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「必ずまた泊まりに行く」と心に決めている宿のはなし

「いつかnoteに書こう」とおもって中途半端に溜めていることっていつも山のようにあって、書きかけの下書きたちはわたしのnoteアプリの中でゆっくりと眠っています。その中でひとつ、今このタイミングだからこそ、誰かと共有したい、皆に知ってほしい!と思うテーマがあるので、下書き一覧から引っ張り起して最後まで仕上げてみようと思います。


それは「またいつか必ず泊まりに行きたいホテル、旅館、ゲストハウス」。


これまで国内の色んな街へ旅行する中で、心から好き!と思える宿にたくさん出会ってきました。どこも、この時期が過ぎてまた思いっきり旅行ができるようになったらまた必ず訪れたい宿ばかりです。「応援」なんて大仰なつもりではなく。ただ、夏か、秋か、冬になるか分からないけれど、また旅行ができる季節が来たら、その時、読んでくれている方の次の旅行の滞在先の候補にでもなればいいな、という気持ちで、書いてみようと思います。


星野リゾートOMO7旭川

先日人生で初めて北海道へ旅行した際、初日に旭川で泊まったのがここ。大正時代からこの場所でつづいてきたホテルを星野リゾートがリブランドオープンさせたもので、「旅のテンションを上げる都市観光ホテル」がコンセプトだそうです。

公式サイトにある通り、「このホテルを拠点として街の観光を楽しんでほしい」という気概と工夫に満ちたホテルでした。

エントランスに入った瞬間に目に飛び込んでくる、このシックでガーリーなデザインの空間が素敵。ここではホテルのスタッフさんによる観光ガイドイベントも開かれたりしていました。

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余談ですが……。旭川には全く土地勘がなかったので、このホテルのサイトに掲載されていた観光情報を頼りに夜の計画を立てたのですが、そこで知ったフルーツサワーのお店がもう、とんでもなく最高でした。

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そして何より忘れがたいのが、この、清々しく抜けるようなホールで朝ごはんを食べた時間。その場で焼き上げてくれるワッフルが特に美味しかったです。

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星野リゾート系列の中ではとてもお手頃価格なこともあって、お部屋自体はとてもコンパクト。だけどこのキュッとした感じ、秘密基地のようでかえって居心地がよかったです。

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旭川の繁華街(と思われる)エリアからほど近い立地にあるホテルなので、目星をつけていた飲み屋さんにサッと徒歩で移動できたのもとても良かったです。雪の中にネオンの光が滲むこういう路地の景色がすごく印象的な旭川。また必ず訪れたい街です。

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箱根本箱

ホテル中ありとあらゆるところに設置された本棚から好きな時に好きなものを手に取って、自由に読んで、''本まみれ''になりながら過ごすことができる「ブックホテル」です。

この入り口の景色を写真で見返すだけでも少しうっとりしてしまうくらい、不思議な時間の流れ方をする宿でした。

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この壁一面の本棚、どれを手にとっても、宿のどこで読んでも自由。階段を上って上がった二階にはコーヒーやおやつを自由に好きなだけいただけるスペースもあります。

滞在中、特に気に入ってよく過ごしていたのがこの小さなスペース。本棚の前の階段で二階へ上がる途中、本と本の間にいくつか隠し階段があり、そこをのぼるとこんな風に人ひとりの体がすっぽり収まる程度のスペースがあるんです・・・!

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本と本の間の小さな隠れ場所。こんなにワクワクすることってなかなか無いです。


ちなみに宿でのお食事のテーマは「箱根のローカルガストロノミー」。写真はごく一部ですが、こんなに凝って作られた繊細なものを食べたの、初めてかもしれない……というくらい美味しかったです。温泉も広々と静かで、とっても快適でした。

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滞在中は沢木耕太郎『深夜特急』の香港・マカオ編をひたすら読み進めていました。たまたまその年の夏に母と二人で香港とマカオに旅行していたこともあって何気なく手に取ったのですが、「旅先で読む旅行記」というのは、なんとなく、こう……非日常と非日常が掛け合わさって、忘れがたいパワーをもって体に入ってくる感じがして良いな、と思いながら、読んでいました。


ところで、私はゲストハウスに泊まるのが大好きです。ゲストハウスは個人で経営されているこじんまりとしたものが多く、更に、いわゆる「ドミトリータイプ」、つまり個室ではなく、男女別に別れた部屋の二段ベッドの上下どちらかのスペース分に、比較的お手頃(一泊3000円くらい)な価格で泊まれる所が主流。

もちろんその価格帯も大きな魅力の一つなのですが、ゲストハウスの一番の魅力は、その街に「暮らすように泊まること」ができ、宿を営んでいる人の考えを近い距離で味わうことができる点だと、私は思っています。

