ケーキの歌(短歌)

「太ってもいいよケーキを食べようね」呼吸器つけた妻にほほえむ  あまねそう

これは8年くらい前に「ダ・ヴィンチ」の“短歌ください”で、穂村弘さんに選んでもらった一首だ。たしかテーマは「ケーキ」だったと思う。

普段僕が歌を詠む時には、その時の風景や感情の動き、記憶等をローレンツ変換してしまうのだが、この時は「妻」がまだ「彼女」だったという事以外は特に何の手も入れずそのまま詠んだ。僕に結婚を決意させるくらいの大きな出来事だった。

時を経て、昨年の「Wedge 2018年12月号」“穂村弘の各駅短歌”というコラムでこの一首がとりあげられているのを知った。テーマはやはり「ケーキ」。

自分の人生の大きな転換点を、短歌という形で誰かに覚えてもらっているのは素直にうれしい。

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