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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子第二十一話 絆を深める日々

前話

 あれだけ落ち込んでいたアデーレ、いや、生まれ変わったリリアーナはユレーネの作ったミルクがゆをペロリと平らげた。どこにそんな元気があるのかと思ったが、ユレーネが「お腹空いていたのね」と言ってリリアーナは元気に肯いていた。
「リリアーナ。ごめん。兄ちゃんが早くリリアーナの事がわかっていたらこんなにお腹空かせなくても良かったのに……」
 そう言ってレオポルトはリリアーナの頭を撫でる。
「お兄ちゃん。お姉ちゃん。今日も舞をするの?」
 リリアーナの目はキラキラと輝いている。
「兄ちゃんは舞わないよ。ユレーネが一人前の舞姫になる練習をするんだ」
 それを聞いたユレーネがあら、と言う。
「剣舞しないの?」
「ユレーネの正式な舞とは違うからな。合わせる練習は両国が平和になってからだ」
「えー。リリアーナ。お兄ちゃんの舞見たいー」
「だ、そうよ?」
 キラキラお目々でねだる可愛い恋人と妹である。う、とレオポルトが固まる。
「一回ぐらいはしたら? 後はリリアーナを私が見ているから。レオはカール達と用事があるんでしょ?」
「え、あぁ、まぁ……」
 ニコの率いる義勇団と打ち合わせがあるのだ。ユレーネはそれを見抜いていた。とことん頭の上がらないレオポルトである。
「姉さん女房」
「リリアーナ! そんな言葉どこで覚えた!」
「お姉ちゃんとニコ達が言ってた」
「ユレーネー……」
 地獄犬の眼差しである。
「ニコ達が噂してただけよ。私は無実だわ」
「一緒に言ってたら、無実なもんか」
 また、夫婦ケンカが始まる。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん。めっ」
「ごめんなさーい」
「可愛い小姑だねぇ」
 フロリアンが目を細めて言う。
「小姑って何?」
「フロリアン言わなくていい!」
 二人が結託して声をそろえる。
「えー。リリアーナしりたーい」
「大きくなってからな。さぁ。行こう。城でココア飲ませてもらえ。冷えるから」
「お兄ちゃん、もう倒れない?」
「倒れない」
「じゃ、リリアーナココア飲む!」
「さぁ。じゃ、行きましょ」
 リリアーナを真ん中にして三人は手を繋いで出て行く。
「小姑じゃねぇな。ありゃ、娘だ」
 フロリアンは見送ると自分が焦がした鍋を洗いに台所へ向かった。
 
 湖には先客がいた。ローレライとニコである。
「なんだ、お前もいたのか。段取りは?」
「抜かりなく。今日もあの舞を見られるのですね。ユレーネ様」
「様は余計よ。今日は四人で舞ってみない?」
「四人で?!」
 ユレーネ以外は驚きの声を上げる。もっともリリアーナは特等席を確保に躍起になっている。分厚い絨毯を引いて座って見ている。
「はいはい。舞います。舞うよ。リリアーナのご要望だ」
「アデーレ様、大丈夫なのですか?」
 事情を知っているニコが聞く。
「今日からリリアーナなの! アデーレは辞めたの!」
 嬉しそうにリリアーナが言う。
「そうですか。リリアーナ様。皆に周知させておきます」
「うん!」
 名前は変わっても臣下の立ち位置をニコは変えるつもりはないらしい。
「さぁ。舞うわよ」
 ユレーネがシャラン、と腕輪を鳴らす。レオポルトは剣舞用の剣をすらりと、抜く。
「しかたありませんね。ローレライ」
「ええ」
 ローレライも肯く。
「やったぁ。お兄ちゃん、お姉ちゃん早くー」
「はいはい。レオ」
「わかった」
 ユレーネに合わせるときはいつも即興で合わせている剣舞だ。ユレーネ次第で変わる。今の所、リードを取る気はない。いずれ、そんな関係になるのだろうか。ふっと、自分の中で眠る情熱に思いをはせる。
 
 すべてはインフェルニア国とセレスティア国の融合後だ。
 
 戦の激しさを思うと気が塞ぐが、それが必要なのだ。今こそ、国を変えるとき。レオは頭の中から戦の事を追い出す。今は、リリアーナやユレーネ達と絆を深める時間だ。結束は強い方がいい。そんな事を考えながら、氷の舞台へとユレーネの手を取って向かったのだった。


あとがき

続きを書いていて恋愛の部分が減ってきたと感じるこの作品。いちゃいちゃしておりません。にわか親子を形成しつつある日々。ただ、両思いなのでデートの一つや二つはさせてあげたいのですがリリアーナが着いてくる。どうしても二人きりになれない。ニコに託すか。次、デート話考えよう。アイシャードの所行くんでついでに。ついでに、ってユレーネも可哀想だけど。名所を作ろう。またChatGPTさんか自力か。自力がいいなぁ。がんばります。って、先に入れた作品にあとがき入れ忘れているような。チェックしてきます。

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