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アベル・フェラーラ - 天使の復讐(1981) Ms. 75

アメリカのインディペンデント映画監督アベル・フェラーラの初期傑作。都市部にはびこる暴力を描くのは、ショッキングな内容でありつつ、これまでにあったレイプリベンジ・エクスプロイテーションものの扇動的な描き方からは距離を置いているように思える(レイプ=装置ではない)「レイプリベンジもの」で、ドラマ「EUPHORIA」で大好きなキャラクターだったキャットが、ハロウィンパーティーに派手なメイク+修道女姿に仮装して友人を戸惑わせるのは、この映画の主人公がモチーフとなっている(セリフにも出てくる)ので、ようやく観れて感無量という感じだった。かつ、冴えない彼女が自分を性的なまなざしにさらすことで自己を肯定できるようになり、彼らの欲望に主体的に関わっていこうとするところも、主人公と似たテーマであったようにおもう。

ニューヨークのドレスメーカーに勤める内気な女性ターナ(ゾー・タマリス)は、声を発することができない障がいを抱えながら、日々真面目に働いていた。ある日の帰宅途中、仮面をつけた男に路地裏に連れ込まれ、強姦される。心身ともに傷つき、やっとの思いで帰宅すると、部屋で待ち伏せていた別の強盗にも襲われる。恐怖のなか、とっさの反撃で形勢逆転し、ついには殺してしまう。強盗が持っていた拳銃を手にしたターナは、夜な夜な街をさまよい、復讐を果たすかのように次々と男たちを殺していく……。

真っ赤なリップを塗ったその唇と、男たちの身体から吹き出す血の赤。彼らを殺すその前から彼女は血を流している(言葉による傷や内的な暴力は見えないものだから、赤というリップでそれを表象するということ?)。あえて「女」というイメージを引き受け、イメージとしての「男」を殺す彼女は、男根をイメージさせるナイフを突き立てられる女によって「イメージ」のなかに落ちていく。その暴力の際限のなさが不気味に描かれた、複雑な作品だった。もやもやとカタルシスがないところに好感をもつ。

Ms.45
1981、アメリカ、80分

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