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【薬物記】幻覚キノコ使用者の1日ルーティン大公開

これはとある幻覚キノコ使用者の、なんの変哲もない、1日ルーティン、トリップ報告です。
“体験”のみに焦点を絞り、その他の情報は極力排除しました。

日時:昔
場所:自宅

〈10:00〉
起床。今日は楽しみにしていたキノコを食べる日。風呂に入る。

〈11:00〉
風呂出てサッパリ。部屋を軽く片付ける。ベッドのシワを伸ばし、水やロキソニンを手に届く場所に配置。

〈11:30〉
前日夜食を抜いたので胃は空だ。キノコを4つほど放り込む。これは通常の1.5倍くらいの量で、トリップし損ねるような事にはならないだろう。
毎回思うのだが、いまだに適切な使用量が分からない。

〈12:00〉※摂取から30分
音楽をかけたり、消したり。本を開いたり、閉じたり。ソワソワして腰の座りが悪い。胃と食道のあたりに異物感。

〈12:30〉※摂取から1時間
薄い吐き気のようなもの有り。貴重なキノコだ、吐いてたまるか、と必死に堪える。用意した仏教の本に集中を試みる。

〈13:00〉※摂取から1時間30分
吐き気が消える、というより身体感覚そのものが希薄になっている事に気付く。焦燥感、高揚感。ジェットコースターで頂上に向かってガタガタやっている心持ち。煩悩が超スピードで流れ、色々な考えが止まらない。
キマっているのか、キマってないのか分からないが、多分かなりキマってるのだろう。

〈13:30〉※摂取から2時間
本の内容が全く頭に入って来なくなる。文字が残像を引くように揺らめいている。
紙という物質の存在感、インクの黒の天文学的交差、今そこにある“本という物体”の異常な存在感。存在の神秘に圧倒される。

『知覚の扉』という本の中でメスカリン(幻覚剤)を投与された人が「服のシワ!服のシワの存在感!」みたいな事を言っていたのを思い出し、笑みが溢れる。現象世界の存在感!

〈14:00〉※摂取から2時間30分(ここで時間感覚消失。以降時間表記なし)
視界の色が目まぐるしく変化する。赤、緑、青、何色かわからないが、笑ってしまうくらい美しい。正気を失った訳ではない。しっかり理性が残った上で色々変化するからより奇妙に感じる。部屋を暗くしても全てがよく見える。瞳孔が散大しているのだろう。

空間把握能力に異常。呼吸に合わせて部屋が伸び縮みする。
部屋の隅が1km向こうにあるかと思えば、次の瞬間ちいさい箱に閉じ込められた気になる。
高度3000km上空に居るかと思えば、奥行きが消え、世界が2次元になる。

壁の模様を見る。視線をズラすと、ズラす前に見ていた模様が追従して、スローモーション、ブラーがかかる。

目を閉じる。仏教的な曼荼羅がシームレスに展開する。永遠に見ていられるが、“深淵”に引き込まれているような感覚もあり、ビビって目を開ける。
「サイケデリック」と呼ばれる、極彩色の模様と、全く同じものが瞼の裏に見える。抽象的でない、完全な実在として。なぜ、こうした模様が見えるのか不思議。

深呼吸を繰り返す。目を閉じると、頭上に何か強烈な光を確認できる。
陶酔している自分を、空からシラフの自分が眺めているような感覚がある。臨死体験で報告されるような症状と一致しているな、などと思う。

自他の境界が曖昧になり、宇宙と一体化する。
最終的に、宇宙はなぜ存在してるのだろう、意識とは何か、みたいな根源的な疑問に立ち帰り、結局いつもここだなぁ、不思議だなぁとクネクネして疲れて眠る。


だいたいいつもこんな感じです。

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