【改】子宮頸がんとHPVワクチンのこと

中学生の保護者の方から質問があった子宮頸がんとHPVワクチンについて、書いていきます。

1.子宮頸がんの患者予測

まずこれは実際のデータです。全国で1年間に新たに1万人が子宮頸がんと診断され、約2800人が子宮頸がんで死亡しています。(https://ganjoho.jp/reg_stat/index.html) 

画像はhttps://www.mhlw.go.jp/content/000679261.pdfより

そして、今後の予測が出ました。

10月22日に『2000~2003年度生まれの女性では、避けられたはずの患者が計1万7千人、死者が計4千人発生するとの予測を、大阪大チームが22日までにまとめた。(中略)その後も同じ年に生まれた女性の中で4千人以上の患者、千人以上の死者の発生が防げなくなるとした。』

かかると切除したり・・・ということが私の周囲でもあります。決して珍しいことではありません。治療について詳しくは、以下にあります。

2.HPVワクチンの副反応を心配する親御さんのこと

1にあるように、このまま接種の低い状態が続くと・・・という話なんですよね。

乳幼児を育てている方々はなにか特別なものと思うこともなく、他のワクチンと同様に、年齢がくれば、という風に考えられている方が多いと感じます。

また対象年齢の親子さんでも、昨年の夏から少しずつ、そして今年からはだいぶ接種したよという声も聞いています。

しかし、2013年6月に接種勧奨を中止してから7年間の期間に、小学生〜高校生だったお子さんを育てる親御さんの中には、心配が消えないという方が一定数います。(なんとなく打ちそびれている、という方もいますが)

ちょうど息子(2004年生)と同年齢の子達が、一人でも、将来、悲しい目にあうことがないように。。。

将来、わかっていたのにあのとき・・・ということがないように今、一緒に考えていきたいと思います。

3.副反応は実際にどのくらい起きたか

『医療現場の行動経済学』(東洋経済新報社)から引用すると

接種延べ回数889.8万回において、医師が重篤な症状(疑い)として報告した頻度は、サーバリックス・ガーダシルいずれも0.007%程度

このことをお話したとき、その方々が、10人に一人?という反応を示したことからも、相当数、副反応が出ていると思われていることがわかります。
実際には10万接種あたり7件です。

「慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究」の研究班資料によると(中略)認知行動療法アプローチにて、約7割の人に症状の改善がみられている

とあります。回復している方が多い、ということもあまり知られていないことかと思います。(7割の方にとあり、残りの3割のほうが気になる方もいるかと思いますが、このアプローチだけではないので・・・)

また、「子宮頸がんワクチンの有効性と安全性の評価に関する疫学研究」の一環として行われた「全国疫学調査」においては、HPVワクチンを接種していない女子においても、接種後に報告されている症状と同様の多様な症状を呈する者が一定数存在することが明らかにされた。すなわち、多様な症状が必ずしもHPVワクチン接種者に固有のものではないことが示された。

とあります。接種していなくても同様の症状が発生する子がいるということ。以下にも続きます。

さらに名古屋市の「子宮頸がん予防接種調査」の結果が名古屋市立大学の研究者によって論文発表された。それによると、調査対象の多様な症状の発生頻度は、接種者と非接種者で統計的に有意な差が検出されなかったのである。一方、HPVワクチンぼ有効性を示す国内のデータも次々に発表されている。

ここでも打ったか打ってないかで、症状の発生に差がないことが出ています。

こちらは対象年齢のお子さんがいる方に、配布予定の厚生労働省のパンフレットからです。

『因果関係があるかどうかわからないものや、接種後短期間で回復した症状をふくめて、HPVワクチン接種後に生じた症状として報告があったのは、接種1万人あたり、約9人です。うち報告した医師や企業が重篤と判断した人は、接種1万人あたり、約5人です』

とあります。

先程の資料(10万接種あたり7件)より数字が大きいと思いますよね。これは厚労省の資料は『因果関係があるかどうかわからないものや、短期間で回復した症状を含め』ないといけないそうなのです。本当はここ、改善できたらいいのですが。。。

これについてはかねてより私も指摘している点です。けれども、よく厚労省は何か隠しているのではないか?というような見方があると思うのですが、隠しているどころか、判別できないものは全部入れてます、という数字で、学会や研究班が出している数よりもかなり多くなってしまいます。

4.HPVワクチンの有効性

では、有効性はどうなのでしょうか。

有効性は60%というデータが出てきています。

上記から抜粋すると

2006年から2017年のスウェーデンの全国民のデータベースを用いて、10-30歳の女性約167万人を調査しました。4価のHPVワクチンを少なくとも1回接種した約53万人と、HPVワクチンを接種しなかった約115万人において、子宮頸部浸潤がんの発症を比較しています。年齢や教育水準、収入、母親の子宮頸部異形成などの要因を調整した結果、4価のHPVワクチンは子宮頸がんのリスクを約63%下げる(リスクが約1/3になる)ことがわかりました。

もう一つ分かったことについても以下にあります。

今回の研究でもう1つわかったことは、年齢が低いうちに打った方が効果が高いということです。17歳以下で接種した人の中で子宮頸部浸潤がんを発症したのは全部で2人だけであり、リスクは88%も減っているとされています。一方で、17-30歳以上で接種した人も、53%は防ぐことができています。

17歳以下で接種した人の中で子宮頚部浸潤がんを発症したのは全部で2人、とあります。この先、世界ではどんどん減っていき、子宮頸がんが過去の病となる日が近づいていると思われます・・・。(オーストラリアでは、12・13歳の男女を接種対象とし、その約75%が3回接種を完了している~医療現場の行動経済学より~)

5.なぜ反対運動をする人がいるのか

『じゃあ、なぜ反対運動をする人がいるのか』というのは、保護者の方からの質問です。

私にも、過去に、何かそこ(ワクチンに反対する医師や看護師)に、真実や確証たるものがあるのではないかと思った時期(以下)があるので

その思考回路、そのお気持ちはわかるのですが、これまでの活動期間(13年半)、反対している方々の声をネット等で見たり、また直接投げかけられ(厚労省の予防接種に関する参考人を務めていたことで)、私は、反対運動をする方々には意義を見出せなくなっています。(心配する親御さん、とは別のお話です)
副反応を心配しているからでも、そのお子さん達を助けたいと思っているからでも、まして医学的に問題のあるワクチンだからでもないんだな、というところにたどり着いています。

6.役立つサイト

HPVワクチンについては以下のサイトにも

以下のサイトにも


詳しくあるので、是非見てみてください。専門家の先生方からの情報が集まって&詰まっていますね。

最後に、定期接種を受ける場合は(3回無料)、高校一年生の9月末まで、と私もかなりお話していると思うのですが、今年の高1のお子さんに対してはこのような情報も出ていました。

まだ時間がある方はゆっくり目を通してもらえたらと思いますが、高1のお子さんについては初回が10月でも、間隔の調整は可能とのことです。

7.最後に

目の前の0.003%が心配になる気持ち、10万人のうちの7人に我が子が、と思うことの怖さはわかります。でも同時に、2000年~2003年生まれの女子で、将来、死に至ってしまう4000人、かかってしまうことを考えると1万7000人となる(その後もこのままでは増え続けてしまう)そのリスクと比較することが大切だと考えます。

対象年齢を過ぎてしまった人達へ制度面で費用の補助、キャッチアップが必要だとも思いますが、その前に、心配を抱えたままでいる親御さんが、必要性を認識できるようにお伝えしていきたいと思います。

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