ネオロマゲー初見勢の遙かなる時空の中で6 感想 2週目追加要素/政虎ED/九段ED/村雨ED


ここまでのあらすじ

 以下の記事を書きました。



こっから2週目です~!

周回プレイを開始すると、カードが最初からそれまでの最高レベル? を引き継いでスタートしてくれるの、めちゃめちゃ親切仕様ですね! 大変ありがたい。

2週目の追加要素

 1週目だとカットされたシーンが追加されるの、さすが周回プレイ前提のゲームとしてすごい気が利いてるなあ、と思った。

 追加シーンだと、友部くんのシーンが一番印象に残ってます。友部くんめちゃめちゃ良い人だな!? 有馬さんルートを遊んだ時から友部くんのことすごく好きだったのですが、総長閣下から千代と梓をかばうシーンを見て、あー!! なるほどな、となりました。 何を聞いた?って聞かれて「アダバナとカグツチとか……」って言ってしまうあたり、やっぱりあんまり機転が利かない方なんだろうけど、下手を打ったと判断した瞬間、梓と九段は巻き込まないように立ち回るの、善性の塊ってかんじで大変良い……。

 有馬ルートだと、無事体調が戻ったことが書かれていたけど、他の人のルートだとどうなったんでしょうね。他のルートでも元気になってればいいなあ。

 あと、千代ちゃんすごいいい子だな~と思ってたので、夏祭りのシーンの選択肢に千代ちゃんが追加されてたのすごく嬉しかったです。あれを選ぶと友情EDに進むのかな? 他の攻略キャラをクリアしたら選択します。神子神子コンビかわいいなあ。


政虎ED

 粗暴な感じのセクハラ俺様キャラちょっと苦手なので、政虎どうかな~って思っていたのですが、さすがネオロマのシナリオ力って感じでしたね……。どのキャラクターもそうなんですけど、人物の掘り下げが繊細で説得力がある。共通ルート序盤の時点だとほんとうに「私このキャラに耐えれるかな…?」という感じだったのですが、イベント03の「世間知らず」のあたりから虎のことを好きになりました。一本通った価値観を持っているキャラクターというか、梓の時世にそぐ合わないような正義感もきっちり制してくれるのがすごく良いですよね。

 卵焼き関連のエピソードもすっっごい可愛かったんですけど、私が一番好きなのは父親がらみのエピソードです。ラストのお医者さんとのやりとり、「お互いに出会うことが出来て良かった」っていう選択肢、素敵ですよね。政虎は他のキャラと比較しても、梓の影響を受けて価値観が変わったキャラクターだと思うのですが、安易にやるとキャラクターが薄っぺらくなってしまいがちな要素だと思うのですが、そうならない描写の丁寧さがすごい。さすが。

 夏祭りの「真実を見つけたこと自体が孝行」って選択肢も良いですよね。このあたりの「正しさへの誠実さ」というか、遙かなる時空の中で6の根底を流れる価値観、すごく美しいですよね……。有馬ルートの時と似たような感想になってしまうんですが……。

 あと、ラストのモブ看護師さんのこの台詞がすごく好きでした。

えええ……すごくいい子なのに、なんで、あんな柄の悪そうな男と……

 第三者視点からCPを見るシチュエーションすごくツボなのですが、このシーン良さが詰まってません!? なんだろう、乙女ゲームって攻略対象の社会的スペックが、プレイヤーキャラのよりも高いことが多いような気がするんですけど、そうじゃないんですよね。誰が見ても「分かりやすく良い子」な梓と、一見「乱暴者」のような政虎。いい組み合わせだなあ。どうやって現代で生活するんだろう、って心配してたけど、機械工事士ってフォローが入ったの面白かったです。龍神手厚い。

 政虎ルートってすごい、「政虎が梓に変えられただけではなく、梓も政虎に変えられた」って感じがして好きです。政虎ルートの梓って他のルートよりも明確に欠点を描写されてますよね。財布を落とした酔っ払いから、女学生を庇ったときもそうだったし、最初のうち、政虎のことを苦手がっていたのも、彼の表面しか見ることが出来ていなかった。けど、政虎の内心を知ることが出来るにつれ、他人を第一印象で判断してはいけない、と思うようになった。そうやって変わることの出来る梓だからこそ、政虎も「俺の女にしたい」って思うようになった。うーん、丁寧なシナリオだなあ。


