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「Tokyo 7th シスターズ -僕らは⻘空になる-」は99%の初見さん向けと1%の思い出ボムでできている

ネタバレありっちゃありだけどナナシス全然知らんなら大丈夫です。


「Tokyo 7th シスターズ -僕らは⻘空になる-」を見てきました。

いきなり私自身の話ですが、私は3年前に支配人デビューして、それからデイリーばかりこなしてエピソードもEP1から全然閲覧していなかったのですが、劇場版公開ということで、一念発起して一気見してそのまま劇場に足を運びました。

視聴前に魔剤を1本、デカめのコーヒーを3杯飲んだせいで完全にカフェイン酔いしてごちうさのシャロちゃんになった私は15分前に見た『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』の余韻も冷めやまぬうちに手足の痺れ、浮遊感、利尿作用と戦いながらも81分間の本作に向き合いました。ボロ泣きしました。


「Tokyo 7th シスターズ」について

―それは彼女たち(シスターズ)の絆

時に西暦2034年 アイドルが居なくなった時代に 再び本物のアイドルが誕生する

2034年に突如引退した 伝説の国民的アイドル「セブンスシスターズ」。彼女たちが姿を消してから、誰もがこう感じていた。
―アイドルはもう終わった・・・・・・

それから2年。一人の若者が 栄華を極める国指定国際娯楽都市区画”Tokyo-7th”(トーキョーセブンス)で 次世代アイドル劇場型スタジオ『777(スリーセブン)』(※通称:ナナスタ)の二代目支配人に任命される。

とはいえ街は変わらず 「アイドルはもう時代遅れ」という流れ・・・・・・ ナナスタも例に漏れず、閑古鳥さえも溜め息をつくという有り様。

そんなある日、何やらあやしげな美人マネージャーがあなたのもとに現れます。
「アイドルが終わったなら、新しいアイドルを作ればいいんだよ!強い絆で結ばれた本物の「シスターズ」をね!!」

まもなく、あなたとまだ見ぬ未来のアイドル、「ナナスタシスターズ」の物語の幕が上がります。

「Tokyo 7th シスターズ」(以下、ナナシス)は「アイドルとはなにか」を徹底的に再考したコンテンツです。「Tokyo 7th シスターズ -僕らは⻘空になる-」(以下、劇場版ナナシス)で初めてのゲーム内アニメ以外の形でアニメ化を果たした本作は、支配人たち7年間の想いを受け継いだ作品であり、実際にスクリーン上でナナスタシスターズ達が歌って、踊って、動いているだけで涙を誘うことは想像に難くありませんでした。


「Tokyo 7th シスターズ -僕らは⻘空になる-」


──ねぇ、君はなにがしたい?


“アイドル氷河期”と呼ばれる西暦2034年、国際娯楽指定都市Tokyo-7thトーキョーセブンス。
多くのアイドルやスタジオが“時代遅れ”となり、姿を消していくなか、次世代アイドル劇場型スタジオ『777スリーセブン』(通称・ナナスタ)では、デビューしたばかりのアイドル、「777☆SISTERSスリーセブンシスターズ」が今日も汗を流していた。

そんなある日、原因不明の機材トラブルが起こり、彼女たちのライブが中止の危機に陥ってしまう。出張中の支配人にかわり、その危機を救ったのは、過去一世を風靡した巨大な箱スタ『HAKKAKU』の支配人「八角コウゾウ」だった。

後日、彼の元を訪ねたハルたちは、滑川なめかわコンツェルンからの買収行為により、八角スタジオが閉館の危機に曝されている事を知る。
ライブを行い、客席を満員にすることができれば、資金援助が継続されると聞いたハルたち「777☆SISTERS」スリーセブンシスターズは、数々のアイドル、そしてファンとの思い出が詰まった『HAKKAKU』を救うために立ちあがることを決意する。しかし、そんな彼女たちの前に、思わぬ壁が立ちふさがって……。

