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獣医師のオンライン相談・診療について


1 獣医師のオンライン相談・診療とは

1 オンライン相談・診療について

獣医師によるオンライン相談は、文字通り実際に動物病院を受診せずに獣医師によるサポートやアドバイスを受けることができるというものです。人の医療でもコロナ禍の影響も含め、オンライン診療が普及してきていることをご存知の方も多いと思われます。
一般的にオンライン相談はLINEやメールを利用したテキスト形式やzoomや独自システムを利用したビデオ通話が主流かと思われます。
インターネットで検索すると「みるペット」「ペットドクター」「アニぴたる」などさまざまなサイトがヒットするようになりました。
後述しますが、基本的にはかかりつけの病院があった上での、サポートやアドバイスが中心となります。

2 「相談」と「診療」の違い

たびたび目にするオンライン「相談」と「診療」が意味合いが異なることはご存知でしょうか?
獣医師法または獣医療法に定められている「診療」とは
『飼育動物の疾病についての診察,診断,治療その他の獣医師の獣医学的判断及び技術をもってするのでなければ,飼育動物に危害を及ぼし,または危 書を及ぼすおそれのある一切の行為をいう.』
と定義されています。
少し難しく見えてしまいますが、動物に対し影響を与える可能性がある獣医療行為全般を診療と捉えて良いと思います。そのため、生活や健康面での相談など医療とは直接的に関係のない事柄はオンライン「相談」といって良いと思われますが、病気や怪我に関する診察やセカンドオピニオンに関する相談などはオンライン「診療」に該当する可能性があります。そのためオンライン診療では必要に応じて診断や処方薬の送付が行われることがあります。療法食が必要な場合もオンライン診療が必要になります。

Point!
・日常の気になること、生活や健康面に関することは「相談」
・病気や怪我に関する診察やセカンドオピニオンは「診療」

3 オンライン診療はだれでも受けることができる?

日本獣医師会にて「愛玩動物における遠隔診療の適切な実施に関する指針」というものが発表されています。
主に犬猫が想定されていますので、エキゾチックアニマルに関しては例外項目に該当する可能性があります。
また近年法律解釈が進んでいる最中ですので、途中で解釈等が変更される場合がありますのでご注意ください。(2023.12時点)

指針を踏まえると原則的に「初診」の方はオンライン診療を受けることはできません。過去に獣医師(動物病院)で診察・診断を受けた場合に、同じ獣医師からオンライン診療を受けることが想定されています。
そのため、受診歴があった場合でも新規の症状や長期間未受診の時間があった場合は、「初診」として扱われることもあります。

ただし例外もあるため「みるペット」さんが公開している記事のうち「適用対象」について一部引用させていただきます。

内容の全てを記載できないため詳しく知りたい方は元の記事日本獣医師会の指針も是非参考にしていただければと思います。

遠隔診療は「かかりつけ獣医師」のみが可能である
・初診については原則として直接の対面で行うべきである
・初診時でも「最低限遵守する事項」を守る条件下においては遠隔診療を行うことは許容される

<最低限尊守する事項>
1「かかりつけ獣医師」が飼育動物のために速やかに遠隔診療による診療を行う必要があると認めるときは飼育者の同意の下、初診であっても遠隔診療は許容されるが、原則として遠隔診療の後に、直接の対面診療により経過の確認を行うべきである。

「Vet to Client with Vet」において、情報通信機器を通じて診療を行う獣医師は、飼育者といる獣医師から十分な情報が提供されている場合は、初診であっても遠隔診療を行うことが可能。
*「Vet to Client with Vet」=専門性の高い獣医師がかかりつけ獣医師同席のもとで診療を行うこと

3 離島、へき地等の遠隔地に立地している場合来院が困難な場合において、飼育動物のために緊急性をもって直ちに診療を行う必要性が認められるときは、初診から遠隔診療を行うことは可能。
*専門性の高い分野で近隣にそれらを診察できる動物病院がない場合は該当する可能性があります

2 文章による相談(チャット、メール)

LINEやメールでの文章を主体とした相談がこちらになります。多くは上述した診療が必要ない相談(日常の疑問、生活、健康)の場合は、文章のみで対応できる場合があります。また次項のビデオ通話によるオンライン診療前の問診などに使用されることも多いです。一般的に回数制限や一回毎の費用設定がされていることが多いと考えられます。

すでに治療中の子に関しては最も気軽に相談できる方法だと思います。(獣医師側がその子を把握していることが最大のポイントになります)
病院によってはフォローアップのためのLINEやメールを無料で実施しているところもあるため、かかりつけ病院がそのようなサービスをおこなっているか確認してみるのも良いかもしれません。

メリット
・無料のこともある
・気軽に相談できる
・写真や動画を共有しやすい
・時間に関係なく送ることができる
・事前に書き溜めておくことができれば相談したい内容を整理できる
・受けたアドバイスをあとで見返すことができる

デメリット
・返信が遅れたり、相互のやりとりに時間がかかり相談がスムーズにいかない場合がある
・意志の疎通が難しく、伝えたいことが伝えきれないことがある
・必要な情報の漏れが発生した場合に適切なアドバイスを受けづらくなってしまう
・はっきりとした回答を得られないことがある

実際に相談を受ける獣医師の立場からすると、できるかぎり文章でお答えしたいのですが、やはり状況がわからない以上、断言できないことも多々出てきてしまいます。(状況を把握するために質問を繰り返すととても長い時間がかかってしまうこともあります)そのため、深刻な相談に関しては直接の通話による相談を推奨したいと考えています。