 スチルは01番と03番が好きでした! 虎って中身はまったくそんなこと無いんですけど、見た目はちょっと大型犬っぽい感じがしませんか?あくびをしているところが可愛くて好きです。


九段ED

 九段さんも共通ルートではここからどう恋愛に発展していくんだろう……? って感じだったのですが、すごい素敵な話でしたね。ていうか、九段さんめちゃめちゃ可愛い人ですね!? ルードハーネくんとは違う方向ですごいかわいい。なんかこう、乙女ゲームの攻略対象にこういうことを言うのもちょっとあれかもしれないんですけど、梓ちゃんよりも九段さんの方がヒロインっぽいまである。黒幕に攫われて記憶を操作されるあたりとか特に。黒幕の思惑にちょうど良かったから、っていうのはあるけど、精鋭分隊を編成して神子召喚の儀を取り付けるあたり、結構実務的な仕事は得意そうなのに……。そのへんのギャップがすごい……。
 九段さんの前に攻略したのが政虎だったから、っていうのもあるんですけど、九段さんルートの梓ちゃんすごい男前というかヒーロー力高めでかっこよかったなあ。CV斎賀みつきさんだし、地の文の台詞も声付きの台詞を聞きたかった……。ぜったいにすごいカッコいいのに……。

 シナリオだともうダントツで、ドレスを着た梓ちゃんに九段さんが折り紙の花束を渡すシーンが好きです。まずもう好きな女の子を褒めるのに言葉が足りないって素直に言えちゃうだけですこぶる可愛いのに、最終的に折り紙で作った花束で表現しようとするあたりが、なんかもう。しかも褒めるために折り紙の花を選ぶっていうチョイスも、それだけだとちょっとうん……? って感じだけど、梓ちゃんから褒められたもので梓ちゃんの美しさを表現したいって考え方が素敵すぎませんか? あと決めるだけ、ドレスを着た女の子を、褒めるためとはいえ1時間待たせるな!? 梓ちゃんは優しいから待ってくれてたけど、他の人だとそうはいかないぞ!? いやもうほんとこのイベント、どこを切り取っても九段さんの魅力がぎゅうぎゅうに詰まっててすごい。 萌えという概念の結晶みたいなイベントだった……。

 エンディングもすごい良いですよね。

 未来に迷える者を手助けできるのは嬉しいことだ。
 明るい未来を目指して邁進する人の様を見ると胸がときめく。

 すごく素敵な台詞だなあ。九段さんの人の良さが詰まった台詞だ……。創作だけではなく三次元もそうなんですけど、本人の能力と性格と立場がぜんぶ良い報告に噛み合ってる人って見てて気持ちが良いですよね。エンディングの九段さんを見てると、二人の将来は明るくて健やかなものになるんだろうなあ、ってずっと側で見守っていたいような気持になりました。ここから世界平和が生まれそう。

 あと、千代ちゃん。千代ちゃんのことすごく好きなんですけど、千代ちゃん=梓のおばあちゃんは普通にぜんぜん気が付かなかったのでびっくりしました。いや、まじでおばあちゃんから手紙を渡されるまで全然気が付かなかった……。他ルートだと、ハッピーエンドを迎えても(でも千代ちゃんは……)(九段さんがそこまで心配してないってことは大丈夫なんだろう、けど……)と心配していたので、彼女も思い人と幸せな未来を手に入れることが出来たのだと分かってすごい嬉しかったです。共通ルートとか読み直したら色々伏線が貼ってあるんだろうなあ。
 それにしても千代ちゃんみたいな素敵な人に育てられたのかと思うと、梓ちゃんもあんなしっかりした子に育つよなあ、という納得感がすごい。

 スチルだと04番がすごく好きです! 女の子とお菓子と優男っていう取り合わせが良すぎる……。折り紙とかお花とか九段さんのスチル可愛いモチーフが多くてどれも華やかですよね。あと、九段さん、勝手に身長170そこそこくらいかな? と思ってたけど、185㎝もあるのめちゃめちゃびっくりしました。有馬さんより10㎝も高いの……? 印象とのギャップが大きすぎる……。


