死者が見える少年ととある出来事で心に傷を負った元刑事が出会って、死者の謎を解き明かしていく物語。

この小説を読んでまず思ったことは、この世に後悔なく逝く人というのは本当に少数で、多くの人は後悔したまま逝くことが多いんだろうなということ。
私自身、いつ死んでもいいように後悔なく生きていきたいと思うけれど、そうはいってもきっと後悔を残さずして逝くことはできないんだろうなと改めて思わされた。

この小説に出てくる死者は死因がバラバラ。心残りも多岐にわたってる。
本当に優しさに溢れてる人もいれば、他人を陥れたいと願ってる人もいる。そこは人の性格、想いが丁寧に描かれてて、時には涙し時には怒りが湧いてくることもあった。ここは共感できるなとかここは共感できないとか。そこは生きてる人でもある感情が死者を通して感じることになるとは。
人って死んでももともとの性格は変わらないし、その人が感じた想いってのも変わらない。もし自分の生き様というのが死者になっても残るんだとすれば、今からでも死んだ後も心に残るような生き方をしていきたいと思った。

特に心に残ってる一文がある。

大切な人を亡くした時人は後悔する。後悔しつづける。

私も未だにある人を亡くして後悔し続けてることがある。
その相手にもし会うことができればたくさん感謝を伝えたい。なぜ生きてる間に伝えることができなかったんだろう…。おそらく生きてる間に叶うことではないと思う。だからこそ今は感謝の気持ちをその時伝えるように努力している。

少しでもいい。少しでもいいから死んだ時に後悔しないような人生を送っていこうと改めて思うことが出来た。