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ギャグ小説集

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毒を含んだ笑いを書いていきます。
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【ギャグ小説】ナイトメアー・ビフォアアフター・クリスマス

今日はクリスマス。 ゾンビが自分の目玉を取り出しかじって中から出てくる汁を豆腐にかけ、それを食べながらニタニタ笑ってこっちに近付いてくる。 イノシシが逆立ちして「ホラーモンスターはワガハイのモノジャ!!」と言って、隣に居るチビイノシシが「ソウダ!ソウダ!」と言っている。 僕はこの怖い森に迷い込み、さっきから次々現れてくるモンスターに怯えている。 「ドスコイ!ドスコイ!」力士が自分のマワシを舐めながら叫んでいる。 「サラダ油!サラダ油!」サラダ油がヘッドバンキングしながら叫んで

【ギャグ小説】タイムスリップして土下座しかしない侍

なんだ、ここは!? 見たことの無い街並み、景色。 そして人々が着ている物、髪型、まるで拙者や拙者の周りに居た人々と違うではないか。 先程、団子屋でお茶を飲んでいた所、全身金色の格好をしたまるで見たことの無い人物に、「このベルトを腰に装着して、『2022年に行きたい』と言え」と言われ、拙者は訳の分からぬままに、その者に渡された帯のような物を腰に装着しその発言をしたら、この、不可解な場所に辿り着いてしまった訳だ。 人々は拙者に少し目を向けるも、そのまま通り過ぎる。 ときおり、

【ギャグ小説】心の叫びよ、面白くあれ

その涙の粒は、目から下に垂れる事なく、上に向かって登っていった。何故だかわからない。 うおんうおんと泣いて出てくる涙は全て上へと向い、前髪の付け根でぐちゃぐちゃに溜まる。 俺の心の声は、この現象に向けて、こう言った。 「なんでだよ!!!!!!」 俺には、心の声の才能が無かった。 ありきたりというか、なんというか。たった今こうして聞こえている理性の声は、まだ、普通に考えられるのだが、感情の叫びのような、心の声は、決まってありきたりでつまらない。 心の声よ、面白くあってくれ。

【ギャグ小説】太鼓の達人の顔面が水槽に浮かんでいる

何故だ。 何故、金魚を泳がせている水槽に、太鼓の達人で叩く時に流れてくる赤い顔面が一つ浮かんでいるんだ。 帰宅してしばらくは気付かなかった。 ただ、餌をやろうと水槽を眺めた時に、その、太鼓の達人の赤い顔面は、あのニッコリ笑顔で、ぷかぷかと浮いていた。球体で。 そうか、あれは、平面じゃなくて、球体だったのか。 そんな事はどうだっていい。 俺は、とりあえず太鼓の達人の赤い顔面を拾おうと、手を水の中に入れて掴んだ。だが、電流が流れた。半分気を失いかけた。 拾えずにまだ顔は水の中だが

【ギャグ小説】リムジン大爆発音頭

私の持っているリムジンには目玉が大量に付いている。 気持ちの悪いデザイナーによる趣向で、目玉は大量に付けられた。そのデザイナーは今頃謎の罪で死刑になっているらしい。犯罪名は「謎」。意味がわらからないが、そのデザイナーがそうなったと言われれば、何か納得してしまう、そう思わせる胡散臭さがあった。 また、そのデザイナーはトイレに入ってすぐに、水しか溜まっていない便器の写メを撮り、毎日記録していると噂されていた。 他にも噂はまだある。怪獣の事を「ぱいじゅう」と呼ぶらしい。気持ち悪い。