十二面体や六面体の小さなパイライトの結晶がボール状の塊になっている標本だ。芸術作品であれば傑作と称賛されるであろう見事な一品である。
今回のようなボール状のパイライトはなんとなく欲しいなぁと思っていた。しかし情報を得る頃には売り切れてしまうぐらい人気が高く、なかなか手に入れる機会がなかったのだ。
2019年の6月。私は初めて「ミネラルマーケット」という鉱物イベントへ足を運んだ。このイベントではアマチュアの鉱物コレクターが多く出店しており、鉱物標本や関連書籍などの鉱物にまつわるグッズをフリーマーケットの形式で販売している。通常は飯田橋で行われているのだが、この年は浅草橋で開催されていた。
初めてのミネラルマーケット。想像より人が多く動くのも一苦労だった。
そんな中でとあるブースを頑張って拝見しようと体を動かしたときだった。
ガシャン。
と、音と共に品物が落下。自分の体が品物にあたってしまったのだ。
すぐに「すみません！」と謝罪。幸い品物は無事で店の方も優しくしてくださったのが救いだったが、正直生きた心地はしなかった。
そこで「何か良い品があったら買おう」とそのブースを慎重に探ると、机の下のスペースにひっそりと今回のパイライトが置かれていた。もちろん渡りに船と言わんばかりに購入。
購入したパイライトは理想の形で品物的には満足しているが、初めてのミネラルマーケットの思い出としては大きな反省がある。当時は「やったぜ！」という気持ちよりも「やらかしちゃったなぁ」という後悔の気持ちの方が勝っていた。
ともかくこの出来事は教訓として胸に留め、次にミネラルマーケットへ行くときや他の鉱物イベントでは同じ過ちをしないようにしなければならない。