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生クリームが溶ける夏

2023年、猛暑の夏。
この暑さで生クリームが固まらず、ケーキ屋さんがとても困っているというニュース記事を読んだ。ケーキ屋さんが困っている姿を想像するとなんとも切ない。

夏は、ケーキには酷な季節なのかもしれない。

私は8月生まれだが、真っ白な生クリームに苺がたっぷり乗った定番のバースデーケーキは、苺が旬でないから余りおすすめではないと言われたことがある。しかも、夏は傷みやすいからか、バースデー用のケーキの在庫が置いてなかったりすることも多い。

その上、生クリームも固まらないときたら、夏生まれの民は一体何を食べて祝えば良いのだろう。サーティーワンのアイスケーキ?
苺が旬とか旬じゃないとか、そんなことはどうでも良い。
これは祝いのためのケーキなのだ・・・。どうかケーキで祝わせておくれ!

甘いものが大好きな私は、子供の頃からバースデーケーキをとても楽しみにして育ってきた。お祝いのために皆で囲むケーキという、甘くてフワフワした概念がその味より何より魅惑的だ。一人で食べるケーキも美味しいが、ケーキという特別なものを誰かと一緒に食べるのは、特別な秘密を共有するみたいでワクワクする。

◆◆◆

しかし、今年の猛暑はそんな私の心身にも影響を与えた。
なんと、恐ろしいことに。アイスの趣味が変わったのである。

どちらかといえばクリーミーで、滑らかなアイスが好きだった私だが、今年は氷菓が美味しい。特に、ガリガリ君の梨味が沁み渡る・・・。
ランニングやお風呂あがりの火照った身体に、ガリガリ君。ガリガリ君を何本も冷凍庫にストックして、この過酷な夏をなんとか乗り切ろうとしている。

生クリームが固まらないほどの夏。
私の心も身体もだらだらドロドロと溶けてしまいそうになる。

日差しを遮る家、さらりと清潔な服、そしてガリガリ君。
決して贅沢ではないけれど、衣食住に恵まれた生活に感謝しながら家で過ごすのもまた、夏の楽しみ方の一つなのかもしれない。


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