3 通話(ビデオ、電話)による相談・診療

通話による相談はZoom、LINE、GoogleMeetsなどのオンライン通話サービスや通常の音声電話にて相談を行います。
通常、オンライン診療が必要なケースではこちらの通話による状況確認が必須になると思われます。
基本的には有料であることが多いと思いますが、一般的に通常の病院の診察室での対話と同じ内容を自宅で受診することができますので、動物の性格や体力によっては在宅で継続したアドバイスを受けることができるのは非常に良いことだと思います。

メリット
・通常の診察と同じ内容の相談ができる
・離れた地域でも様子を見せることで詳細を伝えることができる
・必要に応じて診断や処方、療法食を受けることができる
・かかりつけとは別に専門性の高い獣医師のアドバイスを受けることができる
・移動の負担が少ない

デメリット
・基本的に費用がかかることが多い
・直接の検査や処置を受けることができないため、基本的な検査や治療は近隣のかかりつけで行う必要がある

注)動物病院の受付電話にて相談をご希望される方は、事前にそのような対応を行っているかよく確認の上相談しましょう。通常の動物病院の場合、長時間電話による相談は回線や人員的な都合により対応が難しい場合が多く、断られてしまうケースもあるかと思われます。決して意地悪や優しくない、などと思わないであげてください。
受診できない理由がある場合は、その旨を伝えて指示に従うようにお願いいたします。そのような場合にオンライン相談・診療をご検討いただければと思います。

5 どんな時に利用したら良い?悪い?

オンライン相談・診療の利用を推奨する例
・普段の様子で気になること
・家でのケアや病気対策などに関する相談
・食事やサプリメントなどに関する質問
・診断や処方されている薬に関するセカンドオピニオンとしての相談
・かかりつけ病院で聞きづらかった質問事項
・かかりつけ病院が専門外でさらなる説明を聞きたい事項
etc

利用を推奨しない状況
・体調の急変に関する相談
>>かかりつけ、または夜間救急などの施設に直接連絡してください
・特殊な状況(特定の難病・手術、動物種)に関する相談
>>オンライン相談で対応可能かQ&Aや事前問診でよく確認しましょう

6 動物相談窓口 by AmberLinksについて

最後に私が運営している公式LINE「動物相談窓口 by AmberLinks」を紹介します。
AmberLinksとは獣医師 浦和が立ち上げた獣医療(往診・オンライン相談、診療)、物販、動物関連のイベント、IT開発などを行う事業です。
(東京都に動物病院としての届出も完了済みです)

獣医療の中で特にエキゾチックアニマルでは情報不足や獣医師不足が問題となっています。私が勤務する病院で受診できない方々からの相談を受ける機会が増えてきましたので、この度気軽に相談できる場所を作りたいと思い開設させていただきました。

対応動物は犬、猫、小型哺乳類全般、鳥類全般、爬虫類全般、両生類全般です。産業動物(牛馬豚etc)、霊長類、魚類、節足動物などはお答えできない場合がございます。
内科、外科、救急と多くの経験を積んでいますのでまずはご質問いただければと思います。
登録だけでも大歓迎ですので、よろしくお願いいたします。

公式LINE「動物相談窓口 by AmberLinks」

その一つとして公式LINEによるオンライン相談・診療を設立しました。すでに登録いただいている方もいらっしゃいますが、再度使い方を周知できればと思います。

1 LINEのチャット機能を使用した無料相談

・画面左下のキーボードからお友達とやりとりをする時と同じように、文章を打つことができます。
・基本的にはこちらでまずご相談いただければ、必要に応じてオンライン相談、診療をご案内いたします。
・チャットで完結できるものに関しては完全に無料かつ回数制限もありません(2023.12現在)
・可能な限り早期に返信するようにします(基本的に24時間以内)

<無料相談のお願い>
・相談者様の氏名を教えてください
・相談する動物の名前、性別、年齢、不妊去勢手術の有無を教えてください
・相談内容を時系列とともにできるだけ具体的に教えてください
(不足する内容に関してはこちらから質問させていただきます!)

LINEのキーボードの使い方

2 LINEの通話機能を使用したオンライン相談・診療

もし病気や怪我のことでお困りのことがあればオンライン相談・診療を推奨いたします。こちらは有料の相談になりますが、より適切なアドバイスや管理方法をお伝えすることができると思います。また上述した条件に当てはまる方であれば診療の上、処方や療法食の販売を行うこともできます。
価格は公式LINEメニューから表示可能です。
【参考 15分 1650円(税込)〜】

オンライン診療後はチャットにて無料でフォローアップさせていただきます。また再度、オンライン診療を受けていただくことも可能です。

<オンライン相談・診療を受診する際の流れ>
1 公式LINEの無料相談から相談内容を送信
2 こちらで内容確認後、必要に応じてオンライン相談を案内
3 同意が得られた段階でご希望の日時を決定(最短当日から)
4 オンライン決済サービス(Square)の決済URLをLINEで送信しますのでオンライン決済をお願いいたします(各種クレジットカード対応)
5 予約した日時前にオンライン相談のための通話申請を送りますので、予約時間になり次第通話を開始してください

3 その他、ご相談など

現時点での相談がなくとも、公式LINEの友だち登録をしていただいて全く問題ありません。また、雑談や気になること、AmberLinksのことに関する質問などもお気軽に送っていただいて大丈夫です。
X(旧Twitter)やInstagramもこれから頑張っていこうと思いますので応援よろしくお願いいたします。

いつでも身近に相談できる獣医師でありたいと思っています。
なにかお力になれることがあれば幸いです。


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