【Kindle】命をつなぐ政治を求めて(嘉田由紀子)【Unlimited】

そういや一時期、月間の本代がアホみたいにカサんで困ったので、家計見直しの為にファイナンシャルプランナーに相談した所、Unlimitedを進められたので利用するようになりました。
月額980円で読み放題(但し読みたい本があるかどうかは別)
という訳で、Unlimitedで見つけたオススメの本、チマチマと紹介する事にしようかと思いました。場つなぎ的なネタ、としても有効だし。

因みにUnlimited「本の貸し出し」の様なサービス(10冊まで)なのですが、この本、未だ返却していません。そこまで気に入ったのなら買えや、と思ったので、買おう。

嘉田由紀子

略歴などは詳しくはWikipediaなどを参照して欲しいのですが、2021年段階で参議院議員の政治家さんです。元々は滋賀県の知事やってました。因みにFaceBookでコメント書くと返事をくれる、レアな政治家さんです。Twitterとかはやっていないと思われ。

個人的には、5分くらいお話しした事がありますが、人柄が素晴らしい、という感想。この本読んでからファンになりました。
因みに政治家として、と言うよりは人としての在り方が好きなので、ファンという表現をしてます。(政治家辞めてもファンのままですよ、という意味です)
因みに「先生文化を辞めよう」と言っており「嘉田先生」と呼ぶと嫌がります。やめましょう。何て呼ぶのが良いのか?というと、自ら「嘉田さんと呼んで下さい」と言っていたので、嘉田さん、と呼んでいます。注意点としては「多田さん」や「加賀さん」と間違うと嫌がります。特に「加賀さん」はキーボード配列的に間違い易いので、気を付けましょう。あと一時期「さすかだ」のハッシュタグを流行らせようとしましたが、流行りませんでした。とても残念。

政治家としてなのか個人としてなのかは不明ですが、家族問題と環境問題がメインテーマで、結構長くやっています。多分ライフワークではないでしょうか?
なので、この本の中でもソコがメインテーマになっています。
本の中で、理路整然と家族問題と環境問題が語られていて、知事としてどういう考え方の下、なぜそういう判断をして、どうしてそういう政治をしていったのか?という点が書かれていて面白いです。
あと、元々は科学者(研究者)なので、数字を元にした事実から展開されていくので、面白いです。
環境問題については結構本を出していて、ダム問題とか治水とかはソコに根差した問題意識なんだろうな、というのが伺いしれます。

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命をつなぐ政治を求めて

「命」なんて大きな言葉を使う場合、それが何処から来ているのか、例えばルサンチマンに根差した所から来ているのか、それとも大きな使命感から来ているのか、と言う点に気を付けるようにしてます。つまり「その人の背景や行動に気を付ける必要がある」という意味で、ルサンチマンに根差した言葉の場合、尚且つその人がそれを手に入れた場合、すごく碌な事にならないから、というのを歴史が証明しているからです。なので、政治家にせよ誰にせよ、耳障りの良い言葉を使う時は非常に注意が必要です。と一般的に言われています。

昨今では、コロナ禍によって「国民の命と生活」という言葉が飛び交っている印象ですが、じゃあその人達にとって、そもそも命って何?生活って何?お金さえ十分にあれば人間的に豊かに生きれるの?であればニートって最高の生き方じゃないの?という点について、何も語られていない。というか、何かを語るのではなく、何をしているのか?ソコが全く見えない。お金を配れって言っているだけにしか見えない。

さてこの場合、「命」を「つなぐ」という2つの大きな言葉が使われています。そこに政治がどう関わってくるのか?
この本を最後まで読むと「なるほどだからこのタイトルなのか」と納得してしまう内容です。
ただ残念なのは、この本だけでは嘉田さんの背景が分からないので、何故そう考えて、どうしてそれが大事だと考えているのか?が分からない。
その辺はFaceBookとかで保管していくしかないのかなぁ、という点です。
きっといつか自伝を出してもらえれば、色々と補完されるのかも。

家族問題

命をつなぐ、と家族問題のつながりについて。
なぜ命をつなぐ事と家族問題がイコールなのか?というと「子供を産み育て次に繋げていく」という点。平たく言うと、少子化問題。
つまり子育てと言う点において、家族が孤立しているという現状を放置してしまうと、子供が育たない。そうすると社会として成り立たない、という視点で、では具体的に滋賀県知事時代に何をしたのか?という事が書かれています。
特に印象的だったのが「苦しむ母親・父親」という表現。
児童虐待について調査した結果について、以下の記載があります。

