#旅と対話と組織開発 〜Vol.002 山中菜摘さん(フォトグラファー/地域コミュニティデザイナー・山口県山口市)
沢渡あまねが、組織や地域の景色を変えている変革実践者と対話しエンパワーし合う旅日記、 #旅と対話と組織開発 。第2回目のお相手は、山口県山口市のKDDI維新ホールに勤務され地域のコミュニティデザイン、フォトグラファーなど多彩な活動をなさっている 山中菜摘(やまなかなつみ)さんです。
ちなみに、#旅と対話と組織開発 とはこんな企画(↓)です。
関東から山口市に移住され、地域に新しいカラーを創造する活動をなさっている山中さん。今回、山中さんがディレクションされている山口市での地域共創・越境の場『山口未来共創ラボ』のプレ公開講座の講演者として沢渡をご指名いただき、僕たちは一路山口市に。その景色をお伝えしつつ、山中さんの横顔を紹介していきたいと思います。
山口未来共創ラボについては、山中さんがお書きになった以下のブログもご参照ください。
山中さんと僕との出会いは2019年。当時、山中さんは天狼院書店の店舗責任者をなさっており、沢渡の新刊発売記念イベントを同書店のEsola池袋店で企画いただいたのがきっかけでした。
当時は山中さんも僕もいわゆる東京の人でしたが、いまや山口の人と浜松の人。お互い似通ったキャリアパスも面白いです。
山中さんの生まれ・育ちは神奈川県横浜市(この点も僕と一緒)。
中学から大学までは東京に通い、大学生の時に最初のキャリアのフィールドである天狼院書店と出会います。
きっかけは知人からの「面白い書店があるよ」の一言。フラッと訪れ、そこからインターン生として天狼院書店に関わることに。
山中さんは写真担当として撮影はもちろん、イベントの企画運営も手掛けるようになりました。コミュニティデザイナー活動の起点も、この時にあるのかもしれないですね。
徐々に書籍の編集や出版事業そのものにも携わるようになり、山中さんはインターン生とは思えないほどカラフルな仕事を経験されます。
ちょうどその頃、天狼院書店の福岡の新店舗のオープンが決まります。
既に、別の企業への就職が決まっていた山中さん。天狼院書店の社員さんからの「来てくれないか」オファーに心が動き、就職前にキャリアチェンジ!
「(天狼院書店の)トイレで内定辞退の電話をしたのは、いい思い出です(笑)」
山中さんは当時を振り返ります。
インターンの時期に店舗の立ち上げまで経験した山中さん。ここから、天狼院書店には新店舗オープンする時に山中さんが携わる流れが出来上がります。
山中さんは福岡に通いつつ、その後も新店舗の立ち上げて京都に3年間住み、2019年に東京に戻り池袋の新店舗を立ち上げます(僕と出会ったのもその時です)。
併行して、湘南/渋谷/名古屋/大阪の新店舗のオープン準備。およそ2年、各地を行き来をしながら新しい文化と景色を創っていきます。まさに越境と共創の人!
「天狼院書店のスタンスに、「スタッフが学びながら自己成長していく」があります」
と山中さん。ご自身も写真の技術を磨きながら、兼業で(フリーランスとして)フォトグラファーとしての仕事も徐々にこなせるようになってきた。
フリーランスとしてカメラの仕事も文書を書く仕事もしたいと思っていた矢先、次なる転機が訪れます。知人から「山口市の施設を運営することになった。動ける人に来て欲しい」との声がけを受けたのです。
地域のことは、地域に来て住んでみないと分からない。
それは、京都に移り住んだ3年で山中さんが得た体験であり肌感覚です。
観光客の目線では分かり得ない地域のリアルは、そこで生活してこそ見えてくるし自分ごととして体感できる。
「山口の文化に飛び込んでみよう!」
こうして山中さんの20代最後のチャレンジが始まります。
山口市に移り住んだ山中さん。KDDI維新ホール ~山口市産業交流拠点施設~ の指定管理者そして地域のコミュニティデザイナーとして走り出し、現在3年目。大好きなカメラの仕事も愉しみながら、地域に新しい景色を創られています。
そんな山中さん。山口に来てみて感じたことを聞いてみました。
「私ってふるさとがないんだな。そう思いました」
横浜のいわゆるベッドタウンで育った山中さん。祖父母が住んでいた訳でもなく、ご両親とともに便利だからたまたまそこに住んでいただけ。
山中さん自身も、周りの知人も将来そこに戻りたい強い意志がある訳でもない。
「山口に来てみて、ここ(山口)が自分の故郷でかつ生涯住み続けるであろう価値観を持った人と多く出会い、それが衝撃でした」
横浜の人たちと山口の人たちとでは、そもそも「地元」という感覚の強さが違う。地域全体の意志や個性があると山中さんは感じたそうです。
もちろん、同じ価値観や考え方に凝り固まってしまうのも良くないし、変化を受け入れていくのも大事。その一方、自分のオリジン(起源や原点)があるのが羨ましい。
ほかに、山口に来てみて山中さんはどんなことを感じられたのでしょうか。
「自分たちの魅力に気づいていない人が多いと感じています」
取材などで地域の人の話を聴くことが多い山中さん。よく話を聴いてみると、とても面白いのだけれども本人が気づいていない。外に対して発信している人も少ない。
そのもったいなさを、山中さんは語ってくれました。
(それこそ、編集者そして地域コミュニティデザイナーの腕の見せどころですね!)
そんな山中さんの、今後の展望を聴いてみました。
「「場」を創っていきたいですね。地域の情報の発信をしつつ、受け手が「そこに行ってみよう」と思う場があるのはとても重要だと思います」
天狼院書店に勤めていた頃、COVID-19が蔓延する状況下で店舗でのイベント開催が出来ない中、書店を知ってもらい興味を持ってもらうための発信をしていた山中さん。それでもやはりお店という「場」があることが信頼感を生み、「いつか行ってみよう」と思う気持ちを人々に喚起することができた。
実在する場があるのは、やはり重要なのです。
「活きた場を創る。それをしていきたいし、それができる人になっていきたいです」
本を通じ、さまざまな人たちとの越境と共創をデザインしてきた山中さん。
その体験と感覚を存分に発揮され、持ち前の好奇心をプラスし、ここから山口市にさらに新しい越境と共創の景色を創られることでしょう。
山中さん、中原さん、そして山口市でご一緒した皆さん、ありがとうございました!
【おまけ】
山口市での今回のイベントに先立ち、山中さんに僕たちのホーム(浜松市)にもお越しいただきました。その時のさわやかなショットを添えておきます♪
▼KDDI維新ホール~山口市産業交流拠点施設
▼『YCAM(ワイカム)』~山口情報芸術センター
▼たかくら 藤野兄弟のチャレンジを描いた記事
▼書籍『新時代を生き抜く越境思考』
▼書籍『バリューサイクル・マネジメント』
▼書籍『推される部署になろう』
▼ファシリーダー育成プログラム『組織変革Lab』
▼僕たちあまねキャリアのサイト