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No.64 スファレライト

No.64スファレライト

少しインクルージョンはあるが見事なスファレライトのルースだ。太陽のような力強さがありつつ艶やかな怪しい魅力もある。
スファレライトは屈折率が2.4とダイアモンド並みに高く、その上分散光はダイアモンドやスフェーンを凌ぐ強さがある。そのため僅かな光でも豪華絢爛な輝きを味わうことができるのだ。
しかし、硬度は3.5〜4とかなり低くへき開も強い。そのためデニム地でこすると削れてしまうくらい脆い。その脆さ故にアマチュアの宝石加工の協議会では、ファセットカットのスファレライトが最高難度の課題として選ばれているそうだ。
だがしかし、スファレライトは美しい。私が行きつけにしている宝石店の社長がこぼしていたのだが、スファレライトをアクセサリーにしたいと頼む客もいるそうだ。気持ちはわかるが先程も言ったとおりスファレライトは脆い。爪を立てれば簡単に傷がつくぐらい脆いのだ。はっきり言ってアクセサリーには向かない。
多くの人は宝石を手にするとアクセサリーとして身につけたいと考えるようだが、世の中にはスファレライトのような観賞用にカットされる宝石もある。私は現在ルースも原石も鑑賞用としてコレクションしており、今の所身につけるようなことはしてないのだが、これを他の人に話すとたいてい「身につけないの?」と言われる。私個人としては石を眺める楽しみも身につける楽しみと同じぐらいに良きものと思っているし、そもそも私はアクセサリーを身につけるのが少々苦手なのだ。何より石の美しさを静かに鑑賞する時間が好きでたまらない。
個人的にはカットしたルースをコレクションし、眺めて愛でるという趣味はもっと広まっても良い気がする。一口に宝石と言っても石の種類やカットの仕方などで個性がでるし、眺めているととても幸せになれる。知識をつけた上で眺めればその幸福感は更に増す。
しかし、これは余談なのだが私は鉱物収集を始めたおかげで宝飾関係に興味を持ち、ジュエリーコーディネータ3級を取ろうかと悩んでいるところなのだが、それにあたってジュエリーを一つぐらい持っておいて扱い方を学ぶべきなのか?と思っている。
仮にジュエリーを買うならサファイア辺りがいいな。

【参考書籍】
「ネイチャーガイド・シリーズ 宝石」
ロナウド・ルイス・ボネヴィッツ 文
伊藤伸子 訳   化学同人  2015年

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