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【再掲載小説】ファンタジー恋愛小説:最後の眠り姫(27)

前話

 いつもはおしゃべりの夕食の場だったけれど、お互い、言葉少なかった。ひとりヴィルヘルムが食事を楽しむ。私もクルトもアウグスタ様の事が気にかかっていた。
「大丈夫。その内アウグスタ様はこの宮殿から出て行くよ」
 ぽ、っとヴィルヘルム言う。
「ヴィー?」
 その小さな眼差しは見えぬ未来を見ているのかしら?
「アウグスタ様の実家が没落するんだよ。いずれ。そしてあの方の気は陰。陽の気のこの国では姉上のまとう魔力が有利なんだ」
「でも、さっき、魔力が私の方がすくないって」
「うん。そうだよ。だけど、この国に来て陽の魔力が高まってきている。婚礼をしてこの国の皇太子妃にでもなれば、この国を守ってきた気がすべて姉上に行く。その前にアウグスタ様はこの国を滅ぼしたいんだよ」
 滅ぼす・・・。そんな大層な事をする理由は・・・あるの? この国は小さい。そして貧しい。そんな国を滅ぼして得することなんて・・・。
「アウグスタ様は王の地位を狙ってるんだ。父上に変わってカロリーネお姉様を傀儡にして施政者となり、この国を我が物にしたいんだ」
「その話はうんざりするほど聞いている。ヴィー。それはエミーリエにだけ説明してくれ。俺は魔力の共有なしに意思疎通が出来るようになった件が知りたい」
 クルトの言葉にはっとして、となりの席のクルトを見る。
「そうよね。そっちの方も聞きたいわ」
 そう言ってヴィルヘルムを見る。
「僕にもわからないことがある。魔力の共有なしに意思疎通ができるようなった人なんて僕は知らない。だけど、兄上と姉上は相思相愛。きっと何か強いもので引き合ってるんだよ」
「じゃ、筒抜けにならない方法は・・・?」
「さぁ?」
「さぁ!?」
 二人同時に叫ぶ。
「ちょっと! それはあんまりよ」
「姉上にはいいお手本があったんじゃないの?」
「あったけれど、仕組みまで教えてくれなかったわ。ただ、自制心を養えって。それだけよ。どーしろって、言うのよ!」
「エミーリエ。落ち着いて。筒抜けになっても俺たちは困らないんじゃないの?」
「困るわよ! 全部筒抜けなんて、何も考えられないわ」
「エミーリエは俺と話すの嫌い?」
 子犬の様な瞳で見つめられると、つまるものがある。
「そうじゃないけど。乙女には隠しておきたい心もあるの。それを全部伝えるなんてできないわ」
「だけど、姉上、その状態、今の機会にはうってつけだよ。策を仕掛けるのに目線の合図も何もいらないんだから」
「そりゃ、そうね」
 流石にこの企みを阻むには適している。
「じゃ、『ちゅー』も予告しなくていいね」
「それはいるー!!」
 きーんと私の声が通り過ぎていく。ヴィルヘルムが頭を抱える。
「姉上! 力が上がってる。頭と耳の両方に送るのはやめて」
「ヴィーが止め方を教えてくれたらね」
「姉上の意地悪」
「はい。姉は意地悪ですよ」
 ヴィルヘルムと軽口をたたき合っているのをクルトは優しい目でみつめている。どきり、とする。この目線に弱いのよ。
「へー。そうなんだ」
 ぼこっ。
 意識を勝手に読み取ったクルトに拳骨制裁が発動する。
「痛いなー」
「今度からはカロリーネお姉様からもらった『ピコピコハンマー』でしてあげるわよ」
 あとで持ち歩こう。にんまり、とした私はやっと来たデザートにありついたのだった。


あとがき
名前のわからない魚、確認してきました。フィッシュなんてついてなかったです。「オジリアリウスウォウォラェ」という、非常に覚えにくい名前でした。書けても発音すら難しい。で、グリーンテトラ三匹も仲間入り。賑やかな水槽です。白コリ一族は試験紙でみたら、水替えサインの出る硝酸塩マックスでした。早速水換えして、ホバリング天国です。明日も水替えして硝酸塩を消していくという作業になります。で、魚のはなしはここで終わり。

結局今日は話の続きは書けませんでした。ばたばたしていて今も阪神戦かけながら、更新一話はしようとやってます。また、眠気が。最近、パソコンをしてると眠くなる。物語を打っていてもミスタッチが増えて何を書きたかったかわからなくなるときがあります。そういうときは寝るかパソコンから離れてお茶を飲む。その時は大丈夫なんですけどね。でもまた触ると眠くなる。寝れないときは逆に触る方が寝れるかも。と思って夜中は触って無事寝ましたから。

それではゆっくり休憩をとりあえずとります。寝ちゃいそう。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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