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第二十回「君はライダースを着たことがあるかい?」

もうこのコラムも二十回目を迎えるのかとしみじみ。
というか、コラムを更新するたびに「もう○回目ですか」と書いている気がする。
冒頭が全く一緒のパターンになってもう何回目ですか。

あと2ヶ月とちょっととかそのくらいでこのコラムが誕生して1年になる。
誰が読んでいるかもわからないこの文章をインターネットに放り投げて。
1年。

この一年の間に俺は事務所に所属して引っ越しをして、毎日何かしらの”音楽”と向き合っている。
時に上手くいかず苦しくて精神的に参ってしまうこともあるが、
それでも音楽でご飯を食べていくということを身を持って体感している。

この世間的には小さかったコミュニティは今どうにか拡大を目論んでいて
毎日何かしらをしているのだけれど、スポットライトを浴びている気はしていない。
それが、今現段階で応援してくれている人にも伝わってしまって非常に申し訳ない気持ちでいる。それは俺が悪い。超。

なので、気を取り直して俺は今日も何かしらの物事と対決する。
音楽や文章や映像なんかと戦う。

だから、見ていて欲しい。傲慢な願いかもしれないが
俺にはあなたの声が必要なのだ。

話は変わり昨日、インターネット配信にてライダースの話になった。
俺は得意げに2万5千円のライダースにしては激安なそれを着て
パンクロックの話なんかをした。

もうかれこれそのライダースを着て10年になろうとしている。
別に愛着が超あるってわけではないが、気づけば10年いろんなライブを
こいつと共にしてきて、いろんなバンドのライブの音をこいつは吸収していた。

だからかどうかは知らないが
俺はこの激安ライダースを羽織ると強い気持ちになる。
仮面ライダーやウルトラマンに似た何かに変身できる気がしているのだ。

数々のライブを吸ってきたこいつが居れば今夜のステージも大丈夫なんて
おとぎ話みたいなことを思うのだ。俺は。

初めてそいつを羽織った日のことを今も覚えている。
インターネットの通販サイトで買ったそいつはパッキパキの革と真新しい黒がとても印象的で箱を開けた瞬間に革の匂いが凄かった。

10年経った今でも俺の鼻はそれを覚えているから面白い。

すぐさま自分の部屋に行き少し照れながらもそいつを羽織り鏡の前に立った。

「うわぁ」

みたいな声が漏れてCDを漁り銀杏BOYZをかけた。
「NO FUTURE NO CRY NO FUTURE NO CRY
未来はないけど泣いちゃダメさ。」

ライダースを着た22歳の青年は銀杏BOYZの音楽を一番最初に
そのライダースに浴びせた。

馬鹿みたいな話だ。
服にそんなことして恥ずかしい。
気取ってる。
カッコつけてる。

なんて今、思った方もいるかもしれない。
が、俺は本気だった。

どんな物事だろうが当人が本気な場合。
決して誰も馬鹿にする権利なんてないのだ。

そして、ライダースというのは「カッコをつける服」なのだ。
一種の反逆のアイテムだとか、パンクの象徴だとか
いろんな例え方があるが、もっと単純な話で
カッコの悪い人間がカッコをつけれる服。それがライダースなのだと思う。

俺が憧れた地元の先輩はとんでもなくカッコいいライダースを着て
煙草を吸いギターを弾いていた。

俺もそれになりたいと思った。

10年経ってもその人は越えられず未だに俺の中での憧れだが
この10年。俺は俺なりにこのライダースを可愛がってきた。

友達だ。俺の。

これからもこいつと沢山ライブをするだろうし、
沢山音楽を聴くと思う。
キャプテン翼の大空翼くんが「ボールは友達」と言ったが
俺はライダースが友達なのだ。

そんなクスッと小馬鹿にされるような発言をしてしまうが
俺は本気だということを忘れないで欲しい。

ロックンロールに騙されて、ライダースを着て
今も俺は歌ってる。

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