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【ショートストーリー】もし私が死んだら?

山根あきらさんの企画、#あなたへの5つの質問 のうち、
Q.1にショートストーリーで参加させていただきます。

Q.1 
あなたがパートナーよりも先に亡くなったとしたら、残されたパートナーに、あなたに代わるパートナーと出会い、幸せになることを望みますか?
それとも、ずっと自分がパートナーにとっての最後の人であることを望みますか?

私たちがあまい恋人同士だった頃、
「もし私が死んだらどうする?」
なんて話したことがあった。あなたは
「一生誰ともつきあわないよ。
 毎年命日には、おまえの好きな
 白いバラの花束を持ってお墓参りに行く。
 もし俺たちに子どもがいたら、一緒に行くよ」
な~んて言って私を喜ばせたものだった。

…が、私は死んでもいないのに、
他の人と結婚して、
私のことなんて忘れてるじゃない。
まあ、いいか。
その時の気持ちが本当なら。
気持ちは変わるものだから。

若い頃は、ずっと自分だけを思っていて欲しいと
思うものだけど、だんだんとわかってくる。
どんなに本気で愛していても、
他の人にも惹かれることはあるって。
それに自分だけを思って欲しいなんて、
傲慢な考え方かもしれない。

あの時の恋人とは違う人と結婚した私。
夫とは「もし私が死んだら…?」
なんて愚問については話し合っていない。
そんなことはわからないからだ。
死ぬ前に別れることだって、
気持ちが冷めることだってあるかもしれない。

そしてもし二人が想い合ったまま、私が死んだら?
ずっと私を思っていて欲しい。
でも私“だけ”でなくていい。
ほかの人に惹かれたら、
その気持ちに蓋をしないで欲しい。
私を愛した思い出を大事にとっておいてくれたら、
他の人と幸せになってくれていい。
私はそんなあなたを空から見守るでしょう。
でも私との思い出をないがしろにするなら、
空からお仕置きをするかもしれない。

私はあなたの“最後の女性”でなくてもいい。
でも“最愛の女性”でいたい。それだけだ。
でも私がいなくなってから付き合った人が、
あなたの最愛の人になってしまったら?
それならそれでいい。
それは仕方がないこと。
人は変わるものだから。

ただ、私のことは忘れないで欲しい。
心のどこかに置いて欲しい。
それならあなたは自由だ。
どんな風に生きても、
私にはあなたを縛る権利はない。
あなたには幸せになって欲しい。
相手の幸せを願うこと、
それが愛するってことではないか?

©2023 alice hanasaki

※この作品はフィクションであり、
私生活とは関係ありません。

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