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花相の読書紀行№.55『死刑にいたる病』

あなたの心は、闇に感染していませんか?

【死刑にいたる病】/櫛木理宇
<あらすじ>
鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也(かけいまさや)に届いた一通の手紙。それは稀代の連続殺人鬼・榛村大和(はいむらやまと)からのものだった。「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」地域で人気のあるパン屋の元店主にして、自分のよき理解者であった大和に頼まれ、事件の再調査を始めた雅也。その人生に潜む負の連鎖を知るうち、雅也はなぜか大和に魅せられていき……一つ一つの選択が明らかにしていく残酷な真実とは。
『チェインドッグ』を改題・文庫化。

★感想
2022年5月5日より公開の『死刑にいたる病』を観る前に、是非読みたいと思っていた原作を読み終えました。
映画では、大学生“雅也”を岡田健史さん、連続殺人犯の“大和”を阿部サダヲさんが演じます。阿部さんがこのシリアルキラーをどんな風に演じるのか今から楽しみです。
櫛木理宇さんの作品は、今回が初。2012年に『ホーンテッド・キャンパス』で、第19回日本ホラー小説大賞読物賞を受賞して、小説家でデビューされています。

基本的にホラーや恐怖に纏わる小説や映画・ドラマが大好きで、一時は貪るように手にしていた私も、このじわじわと心に巣食う恐怖は、精神的にも空恐ろしい気持ちで読みました。
また文中に出てくる実際の連続殺人犯については知らなかったものも有り、私の探求心をくすぐるストーリーでした。

一度の挫折から性格が崩壊し、対人恐怖ぎみの主人公“雅也”。
屈折した心の中で大学生活を送っている主人公が、シリアルキラーの掌中に嵌っていく過程が巧みに描かれていますが、疑いを持つ登場人物については、もう少しインパクトを持たせても良いかと思います。

ラストの場面の展開は、サイコパス系のホラーには定番の流れと言えますが、最後にはその後の雅也が心配でなりませんでした。
そして、榛村大和の裁判の行方は、果たして死刑になるのか?
続編が有りそうで、興味津々です。

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