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台本【恋文×どっちが?】をお借りして……。【訳あり姫君ショートストーリー】「計られた!!」


「ゼルマ様、ウルガー様から手紙が来ています」
 執事のエルノーが渡してくれる。
「これ?」
 一緒にあの部屋の鍵が渡された。あの人間をだめにする例の物体がある部屋。ウルガーとは同棲してるとしても最近顔を合わしていなかった。さみしいと思うけれど、これも将来を見据えてのこと、とやせ我慢していた。そんなときにウルガーからこの鍵と手紙。
 何なのかしら?

『寂しい時に
「寂しい」と言えるボクと
本当は寂しいのに
「寂しい」と言わないキミ
どっちが寂しがりや、
なんだろうね…。』

「ん? んん? んんんん?」
 微妙な反応にお姉様がどうしたの? と手紙をのぞき込む。
「ゼルマ? どうしたの? あら、これ、ゼルマのことじゃない」
「私の……こと?」
「気づいてないの? ウルガー様と会えなくてずっとさみしいって目をしてるわよ。いつもなら菜園や運動場で弟様達と犬で遊んだりするのにこもりっきりよ。心配なさったのよ」
「え? ヘレーネの散歩には出てるわよ」
「それだけでしょ? さっさとお呼びなのだから行く!」
 ばしっと背中をたたかれる。
「あ。はい」
 私はいつもの部屋に向かった。


「ウルガー。ゼルマ姫から恋文だ」
 マティアス兄上が鍵と渡す。
「恋文?」
「婚約者からの手紙なのだから恋文だろうが」
「ゼルマも手紙にしないでさっさと言えばいいのに」
「言えぬからの恋文であろう?」
 ぬっと現れた長兄に驚く。
「ダーウィット兄上。執務中では……?」
「子守の時間だ」
「ああ。お生まれになったんでしたね」
「って、お前が取り上げたんだろうが。医者王太子。これはあの部屋の鍵だろう。さっさと行け」
「って。まだ内容を」
「いいから行け!」
 二人の兄の手に押されて俺は執務室となっているカシワの宮を出た。


 鍵を開けるとそこには誰も居なかった。
「ウルガー?」
 そっと中をうかがう。
「ゼルマ?」
 「ウルガー」
 ウルガーの手にはここの部屋の鍵が握られていた。
「ここの鍵、二つもあったの?」
「さぁ。一つのはずなんだけど。この恋文は何?」
 恋文、と言ったところでウルガーの頭にお花が咲いた。
「私はウルガーから謎文をもらったわよ」
「じゃ、これ?」
 ウルガーが手紙を見せる。
「私書いてないわよ」
「じゃ……」
 しばらく見つめ合う。そして声を上げる。
「計られた!!」
 それからくすくす笑い合う。その顔をしばらくしてウルガーが見つめる。そしていう。
「ゼルマ欠乏症だったみたいだ。こんなかわいい姫をほったらかしにしてたなんて」
 そう言ってぎゅーっと抱きしめられる。
「私もよ。ウルガーがいなくて我慢してたけれどとってもさみしかった。せめて朝食は一緒にとって」
 ぽろっと涙がこぼれる。我慢していた気持ちがどっと堰を切ったようにあふれる。ウルガーはお姫様抱っこすると人間をだめにするクッションというものの上に下ろす。
「今頃ダーウィット兄上達が宿題をこなしてくれてるから、今日は一日一緒にいよう」
 そう言って頤に手をかける。予告なしのちゅーがやってくる。
「ここに居っぱなしだとみんな心配するわ」
「心配させておいていい。俺にはゼルマの涙を止める使命があるんだ。お昼はキンモクセイの宮でとろう。アーダも喜ぶよ。ドックランでも遊ぼう。菜園に行ってないとは聞いていたから弟たちも寄ってくるよ。覚悟して。みんんなのゼルマ。でも、今は俺だけのゼルマ」
 そしてまた……。
 熱い一日が始まった。
 


【あとがき】
 台本をお借りしてミニストーリーを組み立てました。いつの時点かもわからないんですが。なんだか煮詰まって書けないのでお遊びという脳の放牧してます。現在も伝統の一戦中。気になってしまう。やっぱり、テレビは野球中心じゃない。結局トラテレ見てます。音を聞いてますが、観戦中は作品が書けない。頭が動かない。そして現代物ばかり書いていてアウトプットに困っているのでファンタジーでお遊び。いい台本をありがとうございました。明日も出勤だけどなにも用意していない。一点先制されたし。負け戦かしら。逆転しなさそう。二点とたらせいぜい。とにかく勝ってほしい。明日からビジターちゃうかったっけ? あー。頭が動かない!! なんとかしたいところです。とエッセイの勉強中にもなってしまった。区別がつきにくいあとがきとエッセイの勉強中。特に野球中継中は脳が働かないのでてんでばらばらのことを書いてます。何かが書きたい。でもどれもこれも煮詰まってますー。インプットしないといけないのかしら。

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