見出し画像

自分を受け入れることを知ったインドひとり旅。 思い悩んだら旅をすべし|ALiveRallyインタビュー #2

今回の記事は、冬セメスターを利用してインドへ「自分探しのバックパック旅」に行ったという須山聡也さんをフィーチャー。1ケ月間のひとり旅で何が見えてきたのか?そもそもなぜインドへ行ったのか?AIUきっての旅人であるとしやさんに、自分と向き合い変わっていくための一歩の踏み出し方についてお聞きしました。
挑戦したいことがあるけれど、踏み切れない人。自分のやりたいことが見つからない人。としやさんのストーリーはそんなあなたの背中をすっと押してくれるはず。

画像2

基本情報
名前:須山聡也(すやま としや)さん
AIU入学時期:14期春入学
活動内容:ひとりバックパック旅
活動場所:インド
活動時期:2年生の冬セメスター
インタビュー時期:2020年9月

インド瞑想の旅。
自分探しの末に見つけたものとは?

ーーインドではどのような活動をされていたんですか?

A. 一ヶ月の無計画ひとり旅です。「自分探し」をしに行ってきました。

ーーおお、自分探し(笑)もっと詳しく聞かせてください。

A. ひとり旅って、”Doing Nothing”を極める行為だと思うんです。現代人あるあるかもしれないけど、自分は実家でゴロゴロしていると落ち着かなくて、何かやっていないと不安になっちゃうタイプで。でも、旅をしている間は、異国の地で目的を決めずにだらだらすることを正当化できるし、なによりも新しい土地で、新しい自分を知れるという部分が特に魅力的だと思っています。

画像12

ーーなぜ自分探しをしようと思い立ったんですか?何かきっかけなどあったら教えてください。

A. ひとり旅を決断した当時、実は少し鬱っぽくて。AIU入学以来、部活動やシェアハウスなど忙しなく様々な活動をしたけど、「どれも自分のやりたいことじゃないな」ともやもやし続けていたんです。自分の将来やキャリアについても考えていたけど、答えが見つからない苦しさを感じていました。

ーー全然知らなかったです。

A. 実はね(笑)でも、自分と向き合うための方法を探している過程で「どうやら瞑想が鬱を直す一つの治療法らしい」ということを知ったのが転機になりました。「マインドフルネス」という考え方を知って独学で瞑想を実践していたんだけど、どうしてもひとりだとうまくできなくて。どうせやるなら本場で学びたいと思ったので、AIUの冬セメスターを取らずにインドへの渡航を決めちゃいました。

ーーなるほど。なりたい自分と現実とのせめぎ合いが、自分と向き合うための決断を後押ししてくれたんですね。インドでの瞑想はどのように実践されていたのでしょうか?

A. 具体的に言うと、ヴィッパサナー瞑想というインド発祥の瞑想スタイルが学べる10日間のコースに参加していました。ガイドブックにも載ってないような場所に「瞑想センター」がなるものがあるんです。そこで10日間缶詰状態になってひたすら瞑想をしてました。バラナシやブッタガヤという観光名所にあるセンターもありますが、僕がいったのは中心部から離れている閑静な場所にあったので、たどり着くのにも時間がかかりました。

画像4

ーーすでに波瀾万丈な旅の香りがしていますね(笑)

A. そうなんです。受付で紙を提出すると、持ち物は着替え以外全部没収されて。「ここで何があっても責任はとりませんよ」という内容の誓約書まで書かされてた時は、さすがにドキドキしましたね。でも過去参加者のブログを読んでいたので、命の危険はないだろうと信用していました。
実際にセンター内部に入ってみると、大多数の現地人の中にイタリア、ロシア、クロアチアなど世界各国から受講者が集まっていました。みんなノリで来た人ばっかりで「面白くなりそうだな」と直感的に感じました

ーーうわあ、私までワクワクしてきました。ちなみにセンターでの一日はどんな感じだったんでしょうか?

A. いやぁとにかく瞑想に次ぐ瞑想でしたよ(笑)朝4:30に起床し、レクチャーを聞いたり、インストラクターの方に伴走してもらいながら瞑想しましたね。思いのほか充実したコース内容で、とても勉強になりましたね。

画像2

(瞑想センターでの1日のスケジュール)

ーーこれは…すごいみっちりスケジュールですね。ヴィッパサナー瞑想では何か「問い」のようなものが与えられるんでしょうか?

A. 解けない問題を与えられて考え続けるタイプの瞑想スタイルもありますが、このヴィッパサナ―瞑想では何も考えずにずっと深呼吸するだけ。自分を見つめるんです。
目つぶってじっとしてたら、「考えてる自分がいるな」と気づく。結果として無になる。ひたすら深呼吸。これを繰り返していくと、深いところに入りこむことができるんです。10日間ひたすら鼻から息吸って口から吐いてましたよ。

ーー本格的!先ほど、この旅の目的は自分探しだったと仰っていましたが、瞑想の経験から自分探しにおけるヒントは得られましたか?