例えば、一人でその街を一日歩き回った後、宿についた瞬間「帰ってきた」という感覚を得ることができたり。共有スペースでPCを開いて作業している時の「一人なんだけど一人じゃない」、心が少し浮遊する安心感だったり。逆に「今日はもう少し誰かと喋りたいな」という時は、宿の人や他のお客さんがその街のことをあれこれ親切に教えてくれたり、旅行が終わった後にも続く人間関係ができたり。

そんな風に「時間の流れ方を自分好みにコントロールしながら過ごせる」という意味で、おすすめしたいゲストハウスが関西に2つあります。


IMAYA Hostel Kyoto +Coffee

京都の烏丸御池駅近くにある「いま屋」は、宿主の方の「こういう空間を作りたい」というポリシーがとてもはっきりしていて、その強いポリシーによって守られた小さな光があたたかく灯り続けるようなゲストハウスです。

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カフェバーを兼ねている一階の共有スペースには宿泊客だけではなく地元の方たちの出入りが常にあり、その開けた空気感や京都のローカルトークがとても心地良かったです。ここで食べられる朝ごはんとカフェラテがそれはそれは絶品の美味しさで、さすがは「朝ごはんが美味しい」と有名になるだけのことはあるな......と思いました。

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「楽しく過ごせているか」「今回の宿泊の目的は何か」「夜はよく眠れたか」......つかず離れずな距離から常に細やかに気遣ってくださるオーナーの人柄が、自分の中の「京都」に対して一つの親しみをくれるような、そういうゲストハウスです。


みつわ屋

好きなゲストハウス、二つ目。大阪の谷町九丁目駅から5、6分歩いて路地に入り、家や学校が並ぶ静かなエリアを進むと見える少し大きな建物がみつわ屋です。

小学校の目の前という立地だったり、柱や床、ベッドが木でできていることだったりが相まって、あたたかみがあり広々としたゲストハウスです。例えばコンサートや舞台のための遠征など、夜は静かに、一人でその日の余韻に浸りながら過ごしたい......という時は、必ずここに泊まることにしています。

夜中までずっと使える共有スペースに流れている秩序というか......みんなが自由に好きな場所で寛ぎつつも、常に一定の距離感や静けさが保たれているところが本当に好きで、この......いつ泊まりに行っても変わらない一定のリズムはどこから来るんだろうな、と毎回不思議になります。

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共有スペースには電源も完備、お茶とコーヒーはセルフで好きな時に飲めます。コンサートなり舞台なりを楽しんで、友達と飲みに行って、そして帰ってきてシャワーを浴びてからこの場所で過ごす一人の夜の時間が好きすぎる....... 

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朝はこの場所でトーストもいただけます。大きな窓があり、特に朝は光がたくさん差してくるので本当に心地がいいんです。この場所で過ごすたびに、自分の家がこんな風だったらどんなにいいかな......と考えてしまうくらい。

女性専用ドミトリールームの中にパウダールームのようなスペースがあったり、水回りがとても清潔で使いやすかったり、追加で数百円支払えばタオルやルームウエアなどのアメニティの貸し出しもしてくれたり、快適に過ごすための細かな工夫が随所に詰まっているので、「ゲストハウスに泊まるのが初めて」という方にも自信を持っておすすめできます。


万平ホテル

歴史ある建物の佇まいにただあこがれを抱くだけでなく、「泊まってみる」こと。夢のような建物の中で、寝て、起きて、食べて、ができること。クラシックホテルに泊まることは、物語の中に没入するような体験でした。

軽井沢にある万平ホテルは、あの『風立ちぬ』のホテルのシーンのモデルの一つとも言われている長い歴史のあるホテルです。


広く知られている、この食堂のホールの景色。本当に美しく、自分が絵画の中で食事をしているような気分になりました。

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伝票代わりの木札や荷物タグのカード、パジャマの刺繍まで至る所が可愛らしく......。

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併設のカフェで食べられる「復刻レモンパイ」の爽やかな甘さも忘れられません。

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この森の中の静かなホテルで、戦前、戦中、戦後、一体どれだけの人がここに滞在して思い出を重ね、歴史を作ってきたのか.....想像さえうまく出来ないくらいに長い間ここにあり続けるホテルに、お客さんとして泊まることができたのは、とてもいい思い出になりました。自分がなんだか少し上等なものになったような気分で、背筋をスッと伸ばしてくつろぐ時間。クラシックホテルだからこそできる時間の過ごし方だと思います。


ちなみに私がこの先いつか泊まってみたいな、と目論んでいる宿は、京都にある  HOTEL SHE,KYOTO 、北海道にある WE Hotel Toya 、新潟にある 里山十帖 です。

今は自室のパソコンの画面から、いつかまた自由に旅できる日を夢想しつつ眺める素敵なホテルや旅館の数々に、早く行きたい。必ず行きたい。そう思える場所が日本にたくさんあるのは、もどかしくて、うずうずして、とても幸せなことです。


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