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【連載小説】氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子第十六話 繋がれた手


前話

「おかーさーん!」
  城の玄関口で立っている王妃に向かってアデーレが駆け寄っていく。まるで本当の親子のように抱き合っている。
 あれが真実なら……。
 だが、レオポルトとも他の味方の誰とも血はつながっていない。それは確かだった。誰も気づいていないが。アイシャードは見抜いていそうだ。
「おにいちゃん。お母さんがココア作ってくれるって。行こう!」
 また戻ってきた妹に手を引かれるままセレスティア城に上がる。
「すみません。わがまま言って」
「何言っているの。息子と娘ですよ。遠慮はないわ。レオはココアが好きなのね。リリアーナからお願いされたわ。作るから待っててね。さぁ。リリアーナ、お兄ちゃんのココアを作りに来ましょう」
 王妃エレナがアデーレの手を引いていく。
「王妃自ら?」
 あっけにとられているレオポルトにユレーネは当たり前でしょ、と言う。
「王家でも出来る事は自分でするのよ。甘えは許されないの。甘やかしてもらえると思ったら大間違いよ。旦那様」
「だ、旦那様って。俺まだ十八。結婚してない」
 レオポルトが天然ボケを炸裂させるとユレーネが頭を叩く。
「ばーか」
 そう言って応接室に逃げ込む。追いかけるレオポルト。いつしか二人きりというのに気づいてお互い無言になる。お互いを意識して何も言い出せない。
「ゆ……」
 レオポルトが手を重ねて何かを言い出そうとしたその時、アデーレのバカでかい声が入り込んできた。
「ココアできたよー。おにーちゃん、どこー?」
「はいはい。にいちゃんはここだ」
 熱い視線をユレーネからそらしてレオポルトが出て行く。
「もう。にぶちん」
 灼熱の大地の国の王子らしく熱い手だった。セレスティア国は氷の国とあって体温が低い者が多い。レオポルトの手の熱さは余計残っていた。
 扉からレオポルトが顔を入れる。
「飲まないのか?」
「飲むわよ。もう!」
「何怒ってるんだ?」
「知らない!」
「おにいちゃん? おねえちゃん?」
 不思議そうにアデーレが見る。
「アデーレ様。レオは姫様ととっても仲が良いという事ですよ」
 カールが言い添える。
「ケンカしてるのに?」
「ケンカするほど仲がいいんですよ」
 ニコも言い添える。
「お前らー。何言ってるんだ」
 レオポルトが言いかけるとユレーネがポツン、と言う。
「違うの?」
「い、いや。ユレーネどうした? うん、お前も冷たい」
「何? 冷たいって」
「母の手はいつも冷たかった思い出がある。熱を出して寝込んだとき母が冷たい手を当てて俺は安心してた。ユレーネも冷たい。俺の相手には申し分ない」
「えらそーね」
「花嫁の条件より大変な事はないが?」
「もうっ」
 怒った声を出しながらユレーネはレオポルトに抱きつく。
「ユレーネ?」
「インフェルニアに帰らないで」
 泣きそうな声で言ってしがみつくユレーネにレオポルトは肯く。
「帰らない。お前を嫁さんにするまでは」
 二人の熱いやりとりに聴衆が鈴なりだ。それに二人は気づかない。アデーレが服の袖を引っ張る。はっと我に返って驚く二人だ。今更な、という聴衆だ。
「お、お父様まで!」
「花嫁の父としてはしっかり条件を守れるか見届けないといないのでな」
「守るって、この場で何するんですか!」
 レオポルトが顔を真っ赤にして声を上げる。
「さぁ。騒いでないで、ココアができましたよ。みんなで飲みましょう」
「ココアー」
 アデーレが着いていく。レオポルトはユレーネに手を差し出す。黙ってユレーネは手を取る。短い距離なのに二人は手を繋いで歩いたのだった。


あとがき

スーパー開店まであと一時間もあるので、午後は完全に漢検の世界の浸かろうと、繰り上げて掲載しています。この後はパソコンを鞄に収納して、机を整理して漢検の本を取り出します。と、決めた。流石に四日空くとヤバい。足のサポーターもいるので、(見に行ってみる)、ドラックストアも行かないといけないし。シップと痛み止めが手放せません。
なんだか、ラブラブな二人で恐縮です。ユレーネが意外な性格で。一応、占星術的に乙女座生まれは、と調べてあるのですが。レオも情熱的という獅子座のイメージからほど遠い。これは後の戦のシーンで頑張ってもらおう。一応、軍の(軍とは限らないけれど)キャラを生み出したので、そこはそれとして機能するかと。まだ、つめてませんがね。ラストを設定の文章に入れ込んでいましたが、内容がずれてるので修正してカールを菅前総理大臣様の如く官房長官に就任してもらおうと企んでいます。でも政治はわからない。側近なだけなので。でもこれで軍のキャラがたまったのでしやすい。十人それぞれの国にいるのですが、大変なのでピックアップしてします。一応ChatGPTさんに候補を出してもらうと延々と続くので途中で切りました。途中で文章が切れるので「続きを教えて下さい。」と書くとまた書き出すので、十人も両国できちゃいました。でも、全部使おうと思ったら某アニメの如くになるので、辞めておきます。

さて、ストックもあるし、今度こそ漢検! でもエッセイ流しそうな。
とにかくテーブルを片付ける!




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