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インドには行くべき時期がある。その時期はインドが決める

タイトルは三島由紀夫の言葉より引用です。ただ、今回の旅を通して、この言葉のとおりなのかもしれない、と思いました。

背景

少し前から、インドに行ってみたいという思いは僕の中にありました。それこそ三島由紀夫の『豊穣の海』の第3巻『暁の寺』を読んだり、以前のトマト祭りでたくさんのインド人を見たり、知人からインド旅行に行った話を聞いたり、少しずつですが僕とインドとの間に接点ができ始めていました。

そんなある日、大学時代からつながりがある知人から「インドを訪問するツアーに参加しないか」というお誘いを受けたのです。
目的地は、インドの南部に位置する技術と文化の中心地、バンガロール。
この都市は、「インドのシリコンバレー」とも呼ばれ、革新的なIT産業と伝統的な文化が融合しています。

実は、僕が海外に出るきっかけになったのは大学時代に中国の「ハードウェアのシリコンバレー」と言われる深圳に行って刺激を受けたのがきっかけでもあります。
場所は違いますが、新しい場所を探索することへの期待に胸が膨らみ、少し無理をしてでも招待を受けることにしました。

日本からバンガロールへ

お誘いに返事をしたときにはツアーから1か月前だったため、慌てて航空券を手配しました。
しかし、1ヶ月前だと直行便や短時間でいける便は値段が上がってしまっていたため、僕は乗り継ぎをたくさんするLCCで手配します。

成田→ホーチミン→ティルチラパッリ→バンガロールというルートで、途中滞在や宿泊も挟んで27時間程度かかりました。

インドへ行くには事前にVISAの申請も必要です。入国する空港にもよりますが、e-visaが使えます。
ちなみに、入国する空港の選択欄がありますが、今回僕は別のところから入りましたが、すんなり入れました。受理には最大4日程度かかるので、それを済ませてプリントアウトをして持っていきます。

また、ホテルに関してはBooking.comやAirbnbを使用することができます。
ただし、Booking.com経由での予約は、確定に前払金が必要なことがあります。
僕はこの前払金がクレジットカード払いできるものだと思っていたのですが、インドではUPIという送金システムが普及しています。

国策で通貨のルピーの国外持ち出しが禁止されていることもあり、日本からの送金ができません。非常に困りましたが、Whats Appで宿側と交渉したりして、最終的にはなんとかなりました。

ティルチラパッリ

インドのティルチラパリに到着したのは現地時間の23:30ごろでした。
空港から徒歩5分の予約をした宿とは事前にWhats Appで連絡先を交換しており「歩いても危険はない」ということを聞いていたので安心していたのですが、歩きはじめてびっくりしました。

なんと空港の周りがとても田舎で、真っ暗な道ばかりです。5分とは言え暗闇に包まれた道は、かなりの不安を感じさせました。

舗装されてない道。深夜なので人通りもほぼゼロです。

海外なので、突然襲われてたりしたら一巻の終わりだという覚悟をして神経を尖らせていくと、突如後ろから物音がします。
ヒヤッとして振り向くとなんと牛が歩いています。心臓が止まるかと思いました。

誰もいないと思っていたら牛がいました。

インドの宗教であるヒンズー教では牛は聖獣として大事にされていることを思い出しましたが、こうして現実で見ると本当にびっくりします。
さらにはたくさんの犬もそこらじゅうに寝ていて、もしも狂犬病持ちの犬にの襲われたら人生の終わりだと思うと緊張感が走ります。

そうしてホテルの場所に着いたのですが、入り口がわかりません。さらには、Booking.comの住所とWhats Appで送られてきた住所がズレています。
さきほどの道を戻る勇気もなければ、この薄暗いところにいるのも怖く、絶望仕掛けていたところで、「Hey!」と声をかけられます。

そちらを向くと、なんと警察らしき2人組が呼びかけていました。「この人たちが悪者だったらもうどうしようもないな、、」と思いながらも事情を話すと、その人が宿に連絡を取ったり、一緒に探してくれて無事に到着できました。

翌日のフライトは7:50発だったのですが一刻も早くこの場所を離れて安心したい、何ならもうすでに帰りたいと思い一睡もできずにその夜は過ごしました。


朝になると平穏な街。でも、牛はやっぱりびっくり。

バンガロール

そこから移動したバンガロールは、同じインドで後も違うかというほどに都市でした。空港にはUberのステーションがあり、スマホで簡単に呼ぶことができます。これでホテルまで到着し、なんとか安心です。

Uberステーションがあり、Uberをガンガン使えます。
インドではトゥクトゥクがたくさん。こちらもUberで呼べます。

この後に初めてインドでカレーを食べました。お腹を壊さないかビクビクでしたが、美味しくいただきました。
ご飯とナンが両方ある炭水化物の大きさにびっくりしたほか、カレーや具材がわんこそば方式で無制限に出てくるのでお腹がいっぱいになりました。

