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浜名湖佐久米駅の副駅名「本を読もう 沢渡あまね」設定とその背景

2023年5月19日(金)、僕が代表を務めるあまねキャリア株式会社(浜松市)が天竜浜名湖鉄道(天浜線) 浜名湖佐久米駅のネーミングライツ(命名権)を購入し、副駅名に「本を読もう 沢渡あまね」が設定されました。

なぜ、僕(当社)が今回ネーミングライツの権利獲得を名乗り出たか、ひいては「本を読もう」のフレーズをつけたか、その思いをお話ししたいと思います。最後に読書にお薦めのスポットも紹介しますので、おしまいまで読んでいただけたら嬉しいです。

(担当編集者各位、「読むより書け!」ってツッコミはご勘弁願います(苦笑)。ちなみに僕は現在新刊3作品、連載5本/月を元気に進行中です)

早速、静岡新聞さんと中日新聞さんも記事にしてくださり感動しています。

あいにくの空模様でしたが、松井社長が開会スピーチで「晴耕雨読という言葉がある通り、雨の日こそ本を読むのも良いものだ」とおっしゃり、場に光を照らしてくださいました。感激しました。
こういうことが言える大人になりたいものです。

除幕式の一コマです。左から、天竜浜名湖鉄道 松井社長、沢渡、あまねキャリア 取締役 平野さん

なぜ僕(当社)がネーミングライツに名乗りを上げたか、そして「本を読もう 沢渡あまね」を冠したか。

ひとつには地域企業として、地域の景色を形作るインフラを守るための貢献がしたかったから。

当社は2022年4月に、浜名湖佐久米駅がある三ヶ日町にセカンドオフィス(三ヶ日ワーケーションオフィス)を設けました。
自社の仕事場として日々利用しているのはもちろん、お陰様で多くの当社の顧客やビジネスパートナーの皆さんにお越しいただき、新たな知の創造が生まれています。

その地域を走っているのが天浜線。
地域の人々と三ヶ日を訪れる人たちの足となり、かわいらしいディーゼル列車がコトコト走る景色は皆を笑顔にしてくれています。

吾輩は駅である。副駅名はまだない

僕は、大都市の満員電車には微塵も共感できないため、東京のサラリーマン時代から利用を避けていましたが(テレワーク推しな理由の一つもそれです)、地方ローカル線は好きで喜んで利用することがあります。

とはいえ、僕も当社のメンバー(僕含めて全員パラレルキャリアワーカーかつ全国に散らばっています)も日々リモートワークを基本に密度濃くかつ忙しく仕事をしており、なかなか地方鉄道を利用する機会がない。
新刊や連載の原稿執筆にも追われていて、顧問先や取材先などへの出張もクルマでパパっと行って、パパっと帰って来てしまう。地域のローカル鉄道を利用できない、その状況を申し訳なくもどかしく思っていました。

そんなある時、ネーミングライツの存在を知りました。

これだ!これならば、普段は頻繁に利用できない立場なりに、地域の鉄道を応援することができる。お金を払って、地域インフラを守る貢献(CSR)ができる。
(僕は、NTTデータでITネットワークインフラを守る部署を経験したことがあり、その意味でもインフラ産業に対する思いが強いのかもしれません)

そう思い、僕の右腕であり頼れるパートナーであるマジーさん(眞嶋さん)に相談し、「面白そうっすね!やってみましょう」の合意で天竜浜名湖鉄道さんと話を進めてもらいました。

ベールを脱いだ浜名湖佐久米 本を読もう 沢渡あまね駅

次に「本を読もう 沢渡あまね」の副駅名について。

どうせならただ単に企業名をつけるのではなく、世の中をこうしたい、地域にこんな景色が生まれて欲しい、そうした思いのあるメッセージを入れたい。そう思いました。

「本を読もう」に至った背景には安藤哲也さん(ファザーリング・ジャパン代表。一般社団法人ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン共同代表。元書店員)との出会いがあります。

2月に参加した和歌山でのワーケーション(島田由香さんお引き合わせ)でご一緒し、安藤さんの本屋さんを盛り上げる活動にインスパイアされ、「本を読もう」を掲げようと思いました。その時の和歌山でのワーケーションの様子の一部を紀伊民放さんが記事にしてくださいました↓

また、かねてから高木久直さん(天浜線の始発駅でもある掛川で『走る本屋さん 高久書店』を運営)の、地域で本を読む文化を推し進める横顔にも感動し影響を受けています。

加えて、竹内義晴さん(新潟県妙高市在住。NPO法人しごとのみらいとサイボウズのパラレルキャリア)が昨年三ヶ日にお越しになった時、浜名湖佐久米駅の駅舎のベンチでノートPCを開いて作業している姿を見て「ここ、ワークや読書にも最適な環境かも!?」と思ったのも大きなきっかけです。

その時の竹内さんと沢渡との対談の様子は、『サイボウズ式』で公開されています。

安藤さん、島田さん、高木さん、竹内さん、僕に影響を与えてくださりありがとうございます!

