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【再掲載小説】恋愛ファンタジー小説:ユメと言う名の姫君の物語 第十八話-ユメ-もう一人の私の事

前話

 何時も見るようなテーブルの上には見たことない容器があった。タイガーがすかさず、ユノミという。
「この中にマッチャのクズユが?」
 タイガーは肯く。
「熱いから気をつけて飲むんだよ」
 そう言ってタイガーはユノミを持って冷ましている。私はいくらか待って口に運ぶ。
「あつっ」
「だから言っただろう。気をつけて、と」
「これ、気をつけてのレベルじゃないわよ。要注意、よ」
 そう言いながら少し表面の温度は下がっているよう。そっともう一度口に運ぶ。甘味と苦みが絶妙。
「美味しい」
 どこかほっとする味だった。私ははじめて飲むのに昔、飲んだ気がしていた。あのサクラとのデジャヴから何かが私の中で変わり始めていた。考え事をしながら飲んでいるとじっと視線が注がれている気がして顔を上げると、アビーが物欲しげに見ていた。
「まぁ! アビーには無理よ。熱すぎるもの。猫舌なのに」
「君も猫舌なんじゃないのか? もうかなり冷めているよ」
「あ。そうね」
 熱いわけではないけれど、なんだかちびちび飲んでしまう。
「お代わり、作ってもらおうか?」
「いいえ。その代わりに、アビーにお菓子をあげて。あんな目されて見られるとたまらないわ」
「ご主人様はアビーを随分と甘やかしているんだね。ほら。お菓子だよ。懐かしいだろう?」
 サンダーがやるといい音を立ててアビーがお菓子を食べる。
「いい音ね。帰りにそのお菓子たくさん頂戴。向こうでも食べさせてあげたいの」
「いいよ」
 と、その時、くしゅん、とくしゃみが出た。それも続けて三回も。
「風邪を引いたんじゃないか? あんな所で居眠りするから」
「馬鹿は風邪を引かないと言うわ。大丈夫よ」
「馬鹿って、君が?」
 びっくりしてタイガーが私を見る。
「そうよ。やっとここのサクラに出会って『ユメ』の事がわかり始めたの。もう一人の私の名前だってやっとわかったわ」
「じゃ、『ロッテ』より『ユメ』と呼ぶ方がいいのかい?」
 その問いには私は首を振る。
「やっぱり、私はシャルロッテ、よ。ユメは別の私。寝ているときだけのもう一人の私。私は『シャルロッテ・リンダ・ザーリア』よ」
 私が言うとタイガーは納得したかのように言う。
「俺もタイガーと呼ばれる方がいいようにロッテもロッテがいいんだね。なじみの名前だもんな」
「その記憶もないけれどね。タイガーはどうやって記憶を取り戻したの?」
 聞いてしまった。これでただの友人関係は終わるのかもしれない。聞くのが怖くて耳を塞ぎかけてユノミをぎゅっと握る。
「俺も記憶はない。ただ、どうすればいいか自然と浮かんで来るんだよ。執務もはじめてした日の事を覚えている。書類を目の前にすれば、自然と手が動いていた。そうやって一から覚え直した。君は書類も見てないのか?」
「え、ええ……。自然とわかるの?」
「たぶん、ね」
 そこでまたくしゃみが飛び出た。タイガーがとっさに手を額につける。
「やっぱり風邪引いたね。熱が出かかっているよ。君はもう私服に着替えてベッドで寝てて」
「タイガー、どこへ行くの?」
「大丈夫、すぐ戻るから。君は君の責任を果たさないと、ね。ハーフェンの新書を持った使者でもあるんだよ。母に君の面倒を頼んでおくよ。アビー。ご主人様をお守りするんだよ」
 アビーがにゃーん、と返事をするとタイガーは出て行った。


あとがき
私の作品、かなりの頻度でペットが出てきます。そして仲介役。犬と猫両方でたり、ミニドラゴンがでてきたり。猫の使い魔はよく出ますね。そういや、リスもいたっけ。リスに似た動物だけど。名前もそのたんびに苦労する。アビーも人名をみててつけたんだと思います。便利なサイトがあるんですよ。ヨーロッパの人名と名字が書かれたサイトが。あまりにもまとまりすぎていて常連客です。でも、かなりそこで女性名は使ってしまい。アレも使ったこれもつかったとなくなりつつある候補名。アデーレの主役の話だけは書きたい。アデレードとかもあったけれど、優先はアデーレ。かなりの頻度で悪役に使われたので気に入ってるのになんでと思いながら書いてました。で、ようやくアデーレ姫ができた、と思ったらリリアーナの名前を選んで捨てちゃうし。我が家はわがままキャラで一杯です。
今、ふっと水槽の方を見れば白コリ一族が乱舞してます。悪者物質が減ったのかしら。調べたいけれど明日の朝にして見ます。試験紙は限りある。高い。妹の悪意のある発言水に流すことにしました。ほっとこ。まだやっとんのか、とこの小説活動を非難したような発言でしたが、小説は分身のようなもの。大きな夢は見ないからやらせてくれい、です。自分軸手帳は参考したところから12月が今年の10月と同じらしく、印刷して10月から記入してみます。その前に時間の棚卸しなんですけど。とりあえず、数日書くみたいです。今、時間の事はあまり考えたくは亡いんですが、やるしかない。手帳のアカウントからフォローするのどうしようかなー。またID探さなきゃ。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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