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北欧メンタル治療日記

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スウェーデンで受けたカウンセリングと自身の変化過程の記録。日本で生きづらさを感じているどなたかの元に届いて、何かのきっかけやインスピレーションになればいいなと願い綴っています。
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北欧メンタル治療日記へようこそ

こんにちは、アルです。いらっしゃい。フィーカ(スウェーデンのお茶の時間)に立ち寄った気分で、気軽に読んでいただけるような場所にしたいと思っています。テーマがテーマですからね。 私は30代の日本人、スウェーデンに住んで6年が経ちました。来たばかりの頃は自分を女性だと認識していましたが、スウェーデンの社会で生活するうちに、自分はニュートラルで、好きになる人の性別も様々だと言うことに気づきました。日本社会で生きるために刷り込んでいた使いやすい自分がいると分かったこと。それが本来の

精神科、はじめての問診(1)

スウェーデンにはVårdcentralen(ヴォードセントラーレン)という医療施設が地域に必ずいくつかあります。直訳するとケアセンターで、診療所と言ったところ。そもそも私は普段ほとんど医療機関を利用することがなく、数年に一度検診に呼び出されるか、つい最近一度目のワクチンのために利用したぐらいで、自ら予約して赴くというのは実はスウェーデンでは全く初めての経験でした。 インターネットのサイトを経由して近所にできたばかりのところを選び、簡単に状況を説明して送信。スウェーデンの公共

精神科、はじめての問診(2)

その(1)はこちら: 担当の一般専門家の方と話したことはざっと以下のようなことでした。 ・現在どのように感じているか ・うつ状態になる頻度 ・うつ状態になるとどうなるか ・話せる友人はいるか ・たばこやアルコールの依存はあるか 私の場合、当時のパートナーと別居して(交流はまだある)三年ほど経つのですが、一人で生活し始めてから大きな落ち込みを引き起こしやすくなり、酷く落ち込むと人生のネガティブな側面しか見えない、生きる気力を失くす、自殺願望が出て来る、といったことが目立っ

抗うつ剤、はじめました

私に初めて処方された抗うつ剤はSertralin(セルトラリン)です。日本でも一般的に使用されているようですね。担当の方からも少し説明されていましたが、薬剤師のお姉さんにも、初めての服用なので最初の10日間は半分(25mg)だけ、それからは一錠を一日一回同じ時間に飲むこと、とのことでした。朝夕は関係なく、とにかく同じ時間に飲むことが大切だそう。 効能は: ・うつとうつの再発 ・社会不安障害 ・PTSD ・パニック障害 ・強迫性障害 うーん、私、程度は多かれ少なかれ、ほぼコン

抗うつ剤への偏見に負けない

ただ今抗うつ剤服用四日目の昼、空腹は感じるけれどあまり食欲が出ず、食事回数を増やしてたんぱく質をメインに、食べられるだけの量を少しずつ摂る対策を取っています。元々胃腸が弱く少食なのですが、しっかりトレーニングを始めてからは結構食べられるようになっていたので、やはり薬の影響があるのかなと…怠さや眠気はもうほとんど感じないので、徐々に慣れてはいるようです。 抗うつ剤を飲み始めたことで、あまりうつに理解のない知り合いから、抗うつ剤は体に良くない、依存するからやめた方が良い、薬なし

それ、調子が良いんじゃなくて躁かも?

スウェーデンはもう秋の空気が漂い始め雨も多くなり、来る冬に向けて少し不安が増してしまいます。抗うつ剤を飲み始めて一週間。まだ食欲不振が続いていて、特に朝ご飯が以前ほど食べられなくなり、プロテインとフルーツで一旦終えて、空腹になる度に少しずつ補給している感じ。胃腸が弱くて栄養を吸収しにくい私にはむしろそのぐらいでいいのかなと、前向きに捉えています。冬が来る前に落ち着くと良いのだけど… 長年うつを繰り返しながら薬などに頼って来なかったせいもあって、もしかすると副作用が長めに出て

自分を傷つけないと約束して

抗うつ剤を飲み始めてから三週間の経過を医師と相談して来ました。初回の臨時の方とは違い、常勤のスウェーデン人の男性の先生だったのですが、とても明るく笑顔で迎えてくださる素敵な方でした。 正直なところ薬の効果が出ているかどうかの実感がものすごくある訳ではなく、躁状態はなくなったけど落ち込みはまだあるので、先生としても、本当は落ち込みの方がなくなって欲しいのになあ、という感じ。まだ食欲も減ったままなので、食欲を出す薬を足すか、抗うつ剤の用量を増やすか、の方法があると言われたのです

