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もじゃもじゃの設置完了!なまこ事業の進捗報告です

令和3年度、海士町未来共創基金で採択された「ナマコとともに生きていく(ナマコ資源増殖支援事業)」が事業提案から約1年経ちました!

今回は事業開始からの経過や、現在のお気持ちを提案者の宮﨑さんにお聞きしました。

事業を行うことにしたきっかけや経緯、想いについては前回のインタビューをご覧ください。


増殖礁と、藻じゃ藻じゃの設置が完了しました

ーー早速ですが、事業の進捗はいかがですか?

宮﨑さん:5年間かけて事業を進めていく予定で、概ね計画通りに進んでいます。今年の3月28日に多井地区の漁港内に増殖礁を設置し、31日に「藻じゃ藻じゃ(人工藻)」を沈めるというところまで完了しました。

増殖礁藻じゃ藻じゃとは一体何なのか、海士町役場で水産を担当されていて、このナマコ育成事業の伴走者でもある、山下さんに教えていただきました!


増殖礁とは稚ナマコの隠れ家

山下さん:稚ナマコ(幼いナマコ)はまだまだ小さいので、魚やカニなどに食べられてしまうことがあります。それを防ぐために、稚ナマコの隠れ家となる場所が必要です。

増殖礁


山下さん:今回ナマコの育成場所に選んだ漁港(多井地区の港)は隠れ家に適したような大きめの石がゴロゴロ転がっている場所が少ないので、人工の増殖礁を設置しました。

魚などの飼料を培養する効果もあり、ナマコ以外の漁業の活性化にもつながります!


山下さん:
ナマコたちが住みやすいように、海藻が生えたりして海の中に馴染んでほしいので、来年ぐらいから稚ナマコたちが住み始めてくれるのではないかと思っています。


”藻じゃ藻じゃ”はナマコの赤ちゃんをキャッチします

山下さん:産卵後2~3週間のナマコの幼生は、海中を漂いながら植物プランクトン食べます。その後、海底に着底し、次第に稚ナマコへ成長します。幼生から育ったナマコを捕まえるために活用したのが人工藻です。その名も、藻じゃ藻じゃ(商品名です笑)!

藻じゃ藻じゃ


山下さん:本来は磯焼けしているような場所に植木するように設置しますが、今回は海中に漂うナマコの赤ちゃんを捕まえるために使うので、置き方は逆で、藻じゃ藻じゃを海にぶら下げます。稚ナマコが付いたら、7月末に漁礁へ稚ナマコを移動させる予定です。

藻じゃ藻じゃをぶら下げている様子


◎今後のスケジュール
2022年7月
・藻じゃ藻じゃを採取し、付いた稚ナマコを増殖礁へ移動
10~12月
・増殖礁の調査(どれくらいナマコが住みついたのか)
2~3年
・外敵に食べられにくい大きさになったナマコを海士町の各地へ放流
・人工藻の設置
・増殖礁の調査
5年後
・漁師さんが採る(増える循環を作るために、全部は採らない)


1000年産業を、次の1000年へつなぐ

ーー採択から現在までを振り返っていかがでしたか?

宮﨑さん:漁獲量の増加という具体的な効果が見込めるまでに5年ほどかかる事業なので、それまでは地道な道のりで、大きな実感はまだありませんね。でも、ナマコの加工作業をしていると、新型コロナウイルスの流行など世の中の流れによって輸出に影響が出たり、漁師さんの数は高齢化により毎年減り続けてたりで、じわじわ大変になってきています。やっぱり人手が足りないので、色んな人に声をかけて手伝ってもらいながらなんとかやっています。


宮﨑さん:
ナマコの資源量は、回遊性の漁獲物に比べて年によって採れる量の変動幅が小さく、漁獲量の制限や養殖などをすれば、すぐになくなってしまうことはなさそうです。それでも、何もしなければ減っていってしまうので、このナマコ育成事業でナマコを増やせるように、しっかり取り組んでいきたいです。

今回のサイクルは藻じゃ藻じゃにどれくらい稚ナマコが付くか、どれくらいのナマコが増殖礁に住み着くのかなど、まだ実験段階ではありますが、いろんな方々の力を借りて、ナマコ漁が冬場の稼ぎを得るための選択肢として残っていくようにしたいです。平安時代、あるいはもっと昔から1000年以上続いてきた産業が、今後、少しでも長続きするようにしたいです。


気にかけてもらえることが嬉しい

ーー周りからの反響などはいかがですか?

宮﨑さん:未来共創基金を使ってナマコ育成事業を始めたことで、この事業やナマコ産業への町内の認知度が高まった実感があります。海士町のみなさんが「どうなったの?」とよく聞いてくれるようになったのがすごく嬉しかったですね。ナマコが増えるのも大事だけど、そうやって周りの人が気にかけてくれているだけで既にやって良かったと思えます。また、ありがたいことにナマコ漁師さんたちも事業を応援してくれています。

この流れにのって、ナマコに関わりたい、ナマコ漁師になりたい、という人が増えてくれたら良いですね。


もっとナマコを増やしたいし、知りたい

ーーこれからどんなことが楽しみですか?

宮﨑さん:このナマコ育成事業でどれくらいナマコの魅力を伝えられるのか、どのくらい目に見える形で効果を上げることができるのか、楽しみですね。また、自分自身もナマコのことについてわからないことがまだまだたくさんあるので、ナマコの色々なことを新たに発見できることも自分の中では楽しみの一つです。

ナマコについて語る宮﨑さん



おわりに

ナマコは砂をきれいにしてくれる海の掃除屋さんと言われていますし、ナマコが増えることによって、海士町の海が一層きれいになるかもしれませんね!宮﨑さん、インタビューへのご協力ありがとうございました!


LINKS

※ナマコの事業紹介は、25~34分の部分です。

▼ 宮﨑さんたちが加工された干しナマコ


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