子供をクライミング選手にする・3

前回の投稿から、少し時間が経ってしまいました。
今回は、道具選びについてお伝えしたいと思います。

スポーツ・クライミングを楽しんでいる方なら、おおむね同意して頂けると思いますが、道具選びで最も頭を悩ませるのが「クライミング・シューズ」だと考えています。

もちろん、シューズのほかにもハーネスやチョークバッグもロープも、ビレイ・デバイスや”アンカン”、”ヌンチャク”なんてのも軽視してはいけないのかもしれませんが、それはまた別の機会に。

クライミングは両手両足の4点支持によってホールドをとらえて課題を登ります。インドアの場合、手は素手ですが、足はシューズを使います。

御存知の通り、小さなホールドに爪先で乗ったり、スポーツ・クライミングの場合はボテを面で捉えることもあります。
クライミング・シューズ(以下シューズ)の特徴や性能が試合を左右するといっても過言ではないでしょう。

では、子供たちの場合、どんなシューズを選ぶべきか。
これは私見なのですが、小学校低学年のまだクライミングを始めて間もない子供たちは、レンタルシューズでも十分です。ただ、ボウリングのように靴下を履いていないとレンタル・シューズは貸してくれませんのでご注意ください。

そして、初めての子供たちはクライミング・シューズに違和感だったり痛みを感じることもあります。ですので、学校で履くような上靴で十分です(一応、上靴でもいいか、クライミング・ジムに確認してください)。

登っている時、ホールドじゃなくて、痛い足に意識がいくようでは、いいクライミングが出来ませんので。

そんなことを繰り返して「いよいよマイシューズが欲しい」となったら、どんな靴を選べばいいのか。私はどこかのメーカーやブランドの回しものではないので「これを買え」と特定することはしませんが、最初のうちは、柔らかめの靴を選んだ方がいいと思います。

クライミング・ジムの多くがシューズを販売していると思いますが、おそらく大半のジム・オーナーは賛成してくれると思います。

最初は、自分の足が壁やホールドに、どう接地しているのか、どういう時にホールドに乗れているのか、どういう時に乗れていないのか、ちゃんと分かるのは柔らかい靴です。

壁やボテの面を足裏全体でスメアした時。
極小ホールドをギリギリ踏んでいる時。
これらの違いをちゃんと分かり、適正な体重の乗せ方が分かるのは、構造が柔らかい靴です。特に子供のうちは体重も軽いので、かたい靴よりは柔らかい靴の方が使いやすいと思います。

「歩くための靴じゃないから、多少痛いくらいフィットした方がいい」とベテラン・クライマーの言うことを真に受けて、子供のうちからターン・インした靴で、しかもギリギリのサイズに落とした「攻めたシューズを」履き続けると、成長にもよくありません。

それに、子供はどんどん成長していきますから「フラッグ・シップ」モデルを購入しても、ソールが減る前に履けなくなってしまいます。

できれば、靴下(クライミング用ではなく、いつも履くようなコットンの靴下)を履いた状態でも痛くない、クセのない柔らかい靴を選んだ方がいいでしょう。

何度も繰り返しますが、最初のうちは、自分の足が、ホールドに対してどんな風に乗っているのか、感触を覚えていくことが大事です。

シューズについては、そんなところです。
そして、シューズ選びに失敗しなければ、チョークバッグ(腰につけるのも、バケツ型も)は好きなものを選んでもらって構いません。
単なる「入れ物」です。
大事なのは、入れ物ではなく、中に入れるチョークです。
あと、最近は、チョークの詰め方にも注意といいますか、マナーがあります。余分な粉をあっちこっちにバラ捲かないような工夫をするのですが、これについては、それぞれのジムで教えてもらって下さい。

ちなみに、粉チョークや一部の液体チョークを禁止しているジムもありますが、これもまた、ジムによってルールが違いますのでご注意を。

最後に、リードクライミング、スピードクライミング用のハーネスです。
こちらは靴と同じように「すぐ大きくなるから」と、大きめのハーネスを選ぶのは、やや危険な考えです。
ハーネスは登るための道具というより、落下の際、身体を護るための道具ですから、最も重要なのは、フォールした時、ちゃんと身体を支えてくれるかどうか、です。

しっかりベルトを締めているのに、そのまま脱ぐことができるようでは、落下の時、身体がすっぽ抜けることもあります。
そんなバカな、と思うかもしれませんが、小さい子供は、身体に対して頭の質量が大きいため、よくロープの結び目を支点にして上下がひっくり返ることがあります。
万が一、それでハーネスから身体が脱げたら一大事です。
脱げないまでも、上下がひっくり返って壁に頭や身体が当たると、それだけで「トラウマ」になる可能性もあります。

小さいうちは、ボディーハーネスを併用して、どういう風に落ちても、常に頭が上を向くようにしていれば、安全ですし、怖さも半減されるかと思います。


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