい奴に目ぇ付けられたのか!?僕は麺を食べる速度をあげながら、いつでも応戦できるようにポケットに忍ばせておいたスイッチナイフに手を付けた。うまい、でも奴がいつ襲ってくるかわからない、こわい、うまい。

いい思い出でした。

◆🍜◆

見たことある麺の食べ方を整理してみた。

1.ジャパニーズ・スタイル:主に日本人が使用する。鶴の嘴の様に箸を使い、麺をつまみあげ、最後まで啜り切る、美しい形である。素人が真似すると過呼吸の危険性が伴う。

2.レンゲを使う二刀流:麺を引けあげ、レンゲで受け止めると、スープと一緒に口に運ぶスタイル。肺の負担が少なく、麺とスープを同時に楽しめる。初心者にはお勧めか。

3.蛮人スタイル:無作為に麺を摘まむと、口に運んでは啜りきれない面を噛みきる。勿論啜れなかった麺はとぼっと丼に戻ってしまうため、それが汚らしく未開化の象徴と捉える者もいるとか。X箸もこれに含まれている。

4.噛まずに飲みこむ:文字通り口に入った麺を噛まず、或いは細かく噛み砕かずに飲み込む。上級者すぎる故に麺にうるさい原理主義者の中でも使い手は少ない。これはテレビで早食い選手が実践したのを観た。凄すぎたためあいつの食道はワームホールではすら思えた。

5.漁師スタイル:適量の麺を表層につまみ上げ、啜って食べるフォーム。その動きは疲れて海面に浮かぶマグロをハープーンで刺すと似ているため漁師スタイルと呼ばれた、今考えた。僕は主にこれ。

箸を使わず用意しておいたマイフォークで食べる者も聞いたことあるが、実際に見たことないので割愛します。あなたはこの中のどの方法で麺を食べているんですか?

◆🍜◆

僕が尊敬するシェフ、作家、テレビパーソナリティであるアンソニー・ボーディンが言った、「食文化はその民族の根源に繋がっている。馬鹿にしてはいけない」と。逆に言えば、「異邦の人間をいきなり我が国のマナーと習慣で縛り付けるのはよくない」とも言えるのではないか?アンソニー、僕は覚えているよ、あんたはイボイノシシの鼻を食って、おっかない狩人に感謝したあと、すぐカメラ目線で「イボイノシシの肉は超くさい、マジ無理」と言ったよな?

つまり僕が言いたのは、飯ぐらいは好きに食わせてやれってことだ。食べる側がシェフに敬意を払っていればそれでいいし、作る側も客が大車輪を描きながら麺を啜るや伏せ丼など非常識行為を繰り出さなければ、それでいいじゃないか?おうそこの原理主義者の兄さん、なに人がめし食ってるところじろじろ見てんだ?はよ自分のラーメン食わんかい!

はぁ……はぁ……言えたぜ、ずっと心に秘めていたことを……おれはな、これからも日本に行くし、麺類も食べるからよ。おれの言うことに文句があれば麺を食べている隙に後ろから絞めたり、ナイフで刺さたり、いっそうめん切り包丁でおれの首を刎ねてもいい。今更麺類原理主義者の望み通りに習慣を変えるのがもう遅いし、連中に媚びる気もない。このnoteを読んで「アクズメの野郎……また調子に乗ってやがる!許せん!日本に来たら叩きのめしてやるぞ!」な方々、チャンスはもうすぐ来ます、それは11月。

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