A. とても大きいものを得られたと思ってます。やってみたら思った以上に瞑想が得意で、深いところまでいけてたんです。フロイトのいうところのトラウマ克服のプロセスに似ていますが、無意識のうちに抑え込んでいた過去の経験を自覚したことで、自分自身をより深く知ることができたと思っています。

ーー過去の自分を受け入れられたってことでしょうか?

A. 僕の場合、鬱は自己否定や別の誰かになろうと、もがくところから始まっていて。この旅を通じて別の誰かになる必要がない、っていうことを知れただけでも大きな収穫でした。もちろん、10日間で悟りを開けるわけではないので、ファーストステップにすぎないのですが、この経験で気持ちが軽くなったのは大きい収穫だったと思いますね。
瞑想以外では、自分一人しか頼れる人が居ないという状況を生き抜けたことや、広い世界でちっぽけな自分を知れたことも、ひとり旅の醍醐味だったと感じています。

ーーなるほど。日常ではそんな「気づき」はなかなか得られないですよね。分かっていても腑に落ちないというか。だんだんとひとり旅のおもしろさに惹かれてきました…

A. お、いいですね。日本社会では、既にラベリングされた自分しか見えなくなっていたんですが、でもそれは本当の意味で自分ではないと思ったんです。分人主義的というか…あくまで切り分けられた自分の一面でしかないと感じていて。自分に与えられた「役割」から外れて自己の本質的な部分に触れるには、今までの自分を知っている人が一人もいない場所で自分の新たな側面を探ることも重要だと思うんです。例えば、超陰キャの人が、パリピの可能性を信じて旅先でいつも以上にハジけてみる、みたいな?(笑)

画像6

ひとり旅のススメ
自分を変えるための一歩の踏み出し方

ーーこれまで、インドでの波乱万丈すぎるお話を聞いていましたが、としやさんは新しい世界で、新たに出会った人達の目線を通して見た自分像から、たくさんの気づきを得られているように聞こえました。ひとり旅ではどんな人との出会いがあったのでしょうか?

A. ひとり旅といえども、周りに人がいる時間は多かった気がします。最初は宿から人間関係が広がっていって、同じくひとり旅をしている人たちと2~3日一緒に過ごして別れる、といった感じの生活でした。旅の後半では、インド南部にあるオーロヴィルへ行き、現地の人達と仲良くなれました。旅行者ではなく、現地の人と仲良くなったのは今までの旅とは一味違う経験だったなぁ。

ーーへぇ。ひとり旅のイメージが変わってきたかも知れないです。もっと孤独かと思っていました(笑)

A. 友達との旅行ももちろん楽しいんだけど、ゴールは一緒に過ごす人と目一杯思い出をつくる事だと思っていて。対して、ひとり旅は自分との対話に集中できる。そこが普通の旅行との一番の違いなんじゃないかな。

ーーひとり旅に挑戦したい人は多くいると思うんですが、実際に行動に起こす人はその中でもほんの一握りですよね。としやさんも破天荒な旅の前は、不安に駆られたりするんでしょうか?

A. 今はもう慣れてきていますが、最初の事は不安に駆られまくってましたよ(笑)最初のひとり旅は大学1年の冬に行ったイスラエル・パレスチナだったんですが、飛行機の取り方も現地での過ごし方もわからなくて、「何で来たんだろう」とさえ思いました。でも後から「異国の地にひとりでいるんだ!」という実感が湧いてきて、次にいつ訪れることができるかもわからない土地で新たに出会った人と過ごす日々に対して、居心地の良さを感じたんです。

ーー初っ端からイスラエルまで飛んだんですか!(笑)

A. まぁね。でも、そこまでできないなと感じている人は、近場の台湾や東南アジアで3~4日過ごしてみるっていうのもいいかも!とにかく大事なのは最初の一歩を踏み出すことだと思うんです。個人的にはひとり旅は最高の経験だし、自分を試せるいい機会。だから、ぜひ挑戦してみてほしいな。絶対とは言わないけど、ハマる人はハマると思うよ。

画像6

ーーとしやさんが最初のひとり旅に踏みきれた背景には、どんな理由があったんでしょうか?

A. 一緒にシェアハウスに住んでいたメンバーから、旅の良さや現地での破天荒ストーリーを聞いていたことが大きいと思います。あとは旅人の世界一周ブログもよく読んでいましたね。そういう人達ってみんないい意味でアホなんです(笑) 知的好奇心とパイオニア精神を糧にして、見たことも、行ったこともない世界中の場所にすっと引き寄せられちゃう。彼らにどこか憧れがあって「自分もこうなりたい」という純粋な思いが旅に踏み切れた一つの理由だと思います

ーーやっぱり周りの人から影響を受けているんですね。ところで、インドといえば、価値観が180度変わった話や、インドに行ったきり入り浸ってる人の話を聞いたことがあります…としやさんはどうでしたか?

