昨日、怖い夢をみてしまったと
とっても怖い夢だったと
それで、もう、怖い夢なんか、みたくないと
だから、これからは、寝ないようにする
そういうことにしたから
もう、決めたから
なんて、どこかの子どもみたいなことを
口にしてきた、ウチのねこが

それなら、それでもいいのだけど
勝手にしてくれてもいいのだけど
わたしは、ひとりで寝ますけどねえ
ねこに向かって言っているような
ぶつぶつ、ひとり言のような

はいはい、ニンゲンさまは、寝たらいい
おやすみ、おやすみ

ねこは、そう言って
目をぎらつかせていた
本当に寝ないですごすようだ

そのくせ、わたしが準備万端
いざ、お布団に入ろうとすると
一緒になってついてきて
お布団にもぐりこんでくる

あげく、わたしの横で、寝息を立てはじめる
どうしたものか、どうするのがいいのか
気持ちよさそうにしてるとこ悪いのだけど
しのびないなあ、とは思うのだけど
ああ言っていたから、いちおう、起こす
そして、いちおう、謝る
起こしてゴメンね、と

ねこは、むにゃむにゃしながらも
起こしてくれて助かった
やあやあ、すまない、すまない
と、お礼を言ってくる

そのあとも、何回か
おんなじようなことがあって
そのたんび、起こしては謝って
そのたんび、ねこは、お礼を言ってきた

その夜は、そうやって、ねことわたし
だいぶ、夜ふかしをした