除幕式のタイムスケジュール。開式前と閉式後に列車入線があるのも素敵です

日本人は本を読まなくなったと言われています。
とても悲しく、これから先の未来を考えても由々しき状況です。

僕ももの書きの一人として、組織開発や人材開発を生業とする一人として読書離れをなんとかしたい。本を読む習慣を、世の中に明るい形で取り戻したい。

もの書きとして、浜松市の地域企業として何ができるか?そう考えた結果が、この副駅名の名称です。

地域に本を読む文化を広めたい、さらには日々の忙しさで疲れた都会のビジネスパーソンが、本を片手にぶらり天浜線のディーゼルカーに揺られ、無人駅で降りてのんびり読書を楽しむ。そんな景色が地域に生まれたらいいな。

その思いをこの副駅名に込めました。

読書しに三ヶ日を訪れてくれたら嬉しいですし、あるいはこの駅の看板を見たときに「そういえば最近、本読んでいないな」「たまには本を読んでみるかな」、そんな風に思っていただけたら嬉しいな。そう思いました。

とはいえ、天竜浜名湖鉄道さんが受け入れてくれるかどうかは別問題。せっかくなので、「沢渡あまね」の名前も入れたいと思い「本を読もう 沢渡あまね」で提案しました(厳密には、マジーさんから先方に提案してもらいました)。

正直、ダメモトだったのですが……なんと快諾いただいた!

それどころか「素敵な副駅名の命名をありがとうございます」「デザイン担当の制作意欲が爆発いたしました」(メールの原文そのまま)と言っていただきました。

天竜浜名湖鉄道の広報担当井口さん、ほんとうにありがとうございます。
井口さんほか、天竜浜名湖鉄道の皆さんの朗らかそしてヒューマニティ溢れる熱心な方で、ここまで楽しくかつテンポよくお仕事を進めることができました。

ちなみに、担当の井口さんとお会いしたのは除幕式当日がはじめて。

つまり、すべてフルリモートで準備を進めてきました。

リモートでは熱量あるコミュニケーションが出来ないと言っている全国の企業経営者の皆さん、それは思考停止かもしれませんぞ。

あ、僕はこんな本も書いています↓ 脱思考停止がテーマの新刊です。

左から沢渡、井口さん(天竜浜名湖鉄道)、太田さん(同)

こうして、晴れて新駅名をお披露目。
駅に隣接するカフェレストラン「かとれあ」の店主をはじめ、地域住民の皆さんにもお集まりいただき、なごやかな除幕式となりました。

式にお越しくださった地域の皆さんからも「かわいい」「これはいい!」「素敵」と明るい反応をいただきました。なお看板のアイコン(頭に三ヶ日みかんを載せた僕の顔のイラスト)は、しもしもさんに描いていただきました。見る人を明るい気持ちにさせてくれる、やさしいイラストを今回もありがとうございます!

当社のミッションは「景色を変えて、組織を変える」です。組織には地域も含まれます、ここから新たな景色が生まれたら嬉しいです。

井口さんから「ここからがあまねキャリア様との協働のスタートだと思っております」と熱いメッセージを、その場と直後のメールでもいただきました。

協働、コラボレーション、すなわち越境。僕の大好きな言葉であり、これからの時代に最も必要な行動の一つだと信じています。

式典中、松井社長に僕の書籍『新時代を生き抜く越境思考』も寄贈しました。

地域の企業同士が越境してコラボレーションする。その景色をたくさん創っていきたいと思います。天竜浜名湖鉄道さんとどんなコラボレーションが考えられるか。頭をひねってみたいと思います。

式が終わり、しばらくしてから新所原行きの列車が到着しました。

そこでまたまた嬉しいサプライズが。
「ゆるキャン△」ラッピングのクルマだ!

除幕式の直後にやってきた「ゆるキャン△」ラッピング車両。テンション上がります!

ここ浜名湖佐久米駅は人気コミック&アニメ「ゆるキャン△」の舞台になっており、いわゆる聖地です。三ヶ日のフラグシップともいえる「ゆるキャン△」号が除幕式の直後にやって来てくれるだなんて! 夢中で写真を撮りました。

もしかしたら、これも天竜浜名湖鉄道さんの演出かしら? 

そんな嬉しい思いを胸に、雨降る駅舎を後にしました。

駅名の看板は5か所に設置されています。すべて探してみてください

副駅名が冠された直後から、早速さまざまな変化と効果が現れました。
加えて、まだまだ話し足りない舞台裏の話もあります。

副駅名設定の思いと舞台裏については、『沢渡あまねマネジメントクラブ』 2023年5月23日(火)の定期放送(沢渡の生声でお届け)でお話しします。
(会員登録いただいた方はバックナンバー(これまで90本近く収録)も視聴いただくことができますし、ご質問も可能です)

おしまいに、浜名湖佐久米 本を読もう 沢渡あまね駅周辺で読書に適する沢渡オススメスポットを4か所紹介します。

■駅舎のベンチ
レトロな駅舎の中の木のベンチ。まるで古民家にいるような雰囲気で、浜名湖の風を感じながら読書を楽しむことができます。

■かとれあさん
駅併設のカフェ・レストランです。駅ナカといっても過言ではありません。
美味しいランチもいただくことができます。

■杉のやさん
駅の正面、国道を挟んだ向かいにあるキャンプ施設。週末を中心にカフェ営業もしています。

■ホテルグリーンプラザ浜名湖さん
駅から徒歩10分かからないくらい。浜名湖が目の前の素敵なホテルです。
日帰り入浴営業もしており、本を読んだ後に温泉に浸かって帰ることもできます。ここの露天風呂は、湖とほぼ水平な目線で入浴でき控え目に言って最高です!

おいでよ三ヶ日に!