A. ドはまりです(笑)インドって合う合わないが明確に分かれる場所だと思っているんですが、僕は圧倒的前者でしたね。最初は皆がそこまでインドに執着する理由が理解できなかったし、「なんで来たんだろう」とさえ思いました。でも、2週間ごろから徐々に居心地がよくなって。インドは…本当におもしろい場所だと思います。特に、インドは日本と真逆な性質の国だったから、価値観のギャップを感じずには居られなかったですね。ルールや清潔さ、繊細さ、思いやり、世間体などが日本のキーワードでとしてあげられるとしたら、インドは真逆なんです。日本人である僕にとって全てが逆の社会というのは衝撃的だったし、ある意味、やみつきになりました。

画像10

ーー正反対のものに惹きつけられる感覚、わかります。価値観の違いやカルチャーの違いを感じたエピソードがあればぜひ聞きたいです。

A. ローカルマーケットで売られている品物の値段が定額じゃないことが一番の衝撃でしたね。店員さんに“How much?”って聞いたら” How much do you wanna pay?”って聞き返されて(笑)

ーーえ!?毎回値段交渉するなんて日本じゃありえないですよね。

A. 日本に居たときは「値段=既に決まっているもの」っていう概念に対して全く違和感を抱かなかったけど、よくよく考えたら、交渉の末にお互いが満足する値段に落ち着いたら、売買が成立する。これってとっても本質的だなと感じました

ーーたしかに今まで考えたことなかったけど、いいとおもったものに自分が払いたい金額を出すことってとても自然ですね。

A. そうそう。あとカースト制度かな。田舎の地区に行くと、一つのレストランに店員が4~5人いて、それぞれオーダーを取る人、調理する人、料理を出す人、料理を下げる人、みたいに仕事がきっちり分かれていたんです。資本主義を生きる僕からすると、もっと効率化したらいいのにと思うんです。どうしてこの人員配置なのかと聞いたら、「彼はお皿を洗うカーストで、僕は料理を出すカーストだからさ」と説明されて。まだ文化的にカースト制や分業制度が残っているんだと実感しましたね

ーーそんな常識が覆されるような経験続きだと、ストレスを感じたりしなかったんでしょうか?

A. 最初はインドが嫌いになって発狂しそうでしたよ。体調もメンタルも弱って、どこにでもついてくるインド人にブチぎれたりしたし(笑)でもそれを乗り越えたら、好きになっちゃった。今考えると、自分の既存の常識に囚われていた間は、新しいものを拒絶することで自分を保とうとしていたんだと思います。個人として生きる上で、社会に引かれたレールは先人がつくったルールにすぎないし、常識はただ自分の中に作られたものなんだなって気づきました。

画像8

ーーとしやさんのように人生が変わる学びが得られるのなら、ひとり旅に行かない手はないですね。最後に、新たに一歩を踏み出そうとしている人達へ、メッセージをお願いします!

A. 最初の一歩を踏み出すのってとても勇気がいることだと思います。自分もかつてはそうだったんだけど、どうしても行かない理由を探しちゃう。「お金ないから、今はちょっと旅行行けないな」とかね。今のコロナウイルスでも痛いほど実感したけど、「いつかいつか」といって先延ばしにすると大抵それは実現しないと思うんです。「いつか」は来ない。
旅に関しては、思い切りよく決断してしまうのがとっても大事だと思います。悩んだり不安になるのはあとからでもできるから、まずチケットを買ってみて。行ってみたら必ず何かが得られると思うし、やらない後悔の方が大きいと思う。無理やりにでも一歩を踏み出してみてほしいな。

画像8

=========================

編集後記
多くの人がぶち当たるであろう、「自分って何者?」の問いに異国の地でひとり、向きあったとしやさん。彼の経験は、きっと多くのAIU生の背中を押してくれるはず…!どんなすごい話が聞けるんだろう?と期待して向かったインタビューでは、拍子抜けするほど飾らずに素の自分を語ってくれました。旅先での様々な困難を潜り抜け、自分と対峙し続けたひとり旅を乗り越えた彼のストーリーが、今この瞬間に一歩を踏み出せずにいる誰かの背中を押してくれることを願っています。さぁ、まずは飛行機の手配から!

interviewer: Ayusa Haga / Nao Futagami
writer: Ayusa Haga

#AIU #国際教養大学 #ALiveRally #地球の学び方 #旅 #海外ひとり旅 #一人旅 #バックパック #瞑想 #インド #アジア #休学







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?