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【自分とは何か】脳が全てではない

私とそれ以外を区別するもの

「自分とは何か?」に気づくためには「では自分以外って何?」を理解する必要があります。
え?そんなの簡単では?と思うかもしれません。
これから話すことは、「テセウスの船」「身体論」などに触れたことがある人なら「そんなの知ってる」と思うかもしれませんが、この記事は「知識」の話でなく、「誰もが順序立てて考えると、その結論になる」という「理解」の話なので、かなり長くなりますが、お付き合いいただけると幸いです。

まず、自分を知るには「自分以外」=他人を知る、とはどういうことかを説明します。 ついてこれない人もいるかもしれませんが、明確に「こことここのつながりがわからない」という人がいれば、コメントしてくださればさらに別の説明を試みたいと思います。

今、この世界には人間がただ一人、Aさんしかしなかったとします。
Aさんは、「大食い」か、それとも「少食」かを確かめるには、どうしたらよいでしょうか?
もしこの世界にAさんしかいなかったら、「他人が存在しないため」それを確かめる方法がない、ということは、理解できますか?
このことは、今後「たいていの事象に対する観察結果は相対的である」と呼ぶことにします。

次に、その世界には人間はAさんだけだけど、獣(例えば豚)や植物(例えば米)はしっかり存在していて、そこにAさんがただ一人いたとします。 その場合、豚や米はAさんではなく、人間である。 だから、自分とそれ以外の区別は、他に人がいなくたってわかるよ、と考えたとしましょう。
では、その米を食べたら、それはAさんと言えますか? それとも、それはAさんではないのでしょうか?

この話は、この有名な本にも書かれています。(P.62~田んぼは私)


いずれ、Bookalystでも紹介したいですね。

私はどこにいるのか

さらに、Aさんは「爪を切った」としましょう。
その際に発生した「爪の破片」は、Aさんと言えるのでしょうか? 髪の毛を切ったら?その切った髪はAさんですか?
それとも、「切る前から」そこはAさんではないのでしょうか?
「身体論」は、「自分とは何か?を考える精神的な何か」と「その入れ物である肉体」の関係について特に「結論」があるわけでなく、哲学的に考えられることとして書いてあります。(もっとうまい表現があったら教えて下さい)

自分とは何か?を突き詰めると、いったい自分の中心はどこなのか、わからなくなりますよね。 多くの人は、これ以上のことを考えるのはやめてしまうものです。 その理由の一つに、近代科学においては「余計なことがわかってしまった」こともあります。 例えば、昔は、自分とは心臓のあたりにいて、「想い」=「心の中」だから、心の臓器なんだ、というのはしっくりきますよね。 腕に痛みを感じれば、「腕が痛い」と思っていた。

でも「近代科学」では、「神経を伝って脳が痛いと認識している。だから、麻酔や薬で痛く感じないようにできる」という知識と、実際にそれを体で体感すると、「本当の自分は脳にいるのだろう」と思う人が多くなってきているのではないかと思います。
それでも、ビールを飲めば「喉が潤う」感じがするし、飲み過ぎれば「酔いが体に回る」感じがし、次に日には「頭痛がする」
とても、すべてが脳がつかさどっているとは思えない体験を、私たちはしますよね。どちらが「真実」なのでしょうか。

実は、「すべては脳」は真実ではなかった

この記事をこのタイミングで出した大きな理由の一つに、ChatGPTの普及も無関係ではありません。 世間はAIと人間の違い、とか、仕事が奪われるのではないか、とかいろいろ言われていますが、そもそも、前提で欠けている部分があります。 それはそもそも私たちは人間の行動原理をどこまで理解しているのかを知っていたのかということです。 私は35年以上エンジニアリングをしてきて、当然その「途中」で今の大規模言語モデルが出てきている認識なので、チューリングマシンチューリングテストは常に関心事でした。


しかし、今の多くのエンジニアはそもそもコンピュータがどんな経緯で作られたかも知らないし、人間の思考についてどんな議論がされてきたのかも、関心が低いでしょう。


そして、一部の人々の間では、これら人類の長い歴史で疑問だったことの、その解になるのが量子力学の進歩であり、それが結局ブッダの教えに回帰する、ということまで進んでいる話にもあまり触れていないと思います。
この話は、この記事にたどり着いた人であれば、知っている人も多いかと思います。

しかし、理解している人はとても少ないんじゃないかと思います。
なぜなら、わかりやすい簡単な言葉で説明すると、たいていのことは知識にはなるが、理解にはならないからです。

一つ例を出しましょう。
あなたは、「カロリーの高いもを食べると太りやすい」と思っていませんか? これは間違っているとは言いませんが、「正しくはない」です。
詳しくは別の記事にしますが、太るために必要なことは「出ていく量よりも食べた量の方が多いことが続く」これしかありません。
冷静に考えればわかることですが、世の中には「カロリーは高いけど軽いもの」もあれば「カロリーは低いけど重いもの」もあります。 もちろん、どんなに低カロリーでも量を食べれば太る、という話もありますが、これだって「毎日食べた量だけほとんど外に出る」ならば、体重は変わらないはずです。

たぶんですが、「カロリーを高いもを食べると太る」という記事を書いている人も、「本当のこと」は知っているのかもしれません。 しかし、この「本当のこと」を説明するには、かなり多くの専門知識が必要です。 ただ、これを「本当に理解している人」であれば、「専門知識を時間をかけて説明する」ことも可能なはず。
私が記事を書くきっかけはこれでした。

