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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子第三十四話 「愛している」、魔法の言葉

前話

「お父様! ただいま帰りました」
 くつろいでいたヴィクトール国王は娘を抱き留めて頭を撫でる。
「何か良いことはあったか?」
「最強の剣を作ってもらったわ」
「そうか。まだ押し倒しておらぬな?」
 その言葉に思わずレオポルトは声を上げる。
「姫を教育し直してください! 朝っぱらからぶっ飛んだ事を言い過ぎですっ。朝から子供を作ろうなど、と……」
「なるほど」
 国王の頭の中で内容を組み合わせているようだ。
「ユレーネ。男の理性を試すような事はしてはならないよ。レオポルトが可哀想だ」
「可哀想なのは私だわ。しょっちゅう、戦死しかけるんだもの。こっちの気持ちにもなって欲しいわ」
 ああ言えばこう言う。レオポルトは文句を言いたくなる。
「どっちもどっちだな。今日は帰ってきただけではないね。剣の使い方を教わりに戻ってきたのだろう?」
「陛下」
 わかっている、と手でレオポルトを制止して国王は言う。
「ユレーネ。舞を最近サボっているのではないか? 妻になりたければそちらを重きにおきなさい。花嫁の条件を忘れたわけじゃないだろう?」
「だけど、レオポルトの背中ばかり見ていたくない。私も一緒に闘いたい! レオを失いたくないの!」
 ユレーネの本音と涙があふれた。国王の胸の中で泣きじゃくる。自分の態度でユレーネを不安にさせていたと知ってレオポルトは悔やしい。
「レオポルト。君が悪く思う必要はない。男としてしたいことをしてるだけだ。ユレーネはなんでも自分でしたがる子だ。それが出ただけのはず。この涙はただ見ただけと思っておきなさい」
「陛下……」
「お父さん、だろう?」
「お、お父さん。俺が悪いんです。ユレーネを守り切れない俺が。こんなに愛してるのに」
 愛している。はじめて言った言葉だった。レオポルトの気持ちはもう恋人の好き、はとうに通り越していた。ユレーネがびっくりしてレオポルトを見ていた。
「レオ。私もあなたを愛しているわ。他の何もかもが霞むほど」
「ユレーネ」
 切なげに苦しんでレオポルトはユレーネの名前を呼ぶ。ユレーネが戻ってきて抱きつく。
「花嫁の条件なんて……」
 辞めるといいかけたユレーネの唇を指でレオポルトが止める。
「君が成長する期間だ。戦には一緒に行くから自分を成長させることを辞めちゃいけない」
「レオ!」
 ユレーネが泣きじゃくる。
「ごめんな。俺がふがいなくて」
 違う、をユレーネが連発する。
「大丈夫。二人なら乗り越えられる。俺の対の相手はユレーネだけだから。運命に身を投じても俺達を引き離すことは誰もできない」
 そう言って背中を軽く叩く。リリアーナにするように。
「それでは。今夜は息子と男同士の話をしよう」
「陛下!」
「お父さん」
「はい。お父さん」
「しばらく二人で気持ちを確かめ合ってなさい。邪魔者は消えるから」
「って……」
 自分に眠っている情熱がユレーネを傷つけるかもしれないのに、任せる、と言う。それだけ信頼されている、とわかった。自分の中でこみ上げてくる情熱をレオポルトは抑える。そしてそっと額をくっつけあう。
「いつまで泣いてるんだ。俺の妻は。こんなこともっとあるぞ」
「レオ。キスして」
「だーめ。俺のキスは売り物じゃないの」
「ケチ」
「ケチですよ」
「もうっ」
 ユレーネは憤慨しつつも唇を押しつけてきた。思わず、深いキスを仕掛けてとどまる。そしてユレーネのさせるままにする。
「レオ?」
 唇を離してユレーネが名を呼ぶ。
「今はユレーネがしたいようにする時間だよ。俺の時間は婚礼の夜に……」
 それを聞いてユレーネがばっと離れる。何を言っているのかわかったのだ。
「理性を試す以上のことをしてたのね。私はもう少しであなたを失う所だった。ごめんね」
「いいさ。おいで。抱きしめあうのを禁じる条件はない」
「レオ!」
 またユレーネが飛び込んでくる。二人は熱い抱擁を交わす。
 
 愛している。魔法の言葉が生まれた日の事だった。


あとがき

はい。色ボケ話です。ユレーネしちゃだめでしょう? と母は言いたい。恋愛に一直線。でもそうも言ってられないのですよ。この後の話をもうちょっと読み直して改稿しないと。

しかし、ユレーネには困ります。リリアーナと一緒に押し倒すのですから。兄はぐえぐえ言っております。二人だけで押し倒すとあぶないので必ずリリアーナちゃんも一緒です。健全化、と。ちゅーが使えないから困るんですよ。今更、キスの時は予告しますバージョンは通用しない。訳ありはそれなですけどね。性格変えて書いていたため禁断の言葉でした。今はあちこち一緒ですけど。あと、今日はどれを更新するか悩みどころ。あと一個だけ入れようかと。順当に「影の騎士真珠の姫」ですかね。

漢検の受験勉強で大変です。読めるけれど書けと言われると書けない字続出。復習が必要なのであまり執筆にも時間が割けません。おまけにハードスケジュールで倒れてます。明日中休みだけど施設の見学にでかけないと。もう足が限界なのですが。今日も二時間で早退してきましたから。階段がまともに上がれない。どこが痛いのかもさっぱりわからない座骨神経痛。足が痛むのはわかるけれど。外じゃないんです。中が痛いのです。シップの貼りようがないです。痛み止めも飲んでますが。

と。長話に。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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