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ゼロの地点から

「人はみんな独りで生きている」という話を、心理学の講座で話していた。
 
自分を生かしているのは他ならぬ自分自身であり、周りの人に生かされているわけではない。
全てのものに感謝をするというのとは、また別の話。
 
独りは寂しいことでも、辛いことでも、惨めなことでもない。だって最初からみんなひとりだ。
私たちは互いに、分かり合うことなんかできない。それがベースなのである。
分かり合えた、通じ合えたと思える瞬間は錯覚なのかもしれない。信じたい気持ちとは裏腹に。
 
そのゼロの地点にいることを受け入れることで、独りを引き受けられるようになる。
 
人生とは、何をどれだけ得られるかを競うゲームではない。
得たものは次々に他人に与えて、循環を起こし、淀みをなくし、後に残るまっさらな自分にどれだけ気づけるかを確かめる旅のよう。
 
 
生きていることに意味を見出せなくても、
生まれてきたことの使命なんか探さなくても、
世の中は変わらずに回っていく。
 
だから最後には全て忘れてしまったっていい。
泣いたことも、憎んだことも、結んだ手も、誰かに渡せた何かも、投げつけた、投げつけられた言葉も。
 
 
講座が終わってひとりになって、若い天才の音楽を流した。(最近ハマってる)
 
冒頭の歌詞で「ゲシュタルトの祈り」を思い出す。心理学を勉強する人には、教科書などで必ず目にする詩。
「私は私のために生きている。あなたはあなたのために生きている。
私は何もあなたの期待に沿うためにこの世に生きているわけじゃない。
そして、あなたも私の期待に沿うためにこの世にいるわけじゃない。
私は私。あなたはあなた。
でも、偶然が私たちを出会わせるなら、それは素敵なことだ。
たとえ出会えなくても、それもまた同じように素晴らしいことだ」




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