もう一つ例を出しましょう。
あなたは「コンピュータの仕組み」はご存じですか? CPUがあって?GPUがあって? そんな話ではないですよ。 「なぜコンピュータは進化すると何でもできちゃうのか」の理由を説明できますか、という話です。
これも・・・気力があったら、記事にしたいと思いますが、現代人は効率を追求した時代に生きていて「細かいことを知らなくても楽しく生活できる」状況が生み出されたため、具体的に、例えば「なぜスマホで動画が見れるのか」を詳しく知らなくても、例えば「コンピュータはすべて2進数で解釈され、0と1は回路のON/OFFであらわされ・・・」程度の説明で「ああ、そういうことか」と自分の感情とあった結論を見せられると、知識が増えたような気がして、その先に行かなくなってしまうんですよね。

追求することの意味

もちろん、「そんな細かいことを追求しないほうが楽しい」と心から思えるのであれば、私からその人に贈るメッセージは何もありません。

しかし、私はこの20年くらい、そういった「自分とは何か」を言語化できていない人たちを観察してきた結果、結局「心の問題」に悩んでいます。
それはそうなると思います。「自分とは何か」を追求していないのですから。でも、私はその人たちにこのことを理解してもらう手段を最近まで持っていませんでした。詳しくはいずれ記事にしますが、簡単にいえばすでに「これはこうだ!」と思いこんでいる人に、その前提を覆すところから説明する時間と、いい比喩が見つからなかったからです。
しかし、その人たちは、「共通の悩みを持っている」は明らかでした。そこで、そういう人たちがこのサイトに関心を持ってもらうように誘導したのでが以下でした。


人は本来、生まれたときから、この世界に「関心」を持つように作られています。私はこれを「世界に対する好奇心」と呼んでいますが、これは多くの場合、大人になると失われていくケースが多いようです。なぜでしょうか。

その前に、「私は好奇心を失っていない」という人に補足しておきますが、ここで言う好奇心は「世界に対する好奇心」であって、「物事に対する好奇心」ではありません。 

「物事に対して好奇心がある」と思っている人の多くは「それに関心を持つように誘導されたもの」に対して、積極的であるという場合がほとんどで、ではなぜその人はそうなっているかというと、「いつから自分がそう思うようになったのか」については、あまり深く考える時間が無かったためだと考えています。
そのことについて、つまり「自分がそういう性格になったのはいつから?」という問いを投げた記事を書いたのはそういう理由です。

さて、では「世界に対する好奇心」が失われていく理由ですが、それは多くの場合、みなさんは誰かのこの言葉に従っているからでしょう。
 「そんなことよりXXしなさい」
私は、これを悪魔の誘惑と呼んでいます。
この言葉が使われる状況は「たくさん」あります。
学生には
 「もう今年は受験だから今は遊びは我慢して勉強に集中しなさい」
社会人には
 「そんな作業でなく、こっちの仕事を優先させろ」
これらのケースは、多くの場合「従った方が自然」な場合が多いです。
その人は、「あなたのため」を思って、アドバイスをしているのでしょう。
ただ、気をつけなければいけないのは、注意されるきっかけとなった状態、つまり
「今、遊びたいと思った」
「今、やるべき作業はこれだと思っていた」
のは「なぜ」だったのか。この理由を追求せずに、言われたことに従ってしまうと、その人は同じ過ちを繰り返す可能性が非常に高いです。
このサイトでは、そもそもそういった事態にならないためには何を考えるべきなのか、ということもお伝えしていきます。


もし、これからお伝えすることを理解して、「追求したほうが、結果、楽になる」ということを知れば、
 「悩みは自分の思い込みから生まれている」
 「性格は自分では決定できないし、変えようと思う必要もない」

ことに気づき、
 「元々人間はこの世界を観察(=楽しむ)するためにある」
という単純なことがわかるでしょう。
さらに、人間には「他の動物と決定的な違い」があります。それは「この世界を楽しむ方法が、人類の財産として言語として残っていて、それを継承はもちろん、進化させることもできる」ということです。
つまり、この世界を観察するのに「人生の長さに囚われる必要がない」ということです。

ありがたいことに、さらにその進化の速度を加速させたのが「コンピュータの出現、進化」です。世界に対する好奇心を持ち続けた人たちは今、コンピュータを駆使して、今、この世界の新しい見方を人類に与えようとしています。
みなさんは、それらを正しく利用するだけでも、もちろんいいと思います。

正しく利用とはどういうことか?
先ほど「カロリーの高いもを食べると太りやすい」話をしましたが、真実はそこにはありません。

「楽に痩せるには」、そもそも人間の体は何で出来ていて、なぜ自律的に動くのか、の基本を知れば、「自分の好きなやり方」で痩せることが可能です。それはあらゆる動物で共通であり、個人に適応し、例外はほとんどありません。 例えば、体のほとんどは「細胞」ですから、細胞について深く理解すれば、脂肪だろうが筋肉だろうが内臓だろうが「なぜそうなるのか」は自然とわかるのです。

同じように、コンピュータは回路の組み合わせでしかないので、音を出すにしても画像を圧縮するにしても通信をするにしても、その仕組みの基本はかわりません。
そして例えばトラブルが起きたとします。
原因は何か?を考えるとき「デマに惑わされる」ことがありません。 もちろんFAQや過去の事例を検索するのも一つの手ではありますが、これからますます多様化が進めば、「あなたの仕事は大抵、過去に事例が無いこと」になります。 あたりまえですよね。繰り返し量産するようなことはもうみんなAIやロボットがやれる時代なのだから。
となると、多くのエンジニアは、これからはほとんどの人がクリエイトな仕事に就くはずです(違うことあるのかなあ)
そんな時にあなたを助けるのは、「基本的なこの世界の仕組み」を理解しておくこと以外にない、と私は考えています。

だから、この記事は、今の自分の知識に疑問を持っていない人には向いていません。 まだ、あの子供のころの好奇心を失っていないあなたであれば、これからの記事はあなたの疑問に答えてくれることでしょう。
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