秋兵ED

 秋兵さんは共通ルートの時から梓ちゃんに優しかったので、この調子で進んでいくんだろうなあ……ってぼんやり思っていたのですが、父親との関係性がフィーチャーされてびっくりしました。別の時代の出身同志だから、引っ付くとなると絶対にどっちかが家族と離れ離れになってしまうからな~って勝手に思い込んでたんですね。
 そのあたりの問題はどうするんだろうなあって読みながら心配していたんですが、がっつり掘り下げられて嬉しかったです。ネオロマンスのシナリオは本当に期待を裏切らないなあ。残酷だとか酷いことをしているとか、そういうことを自覚しながら感情を抑えられなくなる男、大好物です。いいぞもっとやれ。

 恋愛イベントだと、「闇の中の恋」の告白の回答を迫るシーンが一番印象に残ってます。遙か6って色恋沙汰に腰重ためな男が多い気がしてるんですが、秋兵さん、これは行けるかな? と思った瞬間にグイグイくる感じ強くないですか!? 政虎と同じくらい肉食系だ……。そのくせちょっと梓ちゃんが躊躇う様子を見せたらすっと身を引こうとする感じとか、なんかこう、ちょっと自信が無さそうで卑怯な感じがするというか、秋兵さん一々性癖に触れてくる感じがすごい……。

 話がちょっと逸れるし、完璧に妄想なんですが、総長の視界に秋兵さんがぜんぜん入っていないの、邪神のことはもちろん、秋兵さんが非の打ちどころのない息子だったからなのかなあ、って思ってすごい悲しかったです……。秋兵さん、軍人としては言うまでもなく優秀だし、年下の平民を上官に持っても上手く付き合えるくらい度量は広いし、総長の息子という立場を利用することはあるけど、親に迷惑をかけるようなことはしないし、徹頭徹尾、手のかからない息子なんですよね。叱咤する必要もないくらい優秀だったから、距離を空けても何の問題もなくて、気が付かないうちに深刻になってしまったというか……。ままならない……。
 まあ根本的な価値観が違いそうだから、邪神のことがなくても円滑には進まない親子だったんだろうなあ、という気はします。というか総長、死んでしまった妻のことをただひたすら「可哀想な女だった」と思っていそうなところがお辛いですよね……。

 最終章の九段さんの台詞がほんとうにめちゃめちゃ好きでした。

 いいも悪いもあるまい
 ぬしの父なのだ
 それだけで救う価値はある

 九段さんルートの時も思ったけど、九段さん、めちゃめちゃ優しい。そうだよなあ、肉親のことを心配したり、助けたいと思うことに、理由なんて必要ないよなあ。秋兵さんって自罰的というか、罪を犯した親族に思いを寄せること自体に罪悪感を覚えてしまいそうだし、この言葉をかけて貰えたことは救いになったんだろうなあ……。

 あと、こはくの台詞もすごく良いですよね。

「ざまあ見ろ!」とは思えなかったんですよね。
(中略)
 逃げるのはずるいですよね
 生きてちゃんと謝って欲しいなって思いました
 みんなの前でけじめをつけてすいませんでした~って

 す、すごい、誰も加害者の肉親に理不尽な恨みをぶつけたりしない……。いや、政虎ルートの時も思ったんですけど、遙か6の男たち大体みんなメンタルが健全で、問題や誤解がとければ、恨みの感情とかを引きずったりしないの素晴らしいですよね。キャラクターが全員、人間が出来てる。読んでてすごい心地がいい。現実の人間関係もこのくらいサッパリしてればいいのになあ。
 あと秋兵とこはくが話してるシーン、すごい可愛かったのでもっと見たいというか、八葉同士が梓ちゃんの話をしてるところももっと見たいというか、そういうのは幻燈ロンドでやってくれるのかな? 早くプレイしないと。

 スチルはラストの抱きしめ合うスチルが一番好きでした!  というか苗字!! 片霧に代わってる!! こいつしれっと結婚してる!! やっぱり秋兵さんだけちょっと手が早くないですか!? いや秋兵EDのテーマは家族だからっていうのはもちろんあると思うんですが、他ルートではそこまで進んで無かったような……。いや、ダリウスルートは結婚式のシーンで終わったのか。
 秋梓もすごく幸せな家庭を築きそうというか、梓ちゃんに似た娘が生まれたけどその子の初恋が有馬さんでみたいなそういうドタバタしてる感じとかちょっと見たいですね。家族みんなで仲良く過ごして欲しいなあ。


