その生き方について#長実雛芥子

にんじんとグリンピースで
つくった花みたい。

通学路にぽつぽつ並んで咲いていた

オレンジの花。
ひょろひょろの茎。

名前はまだ知らなかった。





なんていう花だろう…

「今の季節 オレンジの花🔎」

あーこの花だ…ナガミヒナゲシ…

え?


関連ワードに不穏な言葉が沢山出てきた。

『怖い 毒性 気持ち悪い 駆除 危険 外来種』

市のホームページにまで
『ナガミヒナゲシに注意しましょう!』

どうやら
そんじょそこらの雑草では
なかったようだ。

長実雛芥子(ナガミヒナゲシ)
梅雨時に非常に小さな灰黒色の種子を大量に成す。1つの果実には約1600粒の種子が内包されている。1個体は100個の果実を成すこともあるため、
多い個体では15万粒の種子を持っている。
種子の表面には凹凸があり未熟な状態でも発芽し、結実から5年を経たものでも発芽することができる。種は秋に発芽してロゼット状態で越冬するものと、翌春に発芽するものとに分かれる。

茎を切ると黄色または乳白色の乳液が出てくる。根と葉からは周辺の植物の生育を強く阻害する成分を含んだ物質が生み出される(アレロパシー)。外来植物の改良FAO方式による雑草化リスクの評価では、特定外来生物に指定されている植物に匹敵するか、これらを上回る高いリスク点数が得られているが、特定外来生物などにはいまだ指定されていない。各国ではコムギ畑などの秋播き作物の農地へ侵入して難防除雑草となっている。

Wikipediaより

1つの花から約15万粒の種を生む
特定外来生物に匹敵する繁殖力。

未熟な種も発芽することができるそうで

梅雨時期に道路に落ちた種は
車のタイヤにくっついて

日本中に分布を広げていったそうだ。

そんな旅の方法があったとは。

植物の繁殖方法ってすごい。
おもしろい。

たんぽぽみたいに綿毛になって
風でふわふわ飛んでいったり。

鳥に食べてもらい
種を遠くに運んでもらったり。

植物によって
いろんな戦略があるようだ。



そして
植物が持つ物質が

他の植物に何らかの影響を
及ぼすことを意味するアレロパシー効果をもつ。

他の生き物に影響する植物というと
私はカモミールを思い浮かべる。

自分の周りの植物の病気を治してくれる
植物のお医者さん。

カモミールは

野菜を病気から守ってくれたり
成長を助けてくれるので喜ばれる。

一方

ナガミヒナゲシは周りの植物の成長を
阻害する成分を出すので

農作物への被害が心配されている。

そしてその爆発的な繁殖力のために

自治体は市民に駆除を
お願いしているそうだ。

素手で触るとかぶれる可能性も
あるようだから

子どもにもそのうち伝えておかないと。
(私はアトピー持ちだし
夫は湿布で被れるくらい肌が弱い)


でも

例えば

日本の在来種のたんぽぽは
一本から出来る種は60〜80個らしいのに

60個と15万個。

なぜこんなに違う性格なんだろう?

そんなことばかりが
気になってしまう。

それはもしかしたらきっと

育ってきた環境の違い、
なのではないか?


日本の何十倍も広く広大な土地で

自分の種を繁栄させるために
進化してきたのだろう。

弱肉強食の世界
他の植物をおしのけ

そうまでしないと生きられない
環境を生きてきたのかな?

長い長い年月をかけて
DNAに刻み込まれてきた法則で

人間なんかより長い長い長い間
生と死を繰り返してきたはず。

五劫の擦り切れくらい?
もっとかな。


全てヒトが勝手に決めたレッテル

自分達にとって都合が悪ければ害虫
利益があるなら益虫、というように。


私は農業をしていないし
特段被害を被ってはいないので

あくまで傍観者だから

こんな呑気なことが
言えるのかもしれないけれど

日本の環境にいずれ落ち着いたら

阻害効果がなくなったりしないのかなぁ。

「風の谷のナウシカ」でも

綺麗な土で育てた腐海の森の植物は
毒を出さなくなったし。

そんな風にうまいこと
共生していけないものだろうか…。 

小さなにんじん色の花をみて
そんなことを考える。



地中海沿岸地域に広く分布、とあった。

広く長い海岸線に
自由に咲き誇る

長実雛芥子の花を
思い浮かべた。

今日も誰もニンゲンが見ていない
知らないところで
ずっと。

世界中の人がいなくなっても。
海も空も太陽も、誰かに見せるために朱に染まるのではない。
綺麗な景色などなく、それはただ綺麗というだけのことだ。
美しいと誉めそやすのは見ている側の身勝手な評価で景色は美しくあろうとして美しいわけではない。


有川浩著 塩の街より



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