「誰かの背中を押すために」、12人の少女たちシスターズが出した答えとは──


時間軸としてはゲームアプリのナナシスにおけるEP1が終わったあたり、ハルたちが「777☆SISTERS」として活動を本格始動したあたりの、初期の活動風景が描かれていました。

ゲームアプリのストーリーのアニメ化ではなく、上記引用のように、完全オリジナルのストーリーで制作された本作は、「777☆SISTERS」も結成してまもないということもあって

7年間、ナナシスを支えてきた支配人に対して贈る映画というよりもは、ナナスタシスターズたちの活動を通して、「ナナシス」を知ってもらう、初見の人たちに「これがナナシスだよ」と自己紹介するという趣を強く感じました。


実際、劇場版ナナシスでは、ナナシスのもつ「容赦のなさ」や「狂気」といった描写が少なく、全体的にストーリー展開も含めて、マイルドに仕上がっていたなという印象を受けます。

アイドル氷河期となった世界で新しくアイドルを興そうとするナナスタに対して、世間の反応やアイドル達の心情にその「容赦の無さ」が描写されます。


ナナシスの“狂気“

また、予告を見た段階から薄々感じてはいましたが、ナナスタシスターズたちが高いクオリティのキャラデザで再現されていたものの、ライブシーンなど、アイドルアニメの肝といえる部分の作画や演出は、他コンテンツと比べるとどうしても見劣りすると言わざるを得ません。

正直なところを言うと、ナナシスのキャラや世界観、そういった「知識として得られる部分」はわかりやすく丁寧に描かれているものの、ナナシスをナナシスたらしめる「魅力」や「個性」といった部分は描写しきれておらず、また作画クオリティも低くはないものの決して高いとは言えず

初見さんが本作からナナシスに触れて、果たしてどれだけの人がナナシスに興味をもつだろう

と、考えてしまいました。


それじゃあ本作に点数をつけると何点だったのかというと・・・




まぁ100点満点ですよね




時間にしたら1分にも満たなかったでしょうか。本編81分の本作で、たった1%程度しか占めていないあるシーン。

たった1つそのシーンがあることでこの映画は100点満点です


それは99%の初見に向けた映像の中で、1%の、全ての支配人に向けた思い出ボムでした。

ここで思い出ボムの内容は記しません。しかしそれは七咲ニコルが、そして六咲コニーが一貫して貫き通しているある思想、ナナシスの「アイドルを再定義する」というコンテンツの軸となる部分の根幹の思想。



もうそれからはナイアガラの泣きです。

劇場版ナナシスの思い出ボムは血中のカフェインすらも破壊し、利尿作用によって生成された尿は全て涙となって体外に排出されました。

カフェインの代わりに、私の目から摂取された「Tokyo 7th シスターズ」が心臓を経由し身体全身に巡り渡ります。

身体中で「セブンスシスターズ」が「Star Glitter」を歌い、各末梢神経では「777☆SISTERS」が「COCORO MAGICAL」を踊っています。

そして眼前からは、「Departures -あしたの歌-」が!

いつかは風になるよ
背負っている勲章(にもつ)
捨てたっていい
最期に何を残すかも
君が決めることさ
掴みたい
あの雲が知らない明日を
全部叶えてみせるから
次の空へ
輝くこの夢を翼に変えて

青く光る未知の空へ
地図を広げた

ただ空に浮かんでいるだけの雲、行く当てもなく、主張もないそんな雲が知らない明日を、可能性をくれる、”未知”に対して”地図”をくれる

そんな青空に、ナナスタシスターズはなる。

僕らは⻘空になる



劇場版ナナシスは

ナナシスがアニメ化するにあたって圧倒的に正しい選択をしました。





劇場版ナナシスは実際、初見向けという側面を強く持ちます。

しかし、ナナシスに脈々と流れている、受け継がれている根っこの部分を決して忘れていません。


──ねぇ、君はなにがしたい?



その言葉の背景にあるように、誰かの背中を押すためにアイドルを頑張るナナスタシスターズの姿に、初見、支配人問わず勇気づけられることだけは、この映画の確かなことの1つだろう。



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