村雨ED

 初手でダリウスを攻略して「なんか初手でトゥルーっぽいルートを攻略してしまったな……?」となっていたのですが、村雨ルートもすごくトゥルーっぽい雰囲気のシナリオでしたね。
 いやー、ほんとうに単純にシナリオだけで言うと今までで一番好みだったかもしれない。なんだろう、根が小市民なので大衆に好意的なお話がすごく好きなんですよね……。英雄に救われる世界だってもちろん美しいのですが、ちっぽけな人間たちが力を尽くすことで立ち直っていく世界、すごく尊い。帝都新聞の記者3人組のこともずっと気にかかっていたので、活躍するシーンがあって嬉しかったです。わがままを言うならハイカラ屋のマスターと村雨さんの出会いとかも見てみたかったな。

 村雨さんが現代の人なのかな? っていうのは、2週目の共通シナリオの部分の「電車は恋路をゆく」で、バスみたいなもんだ~っていう台詞があったので、あっ(察し)ってなりました。漫画版遙かに触れているから、神子以外にも異世界にトリップしている人がいることもあるって知ってたし。
 すごいな~って思うのが、村雨さん以外の攻略キャラが梓のことを子供だから恋愛対象から外す、っていうシーンが、ほとんど無かったことです。年少者への恋愛について思い悩むのって、けっこう美味しい描写だと思うのですが、遙か6では村雨ルート以外ではほとんど書かれないんですよね。たぶんあの世界では16歳で結婚するのって、極端に早い訳ではないから。16歳の梓ちゃんを未成年として扱うのは、彼女と同じ世界から来た村雨さんだけ。
 なんかこう、目先の美味しいシチュエーションよりも、世界観を書きに行ってる感じがして硬派だな~と思いました。まあ、同じネタを複数回やってもしょうがないっていうのもあるかもしれないけど。でもその辺りの被りを回避するギミックとして考えてもよく出来てますよね。すごい。

 恋愛イベントだと「助手」の口述筆記を手伝うシーンが一番好きでした。村雨さんの書く小説、作中だと断片的にしか出てこないんですけど、それでもすごく質感のある名文の気配がばしばし伝わってきて、すごく読みたい。というか、ネオロマの激つよテキストで表現される小説家が、名作家にならない訳がないんですよね。いいなー、私もあの世界にトリップして小説「梓」を読みたいなあ。グッズ化の予定とかないんだろうか……。
 村雨ルートの梓ちゃんは他のルートに比べるとちょっと積極的でそういう所もすごく可愛いんですが、この時点の梓ちゃんはまだ恋をしていなくって、それでも純粋に村雨さんの小説に惹きつけられてる感じがすごく魅力的でした。というか、作家は続きが気になるって言われて嬉しくないはずがないですよね。19も年が離れてても魅力的に感じはじめてしまうよなあ、それは。

 可愛いといえば、最終戦闘後の村雨さん、あんなに器用に話すことが出来る人なのに、急に言葉拙くなるの、めちゃめちゃ可愛くないですか?

 「特に、恋愛なんて久々だから
  どうも、臆しちまう」
 「……恋愛」
 「そう」
 「誰が、誰にですか?」
 「…………」
 「ちゃんと聞きたいです。村雨さん」

 お前、あんなに美しい物語を紡ぐことが出来るくせに! 演説のシーンとかで散々、口が回ることを強調しておいて、最後の最後にこのシーンを持ってくるのズルくないですか? 高い言語能力が追い付かなくなるくらい、感情が募りに募っていることを表現するのがうますぎる。いや~どのルートを読んでも「ネオロマは日本語が上手だなあ」と感動していたのですが、村雨ルートは特に際立ってる感じでしたね……。

 スチルは梓ちゃんは映ってないけど、08番が一番好きでした。いつも割と余裕と包容力に溢れてる感じなのに、帽子を取ってまで必死で訴えかけてる感じが、すごくぐっと来ました。帝都の未来は明るい!

 

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