カレーと具がおかわり無料です。なくなると注ぎに来てくれます。

この日はその後にツアー仲間と合流し、ラマラヤ大学という大学で学生や教員、あるいは地元の商工会の会員との交流を行いました。
インドでの製造業、沢山の人を雇った巨大な工場の生産ラインの話や、コーヒー栽培、生鮮野菜のオーガニック農業および販売など、インドのビジネスについての話は非常に興味深く、新たな知識を得ることができました。
僕の中ではインドは日本に比べて産業はまだ劣っている偏見が会ったのですが、そんなことはなく、むしろ今急成長中の国としての産業の勢いを感じました。

インドの色々なビジネスを聞けてよかったです。

マイソール

翌日には、バンガロールの近くにあるマイソールという街に行きました。
道中は広大な草原が広がっていて、インド、ユーラシアの大きさを感じます。

マイソールとは日本で言うところの京都に近く、インドの歴史と文化が色濃く残る観光地です。

その中でもマハラジャの宮殿であった「マイソール・パレス」は特に有名です。宮殿の壮大さと美しさ、さらにはマハラジャが持っていた権力に圧倒されました。

マハラジャの権力ってすごそう。インド史を勉強したくなりました。
皮は本物だそう。
豪華ではありますが、西洋建築とも、日本建築とも違うものを感じました。

観光客はとしてたくさんのインド人も訪れており、その人口はやっぱりすごいなと感心していました。
歩いていると「Are you Japanese?」と声をかけられることが何度もあり、その度に「アニメが好きだよ!」と言われ、日本のアニメの強さを感じるとともに、そういった誇れるコンテンツが自国にあることが嬉しくなりました。

バンガロール

バンガロール市内では、生花や野菜の市場を訪れ、地元の人々の生活の一端に触れました。
アジアで最大の青果市場とのことです。清潔とは言えない環境で、たくさんの農民たちが自分で栽培した植物を売っており、またそれをたくさんの人が買いにくる活気に圧倒されました。

活気がある市場。仏花のように供えるためにお花を買っていくそうです。

その後には、ヒンズー教の寺院を訪れます。シヴァとクリシュナの神殿を巡ることで、インドの宗教的多様性と信仰の深さを肌で感じることができました。沢山の人が実際に祈りに訪れている様子を見て、バチカン市国で教会を見たときとは別の宗教や信仰の力を感じました。

シヴァ神

僕はパワースポットを感じたり霊感がある方ではないのですが、この寺院では体感としてピリッとした不思議な空気感を感じました。
アーユルヴェーダやヨガなどがインドでは盛んなことからも、もしかしたらインドにはそういった何かがあるのかもしれないな、と思いました。

PES大学訪問

最終日には、初日の大学訪問で仲良くなった同世代のインド人の友人に招かれ、PES大学という大学のCIEというインキュベーションセンターに招待してもらいました。

なんとそこでは教授まで出迎えてくれ、自由履修枠として、レポートやテストではなくて、実際にプロダクトやアイデアをコースの中で作り、最終成果は実際のVCの前でピッチすることで単位がもらえる。さらには、もしも希望があればそのまま起業ができるというユニークなカリキュラムの説明をうけ、感動しました。

スタートアップの考え方が教科書的に貼ってありました

さらに、実際に起業している同世代の起業家やエンジニアたちからサービスうの説明を受けたり、逆に僕も今関わっているプロダクトや日本の状況について説明をしたりと、熱い時間を過ごしました。

サービスを紹介しあったり
頭の中にある構想を説明してもらったりしました

この時間は、僕にとってとてもよい刺激になりました。彼らの情熱やプロダクト開発への取り組みに感銘を受けました。異なる文化背景を持つ私たちが、共通の目標やビジョンで結ばれる瞬間は、非常に貴重でした。

帰国

帰りは、行きと同じように24時間程度かけての長距離移動です。

ケンペゴウダ空港、とても豪華でした

バンガロールを深夜に出発し、バンガロール→クアラルンプール→ホーチミン→羽田というルートで帰国します。

感想

この滞在で、僕のインドに対しての味方は180度変わりました。

「インドは好きな人と嫌いな人できっぱり別れる」という話を出国の前に聞いていたので、自分はどちらだろうかと思って楽しみで行ったのですが、僕はとてもインドが好きになりました。

もちろん、ティルチラパッリのように、インドも場所によって全く異なる表情を見せてくれるのかもしれません。そして、行く場所によってはインドも嫌いになっていたかもしれません。

しかし、バンガロールの街はとても活気があり、”インドらしさ”を感じる体験をくれました。

いつ、インドのどこに行くのか。そして、そのときに自分は何をしているのか。それによってインドの体験は全く変わるのだと思います。

そしてその時のインドの体験は、まさにインドが決めるのだ、と不思議と腹落ちしてしまいました。

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