敷居の低い精神科カウンセリング

初診から一ヶ月ほど経ち、カウンセリング初日を迎えました。まず注目すべき点はその一回の診察料が50スウェーデンクローナ(現在約650円)だということです。これまでの処方箋を出してもらった初診と二度目の診察もそれぞれ100クローナ(約1280円)だったので、恐らく日本の診察料よりも随分低価格、と言いたいところですが、スウェーデンの方が税金がずっと高いので簡単に比較するのは難しいかもしれないですね…ただその他の福祉制度もしっかりしているので、十分に生活のできる状況プラスそれだけの診

価値観は一生メンテナンスし続けるもの

先週は久しぶりに結構大きなクラッシュを起こしてしまい、感情と希死念慮との向き合いで随分体力を消耗しました。次回のカウンセリング時にきちんと相談しないといけないなと思いつつ、やっとこさ宿題のワークに取り掛かる日曜日です。 さて、与えられたワークシートのテーマは「価値観とゴール」。 人は目標がないと自分が前に進めているのかどうか分かりません。そしてその目標へ進むための方向をまず定めないと一歩も踏み出せませんね。その方向設定が自分の価値観です。またその価値観が自分で決めたもので

死にたかったことを笑いながら話している自分に気づいた

二度目のカウンセリング。宿題のワークについて話し合う前に、まず最近のことで話しておきたいことはあるかと先生に尋ねられ、すかさず先週訪れた結構重い希死念慮について詳しく話してみました。 私は酷く落ち込んでパニックを起こしそうな状態の時に、劣等感を感じさせる人から励まされると更に自分を卑下して完全にクラッシュしてしまうようで、その相手が良かれと思ってかけてくれるポジティブな言葉は全て逆効果。それが相手の問題ではなく自分の捉え方に原因があると分かっているから余計に、その言葉を素直

到達地点はさておき飛距離を測ってみよう

さて、前回の記事で私のクラッシュやパニックには劣等感による焦りが大きなきっかけになっていると書いたのですが: その話の流れから、先生と一緒に私の劣等感について掘り下げて行きました。 私の劣等感と果てしない改善への欲求は、親に褒められた記憶が全くないことと、良いところよりも悪いところに注目して成長を促そうとする日本の教育から出来上がっているものだろうと推測しています。自分よりもコミュニケーションが上手な人、輝かしい学歴やキャリアを持っている人、高いお給料をもらっている人など

良い患者さんでいようとしてるでしょ?

日本人女性として生まれ、親や社会に認めてもらえず引け目ばかり感じて来た自分にとって、「人にどう思われるか」を考えずに何か行動を起こすことがこれほどにまで難しいことなのかと、特にここ数年は心底呆れるほど思い知りました。あまりそういった概念を持たない海外育ちの友人たちに、何度も何度も「気にしなくて良いんだよ」と優しく言ってもらってもなかなか変えられず、それでも諦めずに声をかけてくれる友人たちには日々頭が下がる思いです。 相手と意見が合わず拒絶されるよりは、自分の意見を出さずに相

ハズレたガチャを引き直す

二度目のカウンセリングと三度目のカウンセリングの間に引っ越しをしました。ずっと家具付きの部屋を間借りしていて新居も間借り、元々持ち物の少ない私ですが、引っ越し作業というのには力がいるものですね。 スウェーデンの賃貸事情はとても厳しく、公営の手頃な賃貸アパートにはとんでもない長蛇のウェイティングリストが出来上がっています。登録して三年程度の私の順番は、かなり郊外でも100番かそれ以上。定職のある人は投資も兼ねて購入してしまう方が効率的ですが、私は今IT系の専門学校に通っていて

電話がこわい病

三度目のカウンセリング。引っ越しをして環境が変わり、新しいエリアの散策が楽しかったり、家賃も以前より安くなり経済的負担も軽減され、薬の服用にもすっかり慣れたことで気が楽になったり、外的ストレスが減ったことで勉強や仕事に対する意欲も戻って来ました。一時はもうここでの生活を続けられないんじゃないか、帰国するしかないんじゃないかと思い詰め、全て投げ出してしまいたい気持ちにまで陥ったので、そこからしっかり抜け出せたことに自分自身大変安堵したと先生に伝え、先生も喜んでくれました。 環