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【再掲載小説】恋愛ファンタジー小説:ユメと言う名の姫君の物語 第二十話-ユメ-王妃の喜びと悲しみ

前話

 風邪はあの聖なる水を何杯か飲んで寝て起きるとかなり改善された。熱もない。鼻水鼻づまりから解放されてほっと一安心。王妃様のハンカチで鼻水ふくんなんて……。恐れ多い。しかし、姑があれほど嫁を甘やかしていいのだろうか。病人用の昼食を部屋で摂っているとまたセレスト王妃がやってきた。
「ユメ。今日の具合はどう?」
「完全というわけではありませんが。かなりましになりました。お礼を言いたいのですが、アレクシス王子はどちらに?」
「わたくしとジャンケンで負けましたから、執務ですわ。勝った方がお昼のお見舞いに行けることになってるのよ。アレクシスは午後のお茶の時間に来るはずよ。二人きりになりたい?」
 王妃様の目がキラキラ光っている。恋人同士と疑いもしていない目。私はすこし、罪悪感に襲われる。
「あのっ……。あの、ですねっ」
 私とタイガーの間には何もない、と言おうとしたところ、扉が開いた。
「タイガー。午後のお茶の時間じゃ……」
「今日の執務は全部終わらせてきた。母上ばかりずるいじゃないか。ジャンケンって今時、そんなもので争う大人はいませんよ」
「もう。私の姫を独占できると思ったのに」
 私の姫って……。嫁、じゃないの……?
「ほら。姫が混乱してるじゃないですか。母上だけですよ。ロッテを独占したがるのは」
「あなたもしようとしてるじゃないの」
 子供のようにすねるセレスト王妃様に目が点になる。
「俺はいいんです。縁談相手なんですから。母上には父上がいるでしょう。夫婦水入らずを楽しんでください。父上がすねてましたよ。置いてかれた、と」
「あらまぁ、あの人ったら。しかたないわね。じゃ、私のユメ姫。また、次の機会に会いましょう」
「は、はぁ……」
「手ぐらいは振ってあげてくれ」
 ほとほと困った母だと言わんばかりにタイガーが言う。私は、また、と言って手を振る。それだけで王妃様は頭にお花が咲いたんじゃないかというほどの笑顔だった。満面の笑みがこぼれていた。だけど、しっかり、タイガーの足は踏んづけて行く。恨みがあるのね。温かみのある人柄にほっと一安心する。もっと高慢な方だったらどうしようと思っていたから。実際はその逆だった。だけど、何がそんなに娘として扱いたがるのか……。まさか……。ある想定に行き当たる。タイガーの顔を見つめる。タイガーが黙って肯く。
「姉上と妹が二人亡くなった。十数年ほど前に。暴動に巻き込まれて」
「暴動……」
 ちらっと、聞いたことのある暴動のことだった。ハーフェンは平和な時代が続いていたけれど、アニスゲルドでは何回か、国が混乱したときがあったと言う。
「俺はただ、人はあそこまで変わるのか、と思ったよ。それ以来、母は悲嘆に暮れていた。君がこの国に輿入れすると決まってから、って、母の中でだよ。あのように浮かれている。娘ができる、と大喜びしてるんだ。嫁と姑ってそんな簡単なものではないと俺も聞いている。だけど、母にとっては嫁と姑でなく、娘なんだ。失ってしまった娘が戻ってきた。そういう母なんだよ。だから、母はこの縁談がまとまると信じて疑ってない。土産を持ってきていると話せば目に涙を浮かべていたよ。しばらくは、娘として接してあげて欲しい。君がこの国に輿入れしなくとも」
「決めたわ」
 私はタイガーを強く見つめて次の言葉を言おうとしていた。それはタイガーにとっては望ましくない言葉だと知っていても……。


あとがき
半分、「氷晶の森の舞姫灼熱の大地の王子」をKindle化しようかと思っていたのであとがきの文字をおくづけにしかけました。(..;)。bingでイラストを作成したはいいけれど、自分の中だけに収めておいた方がいいのか、とも悩みます。CANVAの有料に入っているのでそこから作る方がいいか、とも。でも炎の国と氷の国と書いて描けるもんだろうか、とも思う。CANVAにもアプリがあって作れるんですよ。ある程度のものが。キャラはアニメ調で気に入らないけれど。風景なら描けるかも。ちょっとそっちで夜はやってみます。
別に楽しく遊べたら良いな、ぐらいのKindle化です。書き加えもしたいし。その前に星彩も書かないと。たまたまイラスト見てたら作りたくなっただけだし。シルエットなのでキャラに表情はないんですけどね。商用利用はいけないかもしれません。目下、明日仕事行けるかというのが問題で。体の復帰サイン前に復帰を無理矢理したせいで立ちくらみまで起こしてしまったという。これでは仕事にならない。現在、ふと時間を見れば五時前。お魚さんご飯時間前。みんな、ご飯くれコールしてる。(..;)。テトラは近づかないと来ないけれどってオジリアウスウォウォラェが来てた。と、また魚アイを語りかけたので自主規制。とりあえず、あげてきます。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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