虐待の加害者の70%近くが「実母」であり、25%が「実父」で、合わせて95%を占めている

じゃあこれに対して何をしたのか?と言うと、虐待するのは酷い親だ、というトーンでは無いんですね。虐待を罰則化しても、結局は虐待が無くなる事は無くスティグマを生むだけの結果になる。児童虐待を無くしたいにも関わらず、逆に虐待が影に埋もれてしまって、結局は誰も幸せにならない。そして虐待する親は決して特別で人間的にオカシイ人ではなく、誰にでも起こりうる事であり、その背景にある社会構造に問題がある。
では社会的構造とは何か?そこから明治憲法以降の家族法という構造について言及し、以下の問題がある。

①男は外、女は内
②若い男性に家族をもてるだけの安定した雇用が提供出来ていない

現代では、昔ながらの家庭観は既に崩壊しており、核家族化・終身雇用も崩壊した現状で、家族は孤立している、というのが問題である。
それに対して何をしたのか?という点について書かれています。

後は、終末医療についても書かれています。命を語るなら一番初めにアプローチするのは死である、と個人的には考えています。そこについても語られています。
自分は一度、終末介護の現場を見に行った事がありますが、あれは想像を絶する光景でした。「自分の最後があの場所か」と想像すると、ちょっとゲンナリします。これは終末介護をしている現場の人も家族も誰も悪くないです。ただ「そういう環境を知らない」という事が問題であって、人としての尊厳というか何と言うか、ヤングケアラー問題や介護問題とかも含めて、社会構造として一度疑問に思って課題提起する必要があるな、と感じています。

ただ全体的に、少子化問題にせよ、男女共同参画問題にせよ、経済成長に絡めている部分は、自分の考えとは違うな、と感じています。というのも、経済が成長しようが幸福度が増えないのであれば意味がないかな、と。
ただ、これは嘉田さんの「方便」なのかな、とは感じていますが。(要は経済成長に絡めた方が、同意されやすい)
因みに、これからの時代、富については「マタイ効果」が最大化されていく時代で「労働が富を生まない時代」つまり「幾ら人口を増やしても豊かにならない時代」と言われています。そうなった時に、少子化の何が問題なのか?という議論に変わってしまう。
本筋としては、少子化問題は「望んでも子供を持てない」という事だと思っていて、根本的には「選択の自由」に対する問題、つまり人権に関わる問題だと感じています。(男女平等も一緒です)更に言うなら、幸福度の最大化、という問題だと感じています。

環境問題

命をつなぐ、と環境問題のつながりについて。
自分的には、ユクスキュルの「生物から見た世界」しか知らないですが、実は嘉田さんの見ている環境は、一般の人から見た時とレンジが違う気がしています。

要は「人間から見た環境と他生物(例えばアユとか)から見た環境は異なる」という視点に立って「環境の一部に人間がいる」という考え方に基づいている、のだと思います。ただ、その背景を当たり前だとして書いているので、直感的には凄く難しい。そして自分は語る言葉と知識が無いので、深くは語れませんが、嘉田さんの書いている事は間違っていない、ように思えます。ただ、反対側が分からないので、何とも言いようがない。

ダム問題にせよ原発問題にせよ「科学的に合理的に冷静にデータに基づいて判断しよう」と言うのは完全に合意、です。

まとめると「人間は環境の一部である」「100年後に不幸にならない」という点で、命をつなぐ、という表現に含まれているのかな、という感想です。

そして100年後に後悔しない為に、今の人間が判断すればよい、と思います。

まとめ

嘉田さんの書いている事は、今の時代の価値観では、中々に想像しにくい内容です。そして嘉田さんの人生の中で、何故それが問題なのか?何故それを政治の世界で直して行こうと思ったのか?が見えないので、本当に嘉田さんが考えている事が分からないです。
本の中では、以下の言葉が使われていますが、何となく、これが大事なのかな、という直感です。

「現象後追い型ではなく事前対応型」
「弱者を助ける政策ではなく、弱者を産まない政策」
「三方よしとは、売り手よし、買い手よし、世間よし」
「ないものねだりではなく、あるものさがし」

自分の理解で行くと「存在論的人間観へのシフト」がメインテーマなのかな、と。
そして、やはり一番伝えたい事は

日本をもっと良くして行こう

なのかな、と感